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刑法犯20年ぶりに増加2023.02.21

警察庁 22年の「犯罪情勢」

警察庁の発表によると、全国の警察が2022年(1〜12月)中に把握した刑法犯(刑法犯認知件数)は60万1331件、戦後最少だった21年の56万8104件を上回ったことが分かった。02年をピークに減少し続けてきたが20年ぶりに前年より増加した(5.8%増)。警察庁は犯罪増加傾向や、治安に関するアンケート調査で体感治安の悪化を指摘する声が多かったことなどから「わが国の犯罪情勢は厳しい状況にある」と指摘している。

認知件数の内訳は、自転車盗や街頭での暴行などの「街頭犯罪」の割合が最も大きく20万1619件、前年比14.4%増。増加の多かった自転車盗、傷害・暴行について警察庁は「コロナ感染状況の変化などによる人流増加が一定程度影響した」と分析している。

“体感治安”に影響するとみられる殺人、強盗、放火、強制性交等などの「重要犯罪」は9535件で前年より8.1%増。殺人と強盗は横ばいだったが強制性交等と強制わいせつが2年連続で前年より増えた。

特殊詐欺は、認知件数1万7520件と2年連続で増加(同20.8%増)、被害総額は約361億円で8年ぶりに前年より増加(同28.2%増)。手口では「還付金詐欺」が26.7%と最も多かった。

サイバー空間の脅威は深刻な状況が続いている。特に「ランサムウェア」と呼ばれる不正プログラムによる被害が世界的に問題となっている。22年中警察庁に報告されたランサムウェアによる被害件数は230件で前年比57.5%増だった。

体感治安が悪化

警察庁が22年10月に全国の男女5000人にインターネットを通じて実施した〈治安に関するアンケート調査〉では、「日本の治安はよい」「安全で安心して暮らせる」と感じているのは68.6%(「そう思う」と「まあそう思う」の合計)。21年の75.9%から7.3ポイント減少した。逆に「あまりそう思わない」と「そう思わない」の合計は24.9%と、21年の20.5%より4.4ポイント増えた。

「ここ10年で日本の治安はよくなったと思う」は14.9%(「よくなっている」と「どちらかといえばよくなった」の合計)。21年の20.8%より5.9ポイント減少。「どちらかといえば悪くなった」「悪くなった」の合計は67.1%で、同64.1%より3ポイント増加した。その要因として回答者が想起した犯罪は「無差別殺傷事件」が最も多く63.5%、次いで「オレオレ詐欺などの詐欺」62.4%、「児童虐待」55.5%、「サイバー犯罪」54.1%。いずれも5割を超えた。

群馬警協 県と「家畜の防疫」協定2023.02.11

警備員、作業車両を誘導

群馬県警備業協会(山﨑松惠会長)は群馬県(山本一太知事)との間で、鳥インフルエンザ発生に伴う防疫業務の際に協会員が車両誘導などの業務に協力する協定を1月27日に締結した。全国的に鳥インフルが広がる中、防疫時の安全確保に努める。

前橋市の県庁内で行われた締結式に群馬警協から山﨑会長、坂本龍二専務理事が出席。山本知事と山﨑会長が協定書を交わした。

協定の名称は「特定家畜伝染病発生時の防疫業務に関する協定」。口蹄疫、豚熱、高病原性鳥インフルエンザなどが県内で発生した場合、協会員は(1)発生農場とその周辺で車両誘導と整理(2)消毒ポイントにおける車両誘導(3)その他、協議により必要と認める作業――を行う。県は、地域ごとに窓口となる協会員と契約し経費を負担する。

県農政部畜産課によると農場内の防疫作業では家畜の殺処分、畜舎内の消毒・清掃が行われる。フォークリフトや作業車が昼夜稼働し、作業の従事者と車両が交差して危険が生じる。処分した家畜、えさなどの汚染物を農場外のまいきゃく地などに運搬する際は、近隣住民や通学児童など周辺地域への安全配慮が必須となる。

「防疫作業を迅速、円滑に行うため警備員の配置は欠かせない」として県畜産課と警協は昨年6月から検討会議を重ね、今回の協定締結に至った。

鳥インフルは今季25道県で発生(1月末日現在)、約1235万羽が処分され過去最多ペース。群馬県内では前橋市内の養鶏場で感染が確認され1月19日から25日にかけて採卵鶏45万羽を殺処分、締結間近の協定に準じ協会員の複数の警備会社が24時間体制の交通誘導警備を行った。1月27日から29日にかけては5万5000羽が処分、協定に基づく警備業務が行われた。

山本知事は「スムーズな防疫作業は大きな課題。協会の協力を得て安全で迅速な措置を遂行する体勢を整えたい」と述べた。

山﨑会長の話 県との間で災害支援協定を結んで以来26年、災害対策訓練を毎年行って警備員の技能向上を図ってきました。安全安心な地域社会に向けて県と連携した取り組みを更に進め、県民と社会への貢献に努めてまいりたい。

セコム創業者・飯田 亮氏 死去2023.02.01

日本初の警備会社、全警協初代会長

警備業界の巨星、つ――。1962年、日本初の警備会社「日本警備保障(現・セコム)」を設立して東京五輪選手村を警備、80年から全国警備業協会の初代会長を務めるなど、警備業発展の礎を築いた飯田亮(いいだ・まこと)氏が1月7日朝、心不全のため死去した。89歳だった。

1933年東京生まれ。学習院大学政経学部卒。56年、父の経営する酒類問屋・岡永を経て、62年に友人の戸田壽一氏(故人)とともに日本初の警備保障会社「日本警備保障(現・セコム)」を設立、代表取締役社長に就任した。グループ会社数178社、グループ社員数6万4000人、連結売上高1兆500億円(いずれも2022年)の我が国を代表する警備会社に育て上げた。

76年代表取締役会長、97年取締役最高顧問。2022年に取締役を退任し「創業者・顧問」に就任した。

64年、戦後復興のシンボルとして我が国で開催された初のオリンピック「東京五輪」では、選手村などの警備を同社単独で担当した。

66年には日本初のオンラインによる安全システム「SPアラーム」を開発・発売、81年には日本初の家庭用安全システム「マイアラーム(現在のセコム・ホームセキュリティ)を開発・発売するなど、日本の機械警備の先鞭をつけた。

業界活動では、79年に全国警備業協会の前身「全国警備業協会連合会」の会長に就任、警備業界の社会的地位向上を目指して同連合会の法人化に努めた。翌80年に発足した社団法人全国警備業協会の初代会長に就任した。その後、会長として2002年までの23年間、警備業務の適正化や警備員教育の質の向上など業界全体の指導、協会組織の体制確立に尽力した。