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視点

謹賀新年2020.01.01

日本の警備ここにあり

旧年中は、取材・購読・広告出稿など大変お世話になりました。衷心より感謝いたします。

新しい年は、いよいよ〈東京2020〉です。警備に携わる皆さまにとって、さらなる飛躍の舞台となる千載一遇のチャンスでありましょう。

「日本の警備ここにあり」――英知を結集して警備の成功を祈るや切です。

小紙は今春の「3・11号」で創刊8周年を迎えます。これも皆さまのご支援とご協力があってこそ積み重ねることができた「紙史の佳節」であります。

これからも同人一同は、警備業界発展の一助となりますよう、鋭敏な感覚で情報の発信に力を尽くす所存です。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

               ◇   ◇             

近ごろ、あちこちで「ワンチーム」という一語を耳にする。警備業界で言えば〈東京2020〉とリンクして「“ワンチーム”で大会を成功させよう」といった言いようだ。

会場の内外だけでなく、聖火リレーの沿道なども含め全員が心を一つに東京オリンピック・パラリンピックの警備をやり遂げようという決意の呼びかけである。ストンと胃の腑(ふ)に落ちて分かりやすく、その意気を簡潔に言い表して妙である。

この「ワンチーム」、説明するまでもないだろう。昨秋のW杯ラグビーで快進撃を演じた日本代表チームがスローガンに掲げた「ONE TEAM」だ。年末には新語・流行語の「年間大賞」に選ばれ一段と多くの人たちが知るところとなった。

信頼のオフロードパス

代表チームが史上初の8強入りを果たしたスコットランド戦の記憶は今でも鮮明だ。とりわけ、しびれたのは、前半の相手ゴール近くでの攻防。フォワード、バックス一体となって「オフロードパス」を3連続で決め、勝利をたぐり寄せたトライ・シーンだ。

オフロードパスは、タックルを受けて倒れながら、ときには背面に片手でボールを返し、パスをつないで攻める高度なテクニックである。パスが相手に奪われると、チャンスは一転、ピンチとなるリスクを併せ持っている。

それでも彼らは敢然と挑んだ。そこには「ここでオフロードパスを出せば、必ずサポートする仲間が後ろに続いている」という確固とした信頼と結束があった。いわば、代表チームが「ワンチーム」を実際に表現した象徴的なプレーだったのである。

ゴールに飛び込んだのが“笑わない男”で名をあげた稲垣選手だったこともよかった。彼はスクラムや密集での地味な仕事が本職のプロップで、代表になってから初めてのトライだったのだ。フィフティーンは各ゲームで何発も必殺のオフロードパスを決めた。

のちに知ったのだが、前任監督のエディーさんは、オフロードパスはリスクが高いとの判断で“禁じ手”にしていた。バトンを引き継いだジェイミー監督は、もう一段のチーム力アップを目指す戦略にオフロードパスを導入した。代表選手たちは一人として異論をはさまず受け入れたという。

チーム31人の中には7か国15人の海外出身選手がいた。アウトロー的な選手もいたであろう。それが、一つにまとまったバックボーンは何だったのだろうか。それは、選手たちが個々に持つ「自立の精神」を発揮したのではないかということに思い至った。

それぞれが自ら勝ちたいという欲求のためには何をするべきか、それぞれが自ら決めて、連携練習を積み重ねてたどり着いたたまものだったのだろう。「一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために」というラグビーの格言を具現する行動だったのだ。

さて、〈東京2020〉である。警備業の「ワンチーム」は、どのような“レガシー”を後世に残せるのか。すべての組織や集団に「ワンチーム」を普遍化して求めるのは難しいことを承知のうえでのこと。高みを目指し挑戦して欲しい。成果を待ちたい。

【六車 護】