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「人材確保と定着」我が社の取り組み㉓2017.1.21

齊藤正則さん 株式会社ニッセン 代表取締役

資格手当で収入を上げる

――齊藤さんは社業のほかに、警備業協会支部長と警備業協同組合副理事長を務めています。

それぞれで立場は違いますが、解決すべき課題は共通しています。当社の場合、社会保険未加入問題については、条件を満たす社員は既に加入済みです。問題は“人手不足”です。

――警備員の募集はどのように?

折り込みチラシで募集をかけていますが、若年層を中心に新聞をとらない人が増えているので、横浜・横須賀市民に無料配布している地域情報紙「はまかぜ新聞」に載せています。求人広告メディアのウェブサイトも活用していますが、いずれも反応は今ひとつで苦戦中です。先日6部屋ある借家を確保したので、それを社員寮として活用し応募要綱に加えてアピールしていく予定です。

――社員定着のための取り組みについては。

賃金を昨年11月から一律で上げました。さらに費用を全額会社で負担し、検定資格を取得させて手当を支給しています。資格者は1級は施設が2人、交通誘導6人。2級は施設と交通誘導で20人ずついます。

――職場環境を良くするためには原資の確保が必要で、営業が重要となります。

当社は昔から、お客さまに適正料金の見積りを提示しています。最近は特に2号業務では理解を得られるようになりましたが、「料金が高い」と難色を示された場合は、私が直接発注者にお会いして説明し、納得してもらいます。ただし、それには当社の警備の質が高いことが絶対条件となります。

――資格を取得することで、警備の質も上がります。

市役所からの発注業務では、資格者の配置が必須条件です。昨年、神奈川県の資格者配置路線が16から32に増え、交通誘導警備の資格が一層重要になりました。施設警備の配置基準も今後拡充されていくでしょう。

資格の重要性については、よく認識しているつもりです。私は警備業に関わる前、37歳まで建設会社に勤務していました。そのとき経営者の方針で、土木関係のほとんどの資格を取得しました。具体的には土木施工管理1級を筆頭に、掘削及び土止め支保工作業主任者、車両系建設機械はクレーンやパワーショベルなど多岐にわたります。その会社は後日、廃業になりましたが、同僚たちは資格のおかげで様々な職に就くことができ、私は「資格は一生もの」という思いを強く持ちました。

――警備員教育はどのように?

警察OBの社員3人と私の長男が指導教育責任者の資格を持ち、教育に力を入れています。 横須賀市では行政に関わる警備業務では、警備員一人ひとりが採点評価されます。詳細な項目を定めたチェックシートがあり、合計70点が平均ランク、最高点は105点です。当社の警備員は、おかげさまで80点から90点のAランク評価をいただいています。

採点結果は会社に届きますが、私は本人に評価内容を全て伝え、一緒に改善を目指しています。この採点評価は、清掃員や建築土木員に対しても同様に行われているようです。

――「ニッセン」では警備業以外に清掃業も手掛けています。

当社は創業時は「日専警備保障」という社名で、警備専門の会社でした。建築工事の養生や最終引き渡しの清掃を行ったことを機に、清掃業にも参入しました。横須賀市では、逆にビルメンテナンス会社が施設警備を行っていることが多く、業務拡張は必然でした。

警備と清掃の両方を業務にすることで、営業時にセットで提案できるメリットがあります。

――社員の退社を防ぐため“個人対応”が大切な時代といわれています。

社員からの相談には個別に対応しています。社員が抱える悩みで最も多いのは「人間関係」です。上司や同僚との相性、孤立しやすく一人の現場を希望したり、前職で高い地位についた人は態度に出てしまうことがあるようです。

会社で経費負担し、同僚20人ぐらいで参加する暑気払いや忘年会などのレクリエーションを通じ、懇親を図ることを推奨しています。