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兵庫警協 災害時の交通誘導で協定2016.8.21

県と警備会社が契約
全県から必要人員集める

兵庫県警備業協会(德田英治会長)は8月5日、県と「災害時等における交通誘導業務」に関する基本協定を締結した。県内での災害発生時や災害が予測される際、復旧工事現場などで地元建設会社が必要な交通誘導警備員を確保できない場合に、県からの要請に基づき、地域の支部長が応援要請に応える。支部内で警備員の確保が困難な場合は、他の支部長と連携し、県内全域から必要な人員を確保して災害現場へ派遣する。

協定締結に至る経緯は、今年初旬、県土整備部から「県内で発生した災害の復旧工事で交通規制が必要な場合に、各土木事務所の管内だけでは交通誘導警備員の確保が困難な場合がある。災害応援協定を締結し、災害時に確実に交通誘導警備員の確保ができるようにしたい」との要請を受けたのがきっかけ。

その後、県担当者と8回にわたる協議を重ねるとともに、兵庫警協の災害対策委員会(4月11日)や総務委員会(7月28日)、理事会(7月28日)での審議を経て協定を締結することとした。

協定締結期間は平成29年3月31日までで、県または兵庫警協から協定内容の変更や解除の申し出がない限り、同一内容で1年ごとに更新していく。

協定は基本協定(県土整備部長と兵庫警協会長)と地域協定(県民局長または県民センター長と各支部長)の二層協定の形式で、県民局長などと各支部長との地域協定は、8月中旬ごろから順次締結していく。

各支部内では支部長の下に交通誘導警備業務を専門とする幹事会社を選定し、県民局長などから要請を受けた支部長が幹事会社へ連絡し、以後は幹事会社が土木事務所と派遣警備員数などの調整を図り、出動可能警備業者に警備員の派遣を依頼する。

派遣する交通誘導警備員の費用は、派遣警備会社と県民局長などがそれぞれ随意契約し、建設会社を介さずに県が警備会社に直接支払う。また、その際の労務単価の算出方法は、県の土木工事積算基準(国土交通省の積算基準と同じ)を準用する。

兵庫警協は、阪神淡路大震災のような大規模な災害の発生に際しては、平成8年4月に県警本部長と協定を締結しているが、今回の県との協定は、そのような大規模な災害に至らない、地域での緊急・小規模の維持工事や修繕工事を想定している。

糟谷昌俊・県土整備部長の話 これで県土整備部として懸案となっていた案件の一つが解消した。このような災害が起こらないことを願うばかりだが、いざというときに心強い協定だけに、協定締結に感謝する。

德田会長の話 県の要請に応えるとともに、地域防災活動における協力支援活動に貢献していきたい。これから問題も出てくるだろうが、改善を重ね、良いものにしていきたい。

最低賃金、平均24円増を答申2016.8.1

厚労省審議会 引き上げ額、過去最高

厚生労働省の中央最低賃金審議会(会長=仁田道夫・東京大学名誉教授)は7月28日、塩崎恭久厚労相に平成28年度の「地域別最低賃金額改定の目安」を答申した。引上げ額は過去最高の平均24円で、全国加重平均の最低賃金額(時給)は822円となる。今後、各都道府県での地方最低賃金審議会の議論を経て、今秋にも全国で新たな最低賃金額が発効する。

引上げ額の目安は、全国をAからDランクに分けて決定された。

千葉、東京、神奈川、愛知、大阪の5都県の「Aランク」は25円、茨城、栃木、埼玉など11府県の「Bランク」は24円、北海道、宮城、群馬など14道県の「Cランク」は22円、青森、岩手、秋田、山形など17県の「Dランク」は21円――のそれぞれ引き上げとなる。

引上げ額は平均24円(昨年度は18円)、全国平均の最低賃金額は822円(同798円、いずれも全国加重平均)で、最低賃金額が目安どおりに引き上げられると、最低賃金が時給で決まるようになった平成14年度以降で最高額となる引上げになる。また、引上げ率に換算すると3.0%(同2.3%)で、政府の策定した「ニッポン一億総活躍プラン」に示された「最低賃金を年率3%程度引き上げていく」を実現した格好となった。

最低賃金額が目安どおりに引き上げられた場合の新たな最低賃金額は、東京932円、神奈川930円、大阪883円、愛知845円、埼玉844円、千葉842円、京都831円などとなる。これまで600円台だった沖縄や鳥取(現行693円)などでは700円台となり、全国で600円台の地域がなくなる。

「中小」への支援を明記

今年度の最低賃金額改定の目安については、6月14日に塩崎厚労相が同審議会に調査・審議を諮問。塩崎厚労相はその際、6月2日に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」「経済財政運営と改革の基本方針2016(骨太の方針)」「日本再興戦略2016(成長戦略)」に配慮した調査・審議を求めた。

これを受けて同審議会の小委員会(使用者、労働者、公益の各委員で構成)で4回にわたり議論を行ってきたが、労使双方の意見の隔たりは大きく、意見の一致には至らず、公益委員の見解を答申とすることで労使の了承が得られた。

公益委員は、“ニッポン一億総活躍プランなどに配意、諸般の事情を総合的に勘案”し、見解を取りまとめた。また、答申には、中小企業・小規模事業者の生産性向上のための支援や取引条件の改善に引き続き取り組むこと、行政機関が民間企業に業務委託を行っている場合には、年度途中の最低賃金額改定で業務委託先の最低賃金の履行確保に障害が生じることがないよう、発注時に特段の配慮を行う――など、政府への要望も盛り込まれた。