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教育時間、削減へ2019.7.21

広がる歓迎の声 「質の低下」懸念も

警察庁は警備業法施行規則と警備員検定規則を改正する(6月21日号既報)。6月10日から行っていた約1か月間の「パブリックコメント」も終了し、警察庁は近く寄せられた質問・意見への見解を公表する見込みだ。これにより施行へ向けて大きく前進する。警備保障タイムズでは全国の主な警備業協会などに改正に対する会員の声や反応などについて聞いた。

警察庁が両規則の改正に関するパブリックコメントを行ったのを受け、全国警備業協会(中山泰男会長)には改正について全国19の警備業協会から意見が寄せられた。その多くは改正を歓迎する内容で、なかには、さらに教育時間の削減を求める声もあった。

一方で、教育時間の削減が警備の質の低下を招くのではないかと懸念する意見もあった。

本紙の主な警備業協会に対するヒアリングでも、教育時間数の削減を歓迎する意見が多く、特に警備会社の経費や労力などの負担軽減につながるという意見が目立った。

新任教育について、改正案は、現行の基本教育15時間以上・業務別教育15時間以上の計30時間以上を「基本・業務別教育合わせて20時間以上」とするが、協会に会員から寄せられた意見では、1日8時間・2日間で教育が完了する「計16時間以上」を求める声もあった。

現任教育については、現行の半期ごと(年2回)の基本教育3時間以上・業務別教育5時間以上の計8時間(年間16時間)以上を、「基本・業務別教育を合わせて年1回・10時間以上」とするのに対し、1日で教育が完了する年1回・8時間以上を求める意見もあった。いずれも1日または2日間で法定労働時間内での教育完了を期待するものだ。

改正案では、新任、現任の各教育について、「基本教育と業務別教育を“合わせて”20時間以上、または、10時間以上」としている。その“案配”に不安を示す意見もあった。「基本教育の時間を少なくし、業務別教育に重きを置くなど自社の判断で教育した場合に、立入検査で認められないと困る」といった意見だ。

また、一部の警備業協会では、会員サービスや事業の一環として協会主催の新任・現任教育を実施。これら協会では、「(これまで教育を協会に委ねていた会員が)時間数が少なくなったことで自社で教育を行うようになるのではないか」など、協会主催の教育への影響を懸念する意見もあった。

一方で、ある警協青年部会の複数のメンバーからは、「質の向上には現在の時間数でも足りない」「“警備業は教育産業”に逆行する」など、教育の合理化に懸念を示す意見も寄せられた。

業者数、警備員とも増加2019.7.11

警察庁 警備業の概況まとまる

警察庁が6月24日に公表した2018年12月末現在の警備業の状況「警備業の概況」によれば、全国の認定警備業者(4条業者)は前年より166業者(1.7パーセント)増の9714業者だった。警備員数は同2112人(0.4パーセント)増の55万4517人で、業者数、警備員数ともに増加した。

全国9714警備業者を業務区分別に見ると、2号警備業務が対前年比274業者増の7322業者で最も多かった。次いで1号・6988業者(同128業者増)、3号・719業者(同43業者増)、4号・643業者(同11業者増)と続く。

1業者当たりの所属警備員数は、「5人以下」が最も多く2423業者。全体の24.9パーセントを占めた。次いで「10〜19人」の1774業者(18.3パーセント)で、「100人未満」が8677業者、全体の約9割を占めた。

機械警備業者数は631業者で、前年より44業者(6.5パーセント)減少した。一方、警備対象施設数は15万8047か所(5.2パーセント)増の319万6238か所だった。

全国の警備員55万4517人の雇用状況は常用が49万6655人、臨時が5万7862人。女性警備員は対前年比897人増の3万4064人。全警備員数の6.1パーセントだった。

警備員の在職年数は、「3〜10年未満」が最も多く20万7677人。次いで「10年以上」の14万2562人。「1年未満」は8万8532人だった。

男女別の年齢構成は、男性は「50〜59歳」が最も多く9万9628人、女性は「30歳未満」が最も多く9585人。若年層での女性警備員の比率が高かった。

警備業者の法違反状況は、2018年は18警備業者が警備業法や他法令違反で検挙された。行政処分は、「指示」249件、「営業停止」15件の計264件。前年より29件減少し、「認定取り消し」はなかった。

「青年部会サミット」開催へ2019.7.1

東北地区連 定時総会で表明

東北地区警備業協会連合会(千葉英明会長=宮城警協会長)は今年度、「青年部会サミット」を開催する。次代の警備業を支える青年部の活性化を後押しする。また、地区連「広域緊急援助隊」(仮称)の結成へ向けた下地づくりにも取り組む。6月20日に開いた同地区連の令和元年度の通常総会で明らかにされた。

地区連総会には福島を除く東北6県の各県協会会長と専務理事、全国警備業協会の福島克臣専務理事と小澤祥一朗総務部次長が出席した。

開会あいさつで千葉会長は青年部について、「(東北)各県で青年部が発足して活動を活性化させ、警備業の新しい姿を追い求めている。圧倒的なフットワークの軽さとパワーをもって活動することが理想とする青年部活動。さまざまな活動を硬軟織り交ぜ、自由な発想の下に大きく羽ばたいてほしい」と述べ、活動への期待を寄せた。

地区連の今年度の事業計画で示された、地区連各県協会で組織・結成されている青年部幹部による「青年部会サミット」の狙いは、警備業界にもたらす起爆剤としての期待と協会活動の活性化など。開催日や内容など細部は今後詰めていくが、開催については全会一致で承認された。

地区連理事の阿部正喜氏(岩手警協会長)も同計画に対して特に発言を求め、「横のつながりは貴重だ。全面的に協力したい」と述べ、支援を約束した。

災害に備えて6県の連携強化

東北地区連は今年度、「広域緊急援助隊」(仮称)結成へ向けた取り組みも開始する。同地区連も大きな被害を受けた東日本大震災をはじめ、熊本地震、西日本豪雨など近年記録的な災害が続発。東北各県警協でも「災害緊急援助隊(宮城警協の災害対応部隊名)」を組織するが、各県のみの対応では困難なことから、地区連東北6県間の連携を強化する。

具体的には、隣接県との合同災害警備訓練の実施や各県部隊長などによる幹部連絡調整会議の開催を行うとともに、部隊設置・運用要綱なども作成する。また、大規模災害発生時の初動対応の知識や技能習得のため、東日本大震災に対応した元宮城県警本部長による講話なども予定している。