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視点

介助技術 警備業、しっかり学ぼう2018.12.01

ホテルや旅館に、車いす利用者が使いやすい客室を増やすことを求めるなどの「改正バリアフリー法」が11月から施行された。観光庁と旅行業界は、車いすの人や、目や耳の不自由な人が参加しやすい旅行プラン「バリアフリー・ツーリズム」を推進する。警備員は、観光地の施設や駐車場などで障害者に接する場面が増える。警備業界は、体が不自由な人に適切に対応するスキルをより一層、高めていく時である。

スキルアップの方法として、車いす利用者を介助する訓練や、目の不自由な人を誘導する訓練、手話講座がある。基本的な対応は、車いすの人に接する時は相手の目線に合わせてしゃがむ。車いすを押して坂道を下る場合、車いすを後ろ向きにしてゆっくりと移動する。白い杖を持つ人を案内する時は、杖に触れない。耳が不自由な人に対しては手話や筆談だけでなく、身振り手振りも役立つ。

より深い知識は、民間資格の「サービス介助士」を取得して身につけることができる。この資格は、障害者や高齢者に対する介助技術を学ぶもので、交通機関やホテルなどで働く人を中心に現在15万人以上が取得している。

社会の高齢化が一段と進む中、生活安全産業を担う警備員は、体の不自由な人への適切な対応の手本を、率先して示すことが求められている。

今から7年後、2025年の日本は、3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上の社会になると予測される。健康な人であっても加齢によって足腰や目は弱り、車いすや杖を利用する場合がある。そこで警備員の言葉掛けや介助、温もりある接遇へのニーズは高まるはず。警備現場で、障害者への対応をさらに充実させるため、隊員が経験を通じて得た教訓などを社内で情報共有して、新しく入る隊員に伝えていく仕組みが重要だ。

体の不自由な人の安全を守るため、警備員は具体的にどう対応すべきか。そのノウハウを示したのが、静岡県警備業協会が10月に開いた「視覚障害者に対する工事現場周辺の誘導」をテーマとする研修会だ。

視覚障害者が働くNPO法人の施設長が講演し、警備員が目の不自由な人を案内する時には「白い杖を持つ手や盲導犬の反対側に立つ。腕や肩をつかんでもらって歩く」などのポイントを説明するとともに、こう話した。

「病気や事故によって視覚に障害を抱える人は毎年1万5000人以上にのぼります。人生の途中で目が見えなくなることは決して他人事ではありません。白い杖を持つ人は、全盲でなくても視界が極端に狭い人が多い。歩き慣れた道でも工事中なら、警備員に案内してもらうことが切実に必要です。横断歩道を渡る時に“とおりゃんせ”などの音が流れない信号機なら、声を掛けて渡るタイミングを教えてもらえると助かります」。

警備員が相手の身になって役に立ちたいという思いを持ち、積極的に声を掛ける姿勢が、より的確な対応につながるに違いない。

障害者、高齢者にとって安全安心な社会は、全ての人に安全安心な社会だ。超高齢化に向かう社会で警備業界が一層の存在価値を示してほしい。

【都築孝史】