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仙台大学、警備業で実習授業2017.10.21

宮城警協が全面協力

仙台大学(宮城県柴田郡柴田町、阿部芳吉学長)は10月11日、体育学部現代武道学科の授業の一環として、警備業での実習授業をスタートさせた。実習には宮城県警備業協会(千葉英明会長)が大学との連携企画「警備塾」と称し全面的に協力、同協会が行う検定事前講習の実技種目の見学や加盟社の企業見学などに応じる。

仙台大学の現代武道学科は、武道と警護・警備を併せた「現代武道」として平成23年度に開設された。卒業生は「学士(現代武道学)」の学位が授与され、教員や警察官、刑務官、消防士、全国展開する警備会社の基幹的な職員として活躍している。

同学科では、海外や町道場などでの武道実習を行ってきた。より多くの学生が受講でき、警備業や警備業務に対する理解促進のため、実習授業を行うこととし、新たなカリキュラムを編成した。

初の同授業を選択したのは、3年生13人、4年生7人の計20人の男子学生。4年生3人は来春、警備会社に就職が決定している。

11日に宮城警協内で行われたオリエンテーションで学生は、同協会の高橋敦専務理事とワールド警備保障の中村仁氏の両氏から「警備業の歴史・現状と将来」や「現場から見た警備業界の現状と業務のやりがい」について説明を受けた。15日には、同協会が東松島市内で行った施設1級事前講習に参加し、実技種目の見学や学科模擬テストを体験、検定制度の概要や重要性、特別講習講師の役割などを学んだ。

カリキュラムは、ほかに▽宮城警協青年部が中心となって開催する「2017警備業セキュリティフェア」の運営体験(警備業界の理解促進と雑踏警備業務の実体験)=22日 セコムグループのセコム工業(白石市)、コスモ警備と日本パトロール警備保障、ワールド警備保障(いずれも仙台市)など全国大手警備会社と地元警備会社の見学=11月▽若手幹部との座談会=12〜1月など、4時間×5日の計20時間(月に概ね1回程度)の授業が予定されている。

カリキュラム編成や宮城警協の実習受け入れの橋渡し役として尽力した同大学の田中正孝講師(前宮城警協専務理事)は「オリエンテーションでの説明に、学生は警備業への関心を一層高めたようだ」と述べ、新たな取り組みに手応えを感じとっていた。

全国警備業協会(青山幸恭会長)が6月に公表した「警備員不足対策及び警備員の社会的地位の向上方策について」(基本問題諮問委員会調査部会最終報告書)では、新卒者確保策として「地元大学の講義に警備業に関する講義の導入」などを明記、都道府県警協に取り組むよう求めている。仙台大学との取り組みはこれを具現化したもので、全国への広がりが期待される。

長崎県が「共通仕様書」改訂2017.10.11

「実務経験年数を削除」

長崎県は9月15日、県内での交通誘導警備員のひっ迫を受けて、県発注建設工事に適用する「共通仕様書」を改訂し、工事で交通誘導警備業務に従事できる警備員の資格要件を緩和した。「実務経験年数1年以上」を削除するとともに、工事受注者である建設会社の社員「自警員」による交通誘導(自家警備)を可能とした。

これまで県発注工事での交通誘導警備については、安全性を考慮し原則として全ての路線で1級または2級の検定合格警備員が必要としてきた。検定合格警備員を配置できない場合は、「交通誘導に関して専門的な知識と技能を持つ警備員等」を配置できるとし、(1)警備業法での指定講習終了者(2)同法での基本教育と業務別教育を受けた人で、交通誘導に関する警備業務従事期間(実務経験年数)が1年以上――の資格要件を設けてきた。しかし、今回の共通仕様書の改訂で「実務経験年数1年以上」を削除した。

また、建設会社が警備業協会(警備会社)に交通誘導警備員を要請した結果、必要な人数を配置できないことを警備業協会(警備会社)が証明し、県監督職員との協議で認められた場合には、新たな緩和措置として“試行的”に建設会社の社員「自警員」による交通誘導(自家警備)を認めた。

交通誘導ができる自警員には、過去3年以内に「県交通誘導警備員対策協議会」が承認した団体が実施する安全講習会の受講を義務付ける。路線については、県公安委員会の検定合格警備員配置指定路線(認定路線)を除く路線で、車線規制による交通誘導やバイパス工事出入口など基本的に誘導員間の連携が伴わない場合と、片側交互通行規制などの複数の誘導員による連携が伴う警備であっても、交通量が規制に与える影響度合い(交通量の影響)が少ない場合に限定した。

建設会社には、これら自警員による交通誘導が認められた場合、交通誘導警備計画の立案と、監督職員と所轄警察署などの関係機関との協議を求めた。

さらに、自警員による交通誘導の費用積算については、警備計画に基づき計上し、採用する労務単価は業務内容から、「普通作業員」などではなく、「交通誘導警備員B」を適用する。

改訂された仕様書は9月15日以降に起工した工事に適用されているが、適用日以前に契約し、施工中の工事についても、建設会社からの申し入れがあった場合は、県と建設会社との協議の上で適用も可能とした。

県は同日、市や町にも同仕様書を参考通知した。

国交省・警察庁「自家警備」で補足通知2017.10.1

「奨励する趣旨ではない」

国土交通省は9月22日、自家警備などを内容とする6月に示した通知「交通誘導員の円滑な確保について」が警備業界に動揺を与えていたことから、同通知の“補足通知”を、全国の自治体と建設業団体に出した。警察庁も同日、6月通知に明記された「交通誘導員対策協議会」への対応に関する“留意事項”を、全国の警察と全国警備業協会に通知した。

国交省の補足通知は、6月通知について「被災地など一部地域で交通誘導員がひっ迫し、公共工事の円滑な施工に支障を来しているため、工事の円滑な施工確保のために出した」と、通知の趣旨を再度明記した。加えて「交通誘導などが適切に行わなければ、一般の歩行者や車両などの第三者に危害を与える恐れがある」とし、交通誘導員の確保対策における安全への十分な留意を求めた。

交通誘導員確保対策の検討の場として都道府県単位での設置を求めた「交通誘導員対策協議会」については、同協議会の検討事項に(1)交通誘導に係る費用の適切な積算(2)適切な工期設定や施工時期などの平準化――についての情報共有と検討が含まれるとした。また、同協議会での検討内容として挙げた、交通誘導員不足が顕在化または懸念される場合の建設業者職員による交通誘導「自家警備」を行う場合の条件整理については、▷警備業者が交通誘導警備員不足で同業務を受注できない▷工事の安全上支障がない――場合に限るなど、やむを得ない場合かつ安全性を確保した運用を想定したものだとした。自家警備の配置検討では、警備業者や警備業協会、警察などと連携し、安全が十分に確保されるよう求めた。

さらに、指定路線の有無に関わらず、警備業法上は自家警備は可能と明記した点については、「法解釈を確認したもので、自家警備を奨励する趣旨ではない」とした。

一方、警察庁の留意事項通知は、6月の国交省通知で示された「交通誘導員対策協議会」への対応を補足した。「自家警備」は警備業者が交通誘導警備員不足で同業務を受注できずに工事の安全上支障がない場合など限定的な運用を想定するとともに、同協議会での検討が自家警備を奨励する趣旨ではないことを改めて明確にした。