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労災 目標達成、厳しい状況2019.10.21

13次防「死傷」が大幅増

厚生労働省が昨年からスタートさせた労働災害防止計画(第13次労働災害防止計画、2018年4月〜23年3月)では、死亡者数は減少目標達成へ向け順調に推移するが、死傷者数は増加し、目標達成には厳しい状況にあることが判明した。10月4日に開いた労働政策審議会の安全衛生分科会(分科会長=城内博・日本大学理工学部特任教授)で、同省は計画の途中経過を報告するとともに今後の防止対策を明らかにした。

2018年に全国の職場で労働災害により死亡した人は909人で前年に比べ7.1パーセント減少した。第13次労働災害防止計画(13次防)では死亡者数の減少目標を「17年の978人と比較して22年までに831人以下(15パーセント以上減少)」を掲げており、このままで推移すれば目標を達成する見込み。

一方、休業4日以上の死傷災害に遭った人は12万7329人。17年比5.47パーセント増だった。13次防では死傷者数の減少目標を「17年の12万460人と比較して22年までに11万4437人以下(5パーセント以上減少)」としており、この傾向が続けば目標達成は困難な状況だ。

死傷者数が増加した原因は、陸上貨物運送業や小売業など13次防で“重点業種”と定めた全業種で増加したこと。事故の型別では、「転倒」や高所からの「墜落・転落」、腰痛などの原因となる「動作の反動・無理な動作」など全てで増加した。特に「転倒」は全産業で17年を上回るとともに、前年比10パーセント以上の増加となったことなどが要因だ。

警備業の18年の状況は、死亡者数が前年比2人減の31人。死傷者数は同157人増の1760人だった。19年(9月9日現在)は死亡者数8人。17年同期比で7人減、18年同期比では13人減となっている。また、死傷者数は936人で18年同期比99人減。死亡、死傷ともに減少している。しかし、全産業で転倒災害などによる死傷者数が増加していることや、警備業でも昨年、死傷者数が前年よりも増えたことなどから油断は禁物だ。

厚労省は18年に転倒災害防止対策として「STOP!転倒災害防止プロジェクト」において冬期の転倒対策の重要性について注意喚起したほか視聴覚教材を作成、同省ホームページで公開した。熱中症予防では、「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」を展開、予防に関する講習会を全国7ブロックで開催した。19年以降は、高齢従業員が働きやすい職場環境整備のためのポイントをガイドラインとして取りまとめるほか、高齢従業員の安全・健康確保のために取り組む中小企業への支援策として“補助金”創設を検討する。

全警協、今後の舵取りに〝中山ビジョン〟策定へ2019.10.11

警備業の次代を見据えて

全国警備業協会(中山泰男会長)は、次代を見据えた警備業のあり方についての検討を開始する。10月2日に開かれた全警協理事会で中山会長が明らかにした。警備業のあり方や今後の取り組み方針を“中山ビジョン”として示すことで、警備業の発展を目指す。

“中山ビジョン”の目的は、「警備業の10年・20年先を見据えること」(中山会長)。今後の警備業のあり方や存在意義、全警協としての取り組みの方向性を明らかにし、協会運営の舵取りに役立てる。少子高齢化に伴い今後ますます深刻度が増すことが予想される人手不足、AI(人工知能)など高度化するICT(情報通信技術)の警備資機材への導入なども念頭に、警備業の将来の姿を模索する。

検討は、全警協会長を委員長とする「基本問題諮問委員会」と同調査部会(作業部会)で行う。同諮問委は2016年に設置、翌17年に警備員不足や社会的地位の向上方策についての短・中・長期の取り組みを示した報告書を取りまとめるなど、その後の全警協活動に大きな役割を果たしてきた。

また、これまでの同諮問委は学識者を交えた委員構成だったが、中山ビジョン策定では全警協加盟社(警備業者)中心の委員構成にするものと見られる。

今後、諮問委構成委員の人選を進めて年内にも初会合を開き、検討する内容や期間、結果の活用法などを詰めていく。

2日の全警協理事会では、8月30日に施行された改正警備業法施行規則や改正警備員検定規則、厚生労働省からの事業受託依頼などについても報告、意見が交わされた。

改正警備業法施行規則関連では、新任・現任両教育で基本教育と業務別教育の時間配分の裁量が警備会社に委ねられたことに関し、理事から「(当局の)期待を裏切ってはならない」「質の低下を招かないようにすべきだ」などの意見が寄せられた。これを受けて全警協は、規則改正で可能となった「eラーニング」も含め、教材の充実など教育の質低下防止のための“新たな仕組み”なども検討する。

厚労省からの要請は「就職氷河期世代活躍支援プラン」の受託。同プランは、現在も“非正規雇用”で働く人が多い1993年から2004年に学校卒業期を迎えた「就職氷河期世代」への支援。業界団体と連携して資格取得と正社員としての就職を支援するもので、全警協はプラン受託を検討していく。

「消費税カルテル」順守を2019.10.01

警備料金に適正転嫁

消費税率が8パーセントから10パーセントに引き上げられた。全国警備業協会(中山泰男会長)は9月17日、税率引き上げへの対応を都道府県警備業協会に通知した。増税後の10月1日以降も、全警協が結成した「消費税(転嫁・表示)カルテル」を順守、消費税を警備料金に転嫁するよう求めた。

全警協の「消費税(転嫁・表示)カルテル」は、2014年3月に結成された。同年4月から消費税率が5パーセントから8パーセントに引き上げられるのを前に「消費税転嫁対策特別措置法」に基づき“警備業界のカルテル”として公正取引委員会への届出を経て結成された。

目的は、消費税の転嫁・表示の方法を全警協加盟社が“共同行為”として統一して行うこと。対象は警備業務に関する販売物品とサービス全般。

転嫁方法は、すでに契約している物品・サービスには、19年10月1日以降新たな税率10パーセントを適用。10月1日以降に契約・発売するサービス・商品にも、新税率を適用する。

消費税の表示方法は、新税率適用後の価格は「税込み価格」と「税額」、または「税込み価格」と「税抜き価格」を、それぞれ並べて表示するか、「税抜き価格」を示した上で「〇〇円(税抜き価格)」、「〇〇円+税」など、消費税が別途適用されることを明示する。

価格交渉については、「消費税抜き価格」で行い、新税率が別途適用されることを相手方に明示。警備料金の請求を行う際は、「本体価格(消費税抜き価格)」と「消費税額」、これら合計を並べて表示する。「消費税額」分のみを別途請求する場合は、そのことを明示する。

全警協は、これらカルテルの実行を担保するため、違反事業者には全警協会長名で文書により警告する。

通知では、インターネットで閲覧・入手できる消費税率引き上げに関する資料名一覧と、政府の相談窓口(消費税価格転嫁等総合相談センター、0570―200―123)も示し、加盟社の活用を促した。