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春の褒章 前山氏に黄綬褒章2018.5.21

政府は4月29日付けで、「平成30年春の褒章」を発表した。警備業からはタイガーセキュリティ(福岡県那珂川町)代表取締役で警備員特別講習事業センター考査員の前山德幸(まえやま・のりゆき)氏(68)が長年警備業に従事しその発展に貢献した功績で、黄綬褒章を受章した。

前山氏は5月11日、厚生労働省で行われた「褒章伝達式」に出席した。蒲原基道厚生労働事務次官から褒章と章記を伝達され、皇居で天皇陛下に拝謁した。

前山氏は、2004年9月に「タイガーセキュリティ」を立ち上げ、代表取締役に就任した。1991年7月に福岡県警備業協会講師、94年6月に全国警備業協会技術研究専門部会部員、2010年2月に警備員特別講習事業センター考査員に就任。

主な受賞歴は06年5月に全警協会長表彰、08年11月に福岡県県知事表彰、11年11月に厚生労働大臣表彰、12年5月に警察庁長官表彰。

前山氏の言葉

このたびの黄綬褒章受章は、身に余る光栄であり、協会や業界の皆さま、家族の支えによるものと、感謝と喜びに絶えません。今後とも微力ながら業界の発展のために尽力してまいります。

「総会」始まる2018.5.21

新潟警協/栃木警協/多摩警備業協議会

警備業の需要は高まるが警備員不足や職場環境の改善が課題となる中、都道府県警備業協会の定時総会が新潟警協を皮切りに始まった。

特集ワイド 熱中症から警備員守る2018.5.21

これからの季節、警備現場で危惧されるのが熱中症。特に屋外、炎天下での交通誘導警備や雑踏警備では細心の注意が必要だ。厚生労働省も今月から「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を開始した。キャンペーンには全国警備業協会も業界団体として唯一、“主唱者”として参加している。熱中症多発業種とも言われる警備業での熱中症予防のあり方を考える。

警備業は熱中症が多いの?

厚生労働省が公表した今年1月末時点での速報によれば、2017年に全国の職場で発生した熱中症による死傷者数(死亡と休業4日以上)は528人だった。警備業では35人が熱中症を発症し、うち2人が死亡した。

全産業で最も熱中症が多いのは建設業の139人(うち8人が死亡)、次いで製造業の110人(同0人)、運送業の92人(同0人)、商業の40人(同1人)――などで、警備業は“ワースト5”入りしている。

警備業の過去5年の推移を見ると、13年・53人(同2人)、14年・20人(同0人)、15年・40人(同7人)、16年・29人(同0人)と増減を繰り返している。

熱中症って何?どのような症状?

高温多湿な環境下で、体内の水分と塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして発症する障害の総称のこと。症状には、軽いものから次のようなものがある。

「Ⅰ度」めまい・失神(立ちくらみ、熱失神)、筋肉痛・筋肉の硬直(こむら返り、熱けいれん)、大量の発汗

「Ⅱ度」頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感(熱疲労)

「Ⅲ度」意識障害・けいれん・手足の運動障害、高体温(熱射病や重度の日射病)

「WBGT値」って何?

近年、熱中症予防対策では「WBGT値」という言葉が多く使用される。

WBGTとは、Wet―BulbGlobeTemperature(湿球黒球温度)の略で、暑熱環境による熱ストレス(体温の上昇)の評価を行う“暑さ指数”のこと。熱中症予防のために米国で開発された。単位は「℃」で表されるが、一般的な温度とは異なる。

測定したWBGT値が、あらかじめ定められた「WBGT基準値」を超える場合には、熱中症発症の確率が高まるとされる。つまり、WBGT値を測定し、その結果に基づき適切な措置を講じることが熱中症予防につながる。

これからの季節、テレビやラジオの天気予報でも「今日は熱中症に気をつけてください」などをよく耳にするが、これもWBGT予測値に基づいた“熱中症予報”だ。

WBGT値を簡単に測定する方法は?

「JIS Z 8504」または「JIS B 7922」に適合した測定器を使用することで測定できる。また、環境省の「熱中症予防情報サイト」で公表しているWBGT予測値・実況値でも確認できるが、地面からの照り返しや通風の有無など作業場所によってWBGT値は大きく異なるため、それぞれの作業場所で測定するのが望ましい。

熱中症予防はどのように進めればいいの?

作業環境管理、作業管理、健康管理の3分野に分けて進めていくことが効果的。この手法は「労働衛生の3管理」と呼ばれ、さまざまな職業性疾病予防活動に用いられている。

熱中症予防のための作業環境管理とは?

WBGT値の低減と休憩場所の整備がある。

WBGT値の低減法は、屋外の高温多湿の作業場所では、直射日光や周囲の壁面・地面からの照り返しを遮ることのできる簡易な屋根などを設置するか、適度な通風または冷房を行うための設備を設置する。

休憩場所は、作業場所の近くに冷房を備えた、または日陰など涼しい施設・場所とする。

休憩場所には、氷や冷たいおしぼり、シャワーなどの身体を適度に冷やせる物品や設備を設けるとともに、水分や塩分の補給を定期的かつ容易に行えるようにスポーツドリンクなどの飲料水を常備する。

建設現場での交通誘導警備業務やイベント会場での雑踏警備業務のように、休憩場所を独自に設置できずに、現場管理者が設置した休憩場所を借用する場合は、その旨を警備員に明確に伝達し、必要な休憩が確実に取れるようにする。

一方、休憩場所を提供する現場管理者には、他の休憩場所利用者に警備員も利用することを周知してもらい、休憩が取りやすい環境づくりを行う。

作業管理のポイントは?

▽作業時間の短縮

作業の休止時間や休憩時間を確保し、高温多湿作業場所での連続作業時間を短縮する。建設現場のゲート付近での交通誘導警備など継続した業務が必要な場合は、複数の警備員を配置し、交代で休憩が確保できるようにする。

特にWBGT基準値を大幅に超える場合は、原則として作業中止とする。やむを得ず作業を行う場合には、単独作業を控え、休憩時間を長めに設定する。

▽熱への順化

熱への順化(熱への慣れ)の有無は、熱中症の発生リスクに大きく影響する。計画的な熱への順化期間を設ける。特に(1)梅雨から夏季になる時期の気温が急に上昇した高温多湿の作業場所での作業(2)新たに高温多湿作業場所で作業を行う場合(3)長期間にわたり作業から離れ、その後再び作業を行う場合――などは、通常、人は熱に順化していないために留意が必要だ。

▽水分・塩分の摂取

自覚症状以上に脱水状態が進行していることがあるため、自覚症状の有無にかかわらず、水分・塩分を作業前後や作業中に定期的に摂取する。また、摂取を確認する表の作成、作業中の巡視での確認など定期的な水分・塩分摂取の徹底を図る。

▽服装

服装は、熱を吸収して保熱しやすい服装は避け、透湿性や通気性の良い服装を着用することが基本だが、警備業では制服の着用が原則であることから、透湿性や通気性の良い素材を使用した制服を採用したい。また、制服の下に身体を冷却する服(装置)の着用も行い、体温の上昇を抑止する。

▽作業中の巡視

作業中の巡視(巡察)を頻繁に行い、定期的な水分・塩分の摂取確認とともに、警備員の健康状態を確認する。熱中症が疑われる兆候が表れた場合は、速やかに作業の中断など必要な措置を講ずる。

熱中症予防のための健康管理とは?

糖尿病や高血圧症、心疾患、腎不全などは熱中症の発症に影響を与える。健康診断でこれらの疾患が見つかった人は、医師などの意見に基づき、就業場所の変更や作業の転換など就業上の措置を行う。

また、睡眠不足、体調不良、前日の飲酒、朝食の未摂取、感冒などによる発熱、下痢などによる脱水も熱中症の発症に影響を与えるおそれがある。日常の健康管理について指導を行い、必要に応じ健康相談を行う。

作業開始前には警備員の健康状態を確認し、作業中も巡視を頻繁に行い、声を掛けるなどして警備員の健康状態を確認する。体調不良を訴えていなかったにもかかわらず死亡に至った事例もある。健康状態の確認は、当人の申し出だけでなく、発汗の程度や行動の異常などについても確認する。

複数の警備員が配置されている現場では、相互の声掛けなどで互いの健康状態について留意させる。

会社を挙げて熱中症を予防するには?

経営トップはもちろん、管理監督者、管制担当者、現場警備員の全てが熱中症について正しい知識を持つための労働衛生教育が欠かせない。(1)熱中症の症状(2)熱中症の予防方法(3)緊急時の救急処置(4)熱中症の事例――などを新任教育や現任教育の際に周知する。

もし現場で熱中症が発生したら?

警備員に熱中症を疑わせる症状が現われた場合は、救急処置として涼しい場所で身体を冷し、水分・塩分を摂取させる。

身体を効果的に冷やす方法には、脇の下や太腿の付け根などを保冷剤で冷やす方法もある。また、必要に応じて救急隊を要請し、医師の診察を受けさせる。さらに、症状が急激に悪化する場合に備え、症状がなくなるか病院に搬送するまでは、一人にしない。

また、熱中症の発症に備え、あらかじめ、病院や診療所などの所在地や連絡先を把握するとともに、緊急連絡網を作成して警備隊長や管制担当者など関係者に周知する。