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クローズUP

中部地区連 イメージ、料金、賃金2018.11.21

愛知「スリー・アップ運動」

中部地区警備業協会連合会(会長=小塚喜城・愛知警協会長)は11月7日、三重県四日市市で会長会議とブロック研修会を開催した。会長会議には6県の会長、専務理事が出席。「人手不足への対応」、「自主行動計画の推進」、「働き方改革への備え」など、喫緊の課題について意見を交わした。全警協から福島克臣専務理事、小澤祥一朗次長、鈴木壽美業務適正化小委委員(愛知県・ジャパンガード社長)が参加した。

小塚会長は「業界は多くの課題を抱えている。各県協会は問題意識を共有して、具体的で継続的な解決策を見出さなければならない」と訴えた。各県からの取り組み報告の中で、愛知県の田中正和専務理事は、「スリー・アップ運動」とネーミングした活動スローガンを設定したことを発表した。

それは(1)業界の認知度、ステータスの向上のための「イメージアップ」(2)経営基盤を強化する「料金アップ」(3)警備員の資質と処遇を向上させる「賃金アップ」――の3つの向上(アップ)を目指すもの。広報・教育などの活動項目を列挙して進捗状況や効果の検証を行うと報告した。

ブロック研修会では、小澤次長が「自主行動計画」について分かりやすく講演、リーフレットの活用法を説明した。小澤氏の講演後、小塚会長は「中身の濃い内容だった。自主行動計画は、業界が一丸となって旗振りをして推進しなければならない」と締めくくった。

計画の策定に携わった鈴木委員は「行動計画は、受注する警備業界の受け身で弱い立場を是正するもの。リーフレットは加盟社全員、みんなで利用しないと意味がない」と強調した。研修会には地元の三重県を中心に30余人の協会役員が参加した。

関東地区連 山積する業界課題2018.11.21

解決へ向け意見交換

関東地区警備業協会連合会(会長=島村宏・茨城警協会長)は11月13日、水戸市内で「会長会議」を開いた。関東地区9県の警備業協会会長と専務理事、全国警備業協会から福島克臣専務理事と小澤祥一朗総務部次長が参加した。

議題は「警備業界における現状と当面の課題」。島村会長は「業界に山積する課題について忌憚のない意見交換をしたい」とあいさつした。

福島専務理事は、(1)自主行動計画(2)警備員不足(3)2020東京五輪・パラリンピック――の3点について次のように報告と見解を述べた。

「警備会社の場合、発注者が他業種であることが多く立場が弱い。自主行動計画を推進するにあたり、1社ではなく業界全体で取り組むことが効果的だ」。

「保安の有効求人倍率は昨年度8.67倍だが、警備業に限定するとさらに高い。政府が発表した人口減少の予測から人手不足が回復するとは思えない。警察庁が昨年発表した報告書『人口減少時代における警備業務のあり方』にあるさまざまな方策を検討する必要がある」。

「東京2020大会警備JVの募集対象を全国に広げることから、全警協は要請を受けて各県協会に通知した。全警協はeラーニングを使った警備員教育を考えている」。

同日開催されたブロック研修会では、全警協・小澤次長が「警備業における適正取引推進等に向けた自主行動計画」の演題で、不当取引に関する7事例とその対応について解説した。経済産業省関東経済産業局産業部適正取引推進課・新田祐治課長は「下請取引条件の適正化に向けた取り組み」と題して政府による取り組みの経緯と調査結果、対応について講演した。

石川警協・宮野会長に「瑞宝小綬章」2018.11.21

石川県警備業協会の宮野浩会長(北陸綜合警備保障会長)が秋の叙勲で「瑞宝小綬章」を受章した。長年にわたる警察業務と警備業務に従事して県民の安全・安心に尽力した功績が認められた。

同氏は県警本部で金沢西、東、中署長や県警本部刑事部長を歴任。警備業界に転じてからは2013年春に石川警協の6代会長に就任。15年秋には、初開催となった「金沢マラソン2015」で警備の共同企業体(JV31社)の編成にリーダーシップを発揮してフルマラソンの成功に貢献した。今秋には「福井国体」に警備員を派遣して大会を支援した。

宮野会長の話 誠に光栄であり、警察・警備業界の皆さまのご支援に感謝を申し上げたい。これからも地域の安全安心のために尽くしてまいる所存です。

「働き方改革」に対応2018.11.21

来年4月から年次有給休暇の義務化、残業時間の上限規制など「働き方改革」への対応が求められる。警備業界では、コアズ(名古屋市、小塚喜城代表取締役社長=愛知警協会長)が、これを機に業務の効率化を図り、労働時間や休日取得状況を管理するため、新システムを導入した。警備員の定着率や警備の質の向上にもつながる取り組みだ。

コアズで最も大きな問題となっていたのは、隊員からの電話報告が管制に大きな負担がかかることだ。管制は昼4人、夜2人で対応していたが、午前7〜9時の上番、午後5〜8時の下番、午後10時の深夜上番、深夜の定時連絡など、一定時間に多くの報告が集中して入ってくる。

同社の管制業務にはこれまで10年以上、ある人材派遣ソフトを使用し、出力した予定表に電話で受けた報告内容を手書きでチェックしていた。このソフトのサポート期間が終了したため当初はバージョンアップを考えていたが、昨年6月に「働き方改革関連法案」が成立したことから、その対応も視野に入れて新たなシステムへのリプレース(交換)を検討することになった。

糟谷幸男・副本部長兼教育部長と警務部・加藤浩司次長は、さまざまな勤怠管理システムを調査し検討を重ねた結果、警備業に特化していて多くの警備会社で実績があるKYODOU(東京都中央区、澤橋秀行代表取締役)のクラウド型シフト&勤怠システム「シフトマックス」を採用することに決定。加藤次長がシステム導入の実務責任者となり、昨年9月から移行作業を進めた。

健康管理につながる

今年1〜3月、施設警備の隊員100人による上下番報告の試験運用を行った。隊員は携帯電話やスマートフォンで指定の電話番号に電話し、自動音声ガイダンスに従って入力するだけの簡単な操作なので、60〜70代の隊員も含めすぐにマスターできた。4月からは使用する隊員の数を広げていき、7月から全事業所で本稼動させた。同社の従業員数は6400人で、全国で運用できればかなりの省力化につながる。加藤次長は、その効果を次のように語る。

「今まで報告電話が集中することで管制が対応しきれず、隊員は報告のために電話を待たされることもありましたが、それもなくなり双方のストレスが解消されました。管制員は、シフトマックスを導入したことで業務に余裕ができました」。

「上下番報告と勤怠の確認でかなり人員を削減できました。具体的には名古屋本社で3人、全国で10人の余裕ができ、ほかの業務に就いてもらうことで業務の拡大を図っています。深夜の管制業務についても十分な睡眠時間がとれるようになり、健康管理につながっています。当社は今後、管制センターを全国で一本化する計画もあり、さらに省力化を進められそうです」。

給与システムとも連携

コアズは隊員からの報告の簡易化のほかに、シフトマックスでクラウド上にリアルタイムに作成される勤務実績を既存の会計処理ソフトに反映させ、給与を自動的に計算するシステム構築も進めた。加藤次長はテストを含めKYODOUのサポートを受けながら、既存の会計処理ソフトとシフトマックスの互換を図った。

給与計算の自動化は、名古屋本社でまず先行導入した。今までは締め日にならなければ勤務実績が確定できないため、月末には実績の確定と給与計算に多くの人員・時間を要していた。

給与計算の自動化により、月末の経理業務の負担が大幅に軽減した。シフトマックス導入でリアルタイムに勤務実績を確認できる。勤務が終わったあとに隊長が報告書を手書きすると手間がかかり、間違える可能性もある。報告を自動化することで時間も正確になった。

年休チェックも

来年4月からの働き方改革への対応に向けた効果もあった。シフトを組んだ時点で労働時間や年休についてチェックを行うことで、長時間労働改善に向けた指導ができる。

東京・大阪・九州の事業本部は給与明細の項目などフォーマットに合わせた改良を行っており、年内には完了する予定だ。

加藤次長は使い慣れたエクセルで操作できる点も評価する。

「現場ごとに単価設定や交通費など経費を設定するマスターデータの作成は、従来から使っていたエクセルデータのコピー&ペーストにより、労力を使わずに移行できました。当社は1・2・3号業務に対応し雇用形態も含めると複雑な業務内容ですが、勤怠管理をベースとして全てに対応できました」。

「今ではシフト作成を各拠点で行うようになり、本社の負担が減りました。必要なときはエクセルデータを送ってもらうことで本社で打ち込み直す必要がなくなり、その点でも省力化になりました」。

エクセルを使用することで今までのデータ資産を有効利用でき、操作につまずくことなく学習期間・コストを抑えられる。各支社・各営業所の細かなルールに合わせたカスタマイズも可能だ。

約1年あまりになるリプレース作業を、加藤次長はこう振り返った。

「さまざまな業務について、システム化するのか、運用で解決するのか、という切り分けが大事です。シフトマックスは自由に機能追加ができるだけに、どんどんシステムの機能追加を進めると複雑化してレスポンスが悪くなったり、逆に余分な作業が増えます。社内的な要望と開発費用とのさじ加減も大切です」。

業務に余裕ができた分、加藤次長は現場への巡察にまわれるようになったという。隊員とのコミュニケーションをとったり、ユーザーと会って話す時間が大幅に増え、それは警備の質の向上や隊員の定着率アップ、現場の労働環境改善などにもつながっている。