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警備業の政治団体、設立へ2019.04.21

全警協とは別組織 発起人・青山会長が表明

全国の警備業界の有志で作る政治団体「全国警備業連盟」の設立パーティーが6月5日、全国警備業協会総会後に東京都内の同じホテルで開催されることになった。これは4月11日に静岡県浜松市であった関東地区警備業協会連合会(会長=島村宏・茨城警協会長)の「通常総会」に来賓として出席した全警協の青山幸恭会長が「会長会」の席上で設立発起人の代表としての立場で明らかにした。

青山氏は政治連盟について、「全警協とは別の組織であり、中立性を保ちながら警備業の更に健全な発展のために運営活動を展開したい」と設立の趣意を次のように述べて理解と参加を求めた。

「全警協としてこれまで、関係する行政の各省庁に対し、警備業を取り巻くさまざまな課題について要望を行い、一定の改善はなされてきた。しかしながら、国権の最高機関である国会、政党など政治の世界への要望と要請は出来ていないのではないか。そのためには、警備業界として政治団体を設立して業界を真に応援してくれる政治家(国会議員)への働き掛けを強めなければならない」。

通常総会後に開かれた会長会では出席した関東地区連10県の会長から各県警備業界の政治連盟設立に向けた取り組みの実情報告が行われた(2県は専務理事が担当)。発言内容の大半は、設立の趣旨に賛同の意を示した。

司会を務めた島村会長は「茨城県は4月下旬に最終的な発起人会を開き、5月中旬には業界として設立総会を予定している」と明らかにした。また、全警協の参与で政治連盟の設立発起人の一人として出席した橋本満氏(前広島警協会長)は、「県内では、加盟社の半数、80人の参加を目指し設立の方向で進めている」と報告した。

その一方で具体策については「協会として主導するのは難しい」「県内での政治連盟の設立には理事会で早急に対応を協議するが、当面は警備事業者に“賛助会員”として協力を要請したい」「業容規模の大きな警備会社は(政治連盟の)設立を望んでいる。しかし、協会として総意を一本化するには時間が必要だ」との慎重論が出た。

警備業界では1月下旬、鹿児島県の警備業有志が全国初の「警備業政治連盟」を発足させた。活動地域は県内で、会員は連盟の趣旨に賛同する個人とし、44社66人が加入している。7日に投票が行われた県議会議員選挙(定数51)では、自民党14人と社民党1人を推薦して全員当選となった。同連盟では推薦議員に、災害後の警備に対する予算措置、「自主行動計画」の支援などを県当局に要請してもらいたい意向だ。

 

「交通誘導警備員に配慮を」2019.04.11

厚労省、建設業団体に要請

厚生労働省は3月28日、全国の建設業団体などに対し、建設現場で交通誘導警備業務に従事する警備員が労働災害に遭わないよう、建設業の現場管理者が配慮するよう要請した。同省が建設業に警備業への安全衛生上の配慮を求める要請通達を出したのは初めて。

要請は、全国約100の建設業団体のほか、都道府県労働局、建設工事の発注や建設業者の指導を行う国土交通省の担当課、農地整備など農業関係工事を担当する農林水産省担当課にも行った。

交通誘導警備業務中の警備員の労働災害が多発していることから、建設現場を管理するゼネコンなど建設業の現場管理者に警備員の安全確保を求めた。

今後、労働局や労働基準監督署による建設現場への指導の際、交通誘導警備員の安全確保対策なども確認されることとなる。また、国交省や農水省も、建設工事発注者の立場から、建設業者に対して交通誘導警備員への安全確保を促す。

同省の調べによれば、警備業では2018年(1〜12月)に全国で29人が労働災害で死亡した。4日以上の休業まで入れると1732人となり、前年に比べ161人増加した(いずれも今年3月7日現在)。

労働災害の「事故の型」を見ると「交通事故(道路)」が最も多く241人。「激突され」67人、「はさまれ・巻き込まれ」64人だった。これらの多くは道路工事現場や土木・建築工事現場で交通誘導警備業務中の警備員が、「一般車両と接触」「ダンプや重機などに激突され・挟まれ」などによる被災と思われる。

また、4月1日に施行された「働き方改革関連法」の一つ新労働基準法の「残業の上限規制」では、建設工事に伴う交通誘導警備が5年間の“適用猶予”になった。このことからも交通誘導警備業務は建設業との関連性が強いと判断、今回の要請に至ったようだ。

同省は2019年度、警備業の未熟練労働者への安全衛生教育に活用できる「マニュアル」も作成する。安全管理体制が脆弱な中小の警備会社が行う安全衛生教育を支援、同事業場で働く“未熟練”警備員の安全を確保する。

マニュアルの作成は、同省の企画入札でメガバンク系のシンクタンクが受託。今後、同省と全国警備業協会との3者で内容を詰め、作業を進める。完成したマニュアルは同省ホームページにも掲載し、全国の警備会社が自由に活用できるようにする。

 

「働き方改革」スタート2019.04.01

年休5日、取得を義務に

4月1日に新労働基準法が施行され、“働き方改革”の主要事項の一つ「年次有給休暇の取得義務化」がスタートした。企業規模の大小に関係なく4月から全面適用される年休義務化は、違反すれば30万円以下の罰金が科せられる。警備業は、警備業法においても行政処分の対象となる。他業種に比べて法令順守が強く求められる同業界として、新労基法と新制度の正しい理解・適切な対応が求められる。

年次有給休暇の取得義務化は、年10日以上の年休を持つ従業員に対し、会社が時季を指定して5日の年休を取得させるものだ。

違反すれば、会社には法違反の対象となった従業員1人当たり30万円以下の罰金が科せられる。警備業法においても「他の法令違反」として“指示”や“営業停止”など行政処分の対象となる。

年休の「時季指定の方法」は、年度当初に従業員の意見・希望を聴いた上で「年休取得計画表」を作成、同表に基づいて付与する方法などがある。労使協定による年休の計画付与や、従業員が自ら時季を指定して5日以上の年休を取得した場合には、会社による5日間の時季指定は不要だ。しかし、従業員が年間3日の年休を取得した場合などは、会社は残りの2日の年休を時季指定して取得させる。また、年休に関する事項は就業規則に必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」。時季指定の対象となる従業員の範囲と時季指定の方法などについて、就業規則に記載しなければならない。

現行の「半日単位の年休」は、従業員が取得を希望して時季を指定し、これに会社が同意した場合のみに認められる。この取り扱いに沿えば、会社は半日単位の年休を時季指定年休として付与できる。この場合、年休の日数は「0.5日」としてカウントする。

会社が既に設けている夏季休暇などの「特別休暇」を法改正に合わせて廃止し、年休を充てるよう従業員に求めることは、法改正の趣旨に反する。また、従業員の合意なく就業規則を変更することは労働条件の“不利益変更”となり、無効となるおそれがある。

会社が新労基法に基づき年休を与えた場合は、時季や日数、基準日などを従業員ごとに明らかにした「年次有給休暇管理簿」を作成、3年間保存しなければならない。

年休は、フルタイム勤務の従業員(週所定労働時間30時間以上、週5日または年217日以上勤務の短時間勤務の従業員も同じ)は、入社後6か月継続勤務して全労働日の8割以上出勤すれば10日間発生する。週4日または年169日〜216日勤務の従業員は入社後3年6か月で、週3日または年121日〜168日勤務の従業員は5年6か月で、それぞれ10日間発生する。管理監督者を含むこれら従業員に会社は、原則として10日間の年休が発生した日(基準日)から1年以内に時季を指定した5日間の年休付与が義務となる。