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国交省 建築保全業務、積算基準を改定2018.9.21

法定福利費、原価に

国土交通省は9月12日、「建築保全業務」の積算基準などを改定した。各省庁が庁舎の施設警備や清掃などの建築保全業務を、外部業者に委託する際の“予定価格”作成の参考となるのもので、5年ぶりの改定。現場警備員の社会保険料など法定福利費と、募集費や教育・研修費が労務管理費として、それぞれ「業務原価」に移行・追加された。

改定されたのは建築保全業務に関する①積算基準②積算要領③共通仕様書。

積算基準の改定では、現場警備員の健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険の各保険料の事業主負担額である法定福利費を、一般管理費から業務管理費(業務原価)に移行、業務実施に不可欠な費用として認めた。現場警備員の募集や研修・教育・訓練などに要する費用は、新たに「労務管理費」として業務管理費に追加、原価として計上する。

警備業務に必要な制服、警戒棒、防刃ベスト、携帯用金属探知機などの警備用具は「工具・用具費」、常駐業務室や警備員詰所などと、そこに必要な机やロッカーなどに要する費用は「その他」として、それぞれ業務に不可欠な費用である直接物品費に追加した。

積算要領の改定では、法定福利費が一般管理費から業務管理費に移行したことを受け、これらの比率を見直した。具体的には、業務管理費率が現行の6〜10パーセントを18〜22パーセントに、一般管理費率は20〜25パーセントを9〜14パーセントに、それぞれ改定した。

また、これまで施設警備と機械警備は、同じ「警備」として直接物品費率、業務管理費率、一般管理費率の各費率を定めていた。しかし、機械警備については業務ごとの個別性が高いことから、一律の計上から除外。見積もりや他の積算資料、過去の実績などから費用を算定するよう積算法を見直した。

共通仕様書の改定では、地震や暴風、豪雨などの自然災害発生時の対応を明確化したほか、これまで「警備員」は単に「警備業務に従事する者」としていたが、「警備業法に定められた要件を満たし、同法に基づく法定教育を受けた者」と、警備員の法的な位置づけを明らかにした。警備計画書、服装、鍵の取り扱いなどについては、現状に即して見直した。

 

「働き方改革」関連法の政省令固まる2018.9.11

新36協定、様式を明示

厚生労働省は8月27日、「働き方改革関連法」の関係政省令や指針の改正案要綱を労働政策審議会労働条件分科会(分科会長=荒木尚志・東京大学大学院教授)に諮問した。同分科会は9月3日までに、同改正案要綱を「妥当」と答申、これにより同政省令の骨格が固まった。来春の働き方改革関連法の施行へ向け大きく前進する。

時間外労働の上限規制関係の省令案では、改正労基法36条に基づく時間外・休日労働協定「36協定」を結ぶ際に定める事項(様式)を明示した。内容として(1)協定の有効期間(2)起算日(3)臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間・単月100時間未満・複数月平均80時間(ともに休日労働含む)の要件を満たすこと(4)限度時間を超えて労働させることができる場合(5)限度時間を超えて労働させる労働者への健康・福祉確保措置(6)限度時間を超えた労働に係る割増賃金の率(7)限度時間を超えて労働させる場合の手続き――が示された。

(5)の「健康・福祉確保措置」では、行った措置の実施状況の記録を、36協定の有効期間中と有効期間満了後3年間保存を求めた。

また、上限規制は建設事業など一部の事業は改正法施行5年後に適用、それまでは適用が猶予される。警備業は、建設事業での交通誘導警備の業務に限り5年間適用が猶予される。

年次有給休暇については、10日以上の年休を有する従業員に対し、5日については時季を指定して与えなければならないとし、その際、使用者に指定時季について従業員の意見を聴くことと、異論が出た場合は同意見を尊重するよう努力を課した。

また、従業員ごとに年休の付与時季、日数、基準日を明らかにした「年次有給休暇管理簿」の作成と、3年間の保存を求めた。

改正安衛法と同規則関係では、医師による面接指導の対象を、「月の時間外労働時間が80時間超で疲労の蓄積が認められる人」と明示した。また、時間外労働が80時間を超えた従業員には、80時間超となったことの速やかな通知を求めた。

改正法の施行は2019年4月だが、中小企業に対する時間外労働の上限規制の適用は2020年。

 

災害への備え、万全に2018.9.01

各地で防災訓練スタート

地震、豪雨など災害への関心が高まる中、関東地方では「防災の日」を前に、「九都県市合同防災訓練」が相次いで行われた。警備業は各警協が中心となって同訓練に参加、道路啓開での緊急車両の交通誘導などの訓練を行った。千葉、埼玉、北関東綜警の各訓練を取材した。

千葉警協

千葉県警備業協会(横倉健会長)は8月26日、勝浦市内で行われた九都県市合同防災訓練(千葉県会場)に参加した。

訓練は、相模トラフ沿いを震源とするマグニチュード8クラスの地震が発生、勝浦市内では最大震度6強を観測。強い揺れにより家屋倒壊や斜面崩壊などの被害が多数発生するとともに、沿岸部では最大5メートルの津波襲来が予測され、迅速な避難が必要――との想定で行われた。

警察や消防、自衛隊など約110の関係機関・約5000人が参加した同訓練に、千葉警協は2社6人が参加。また、地元の警備会社は、会場周辺で訓練関係車両の交通誘導や参加者・見学者の案内誘導を担当した。

千葉警協が参加したのは、メイン会場で行われた道路啓開訓練と隣接する山間部で行われた孤立集落対策訓練。道路啓開訓練は、放置車両や倒壊した信号機を、レッカー車やクレーン車などの緊急車両を用いて取り除くもので、龍成警備(市原市、柳瀬昭江代表取締役)の4人の警備員が緊急車両の交通誘導などを行い、道路の速やかな復旧に取り組んだ。

孤立集落対策訓練では、土砂崩れや倒木などで塞がれた集落へ向かう生活道路で、自衛隊の隊員がチェーンソーで道を切り開き、建設業協会が重機で土砂や倒木を除去した。千葉警協のアイワ警備保障(睦沢町、伊原三男代表取締役)の2人の警備員は、これら重機などの緊急車両の出入りに伴う交通誘導警備を行った。

訓練開始時間(午前10時)の同時刻、千葉市内の千葉警協事務所では、熱田貢一専務理事が図上シミュレーション訓練を実施。発災時の関係機関への連絡などを行い、対応の実効性を検証した。

埼玉警協

埼玉県警備業協会(山﨑守会長)は8月26日、埼玉県・蓮田市総合防災訓練(九都県市合同防災訓練・埼玉県会場)に参加した。

蓮田市内の総合市民体育館周辺と市内各所で行われた同訓練には、消防や警察、自衛隊、災害時応援協定締結民間企業・団体など157機関・団体から約8000人が参加した。

訓練は、深谷断層帯・綾瀬川断層を震源とするマグニチュード8.0の地震が発生、県中央部を中心に甚大な被害が発生し、蓮田市内でも最大震度6強の揺れを観測したと想定。(1)住民活動(2)救出救助(3)災害時医療(4)ライフライン復旧――など全7項目にわたる訓練が行われた。

埼玉警協からは、山﨑会長をはじめ災害対策委員会の栗原晃委員長(新日本警備保障)、埼玉警協災害警備隊隊員4人が参加。がれきが散乱して通行不能となった道路の早期復旧「道路啓開訓練」で、関係車両の交通誘導警備に当たった。また、熱中症予防のための声掛けや会場警備も行った。

北関東綜警

北関東綜合警備保障(宇都宮市、青木靖典社長)は8月25日、23回目の同社グループ防災訓練を本社ビル駐車場で開催した。社員448人、地域の住民など400人が参加した。

今回は、宇都宮市内の5つの自治会と連携し、同社隊員による住民の避難誘導や水消火器の使い方の指導が行われた。また、同訓練状況は、本社「災害対策本部」で“ウェブカメラ”を使った中継によってリアルタイムで逐次確認された。

訓練は、宇都宮市内で震度6強の地震が発生、青木勲同社会長を“統括官”とする災害対策本部を設置し、地域の住民と契約先の安全確保を図る――との想定で、2部構成で行われた。

第1部では、同社レスキュー隊よるビル上階からロープを使って要救助者を降ろす「吊り下げ救助」や、障害物を乗り越える訓練などを披露。「女子警備隊」の4人は、施設での被災を想定して来場者の避難誘導と初期消火活動を行った。

第2部では、自治会の住民や子供たちも参加。レスキュー隊員からAEDの使い方や簡易な応急処置の手ほどきを受けるなどして知識を深めた。

青木会長は、今年12月に同社が創立50周年を迎えることに触れ、「『大地に根を張る50年』として今回は地域の方々とともに訓練を行った。一人ひとりが防災意識を高め、我々企業も災害に強いまちづくりを推進していくことが大切。訓練は財産であり、訓練に勝るものはない」と総括した。