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携帯電話回線でドローン飛ばす2018.3.21

世界初 セコムが実験成功

セコム(東京都渋谷区、中山泰男社長)は3月15日、世界で初めて携帯電話回線(第4世代の高速通信規格/4G LTE)を活用して、複数のドローンの警備実証実験を行い、広域施設の遠隔巡回警備に成功した。不審者や不審火の発見、夜間警備のセキュリティー強化とともに「東京2020」の安全な大会運営に向けた実用化に期待が高まる。

実証実験は神奈川県相模原市内で行われた。「国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」の「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実証プロジェクト(DRESSプロジェクト)」の一環で「警備業務に対応した運行管理機能の研究開発」をテーマに実施された。

世界初の民間防犯用ドローンで“ドローン警備”を手掛け警備アプリケーションを開発した「セコム」のほか、ドローン専用基盤「スマートドローンプラットフォーム」やLTE通信モジュール等を開発・提供した「KDDI」、3次元の空域管理や複数機運行管理システムを開発した「テラドローン」の2社が参加した。

実験は、高度60メートルを飛行し警備現場を広域に監視することが主任務の“俯瞰ドローン”2機と、俯瞰ドローンの情報を基に高度30メートルで現場に急行し対処する“巡回ドローン”2機を使用。「さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト」に不審者が侵入した設定で遠隔巡回警備を行った。

警備ドローンは事前に決められたルートを自動発着・自律飛行し、映像による巡回警備を実施。警備担当者は映像で不審者を確認し、タブレット端末で巡回ドローンを手動操作に切り替え、現場に急行させた。到着後、空からの録画や音声による警告を行った。

「東京2020」をはじめとする大規模スポーツイベントや国際会議などでは、警備員不足で効率的な警備が必要になることから、「警備ドローン」の更なる進化が注目される。

セコム・進藤健輔開発センター長は、「スマートドローンは無線アンテナを設置する必要がない。広域を複数のドローンが飛行する環境が整えば、街中をドローンが巡回警備し、異常信号を受信した物件へのより早い現場確認が可能になる」と今後の展望を語った。

「施設警備単価、改善を」2018.3.11

警議連、国交省に求める

「警備業の更なる発展を応援する議員連盟(警議連)」(会長=竹本直一衆院議員)は3月2日、東京都千代田区永田町の議員会館内で今年初の会合を開いた。全国警備業協会からは青山幸恭会長が初めて出席、施設警備業務での積算方法の改善や“働き方改革”で法制化される時間外労働の上限規制などについて直接要望した。

警議連への全警協の主な要望内容は、(1)施設警備業務での価格積算法の改善(2)国や自治体の警備業務での適正な警備料金の単価設定(3)“働き方改革”における時間外労働の上限規制での柔軟な対応――など。国土交通、厚生労働両省などへの働き掛けを求めた。

施設警備業務で積算法の改善は、国交省の交通誘導警備業務の労務単価「公共工事設計労務単価」と、施設警備業務の労務単価「建築保全業務労務単価」が、それぞれ経費率や積算法が異なることから、経費率の交通誘導警備業務積算基準への統一、法定福利費などの積算における積算法の変更と経費率アップなどを要望した。

これに対して竹本会長や磯崎陽輔会長代行ら警議連各メンバーは、交通誘導警備業務に比べて施設警備業務の労務単価が低いことに理解を示し、国交省に対応を求めた。会合に出席した国交省担当幹部は、現在5年に1度の施設警備業の積算基準などの見直しが行われていることを説明、「全警協と調整していきたい」と回答した。

時間外労働の上限規制での柔軟な対応は、サーバーへの攻撃によるシステムダウンに伴う一部の突発的業務などが、労働基準法33条で時間外労働の上限規制の対象外となっていることや、建設事業への“特例的”な取り扱い(上限規制の適用の5年間の猶予)を示し、同様の扱いを警備業務まで広げることを求めた。

青山会長と福島克臣専務理事は、労基法第33条について「システム障害などが発生すれば、警備業も対応することとなり、場合によっては時間外労働の上限規制を超える」、建設事業の特例については「建設事業に付随する交通誘導警備業務は建設事業と不可分一体的なものだ」と述べ、それぞれの警備業への対応について、厚労省との協議の機会を要望した。特に建設事業の“特例”について青山会長は、上限規制が自家警備につながることを懸念、警備業の独立性への配慮と、中小企業の多くが交通誘導警備を専業としていることを強調し、法運用の中での柔軟な対応を求めた。

要請を総括し竹本会長は、「警議連が警備業を応援していることを役所も認識してほしい」と支援を約束した。

厚労省「13次防」4月スタート2018.3.1

労災死者15パーセント超減少へ

厚生労働省は2月20日、厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会(会長=樋口美雄・慶應義塾大学商学部教授)から「第13次労働災害防止計画」(13次防)の答申を得た。同計画は、国が進める向こう5年間の労働安全衛生施策の取り組み事項を定めたもの。今後、計画に基づき各種労働災害防止対策が実施される。同省は答申を受け、4月から2023年3月末までの5年間を期間とする同計画をスタートさせる。

同計画は、労働災害防止のために、国や事業者、労働者などが重点的に取り組む事項を定めたもので、2018年度を初年度とする5年間が計画期間。

目標に2022年までに2017年比で労働災害による「死亡者数」を15パーセント以上、死亡と休業4日以上を合わせた死傷者数を5パーセント以上、それぞれ減少させることを掲げた。

死亡労働災害が多発している建設業や製造業、林業は死亡者数の15パーセント以上減少、死傷災害が多い陸上貨物運送事業や小売業、社会福祉施設、飲食店は死傷者数を死傷年千人率で5パーセント以上減少など、業種別対策も進めるほか、次の目標も示した。

▽仕事上の不安・悩み・ストレスについては、職場に事業場外資源を含めた相談先がある従業員の割合を90パーセント以上とする(2016年は71.2パーセント)。

▽メンタルヘルス対策に取り組む事業場を80パーセント以上にする(同56.6パーセント)。

▽ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場を60パーセント以上にする(同37.1パーセント)。

▽警備業など第三次産業と陸上貨物運送事業の腰痛による死傷者数を、2017年と比較し2022年までに死傷年千人率で5パーセント以上減少させる。

▽職場での熱中症による死亡者数を2013年から2017年までの5年間と比較し、2018年から2022年までの5年間で5パーセント以上減少させる。

同省は、目標達成のため(1)死亡災害の撲滅を目指した対策(2)過労死等の防止など健康確保対策(3)就業構造の変化や働き方の多様化に対応した対策(5)企業・業界単位での安全衛生の取り組みの強化――など全8項目の重点事項を定め、具体的な取り組みを進める。

警備業で多発する転倒災害については、4S(整理・整頓・清掃・清潔)や注意喚起を促すステッカーの掲示などによる「危険の見える化」などを促進する。熱中症については、WBGT値測定器の普及を図り、同値の測定とその結果に基づいた休憩の確保、水分・塩分の補給、クールベストの着用などを推進する。

高齢労働者対策では、転倒災害や腰痛が増加傾向にあることから、高齢者に配慮した職場環境の改善や筋力強化などの身体機能向上事例を収集、普及を図る。