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高年労働者の安全確保2020.01.21

厚労省 ガイドライン作成へ

厚生労働省の有識者会議(座長=城内博・日本大学理工学部特任教授)は1月17日、高年労働者の安全と健康に関する報告書を取りまとめた。同省は報告書を元に、早ければ2月中にも高齢者が働きやすい職場環境実現のための「ガイドライン」を作成、4月から運用を開始する。

報告書は、働く高齢労働者をめぐる安全と健康に関する現状と課題を整理した。その上で高齢者が働きやすい職場環境実現のために同省が作成する「ガイドライン」に盛り込むべき内容を示した。

ガイドラインで事業者が取り組む事項は、
(1)経営トップによる方針表明と体制整備
(2)危険源の特定などリスクアセスメントの実施
(3)高齢者の身体機能の低下を補う設備・装置の導入
(4)高齢者に配慮した作業管理
(5)高齢者の健康や体力状況把握のための健康診断――など。
滑りにくい靴や熱中症防止のために体温を下げる機能のある服などの支給、勤務形態や勤務時間に選択の幅を持たせた運用などを事業者に求める。

国や関係団体の取り組み事項は、ガイドラインの普及促進や事業場の現場診断と対策助言など個別事業場に対する働き掛け。特に職場環境の整備に意欲のある中小企業に対しては、取り組みに要した費用の一部を「エイジフレンドリー補助金(仮称)」として助成する。助成は、働く高齢者を多く雇用するとともに、安全衛生対策として効果が確立しているなどの一定の要件を満たすことが必要。費用の2分の1を上限に、1件当たり最大100万円を助成する。

ガイドラインは、労働基準局安全衛生部長通達として早ければ2月中に作成し、2020年度から運用を開始する。

昨年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2019(骨太方針)」では、「サービス業で増加している高齢者の労働災害を防止するための取り組み推進」が盛り込まれた。これを受けて厚労省は昨年8月、労働組合や企業の安全衛生担当者、産業医などから構成される「人生100年時代に向けた高年齢労働者の安全と健康に関する有識者会議」を設置、対策を検討していた。

働き方改革〝第2弾〟迫る2020.01.01

求められる的確な対応

働き方改革“第2弾”として、4月から中小企業に時間外労働の「上限規制」が、大企業には同一労働同一賃金が適用される。民法も約120年ぶりに見直され、請負など商取引の改正規定が4月から施行される。「東京2020」への対応に加え、警備業各社には、これら法令改正への的確な対応が求められる。

働き方改革・第2弾で、対応に最も困難が予想されるのが、警備業でも多数を占める中小企業への時間外労働の上限規制の適用だ。

労働基準法では、労働時間は原則1日8時間・1週40時間以内とし、これを超えて時間外労働や休日労働を行わせる場合、労基法36条に基づく労使協定の締結と同協定の所轄労働基準監督署長への届出が必要。

36協定で定める時間外労働は、これまでも大臣告示で上限の基準が定められていたが、年度末の繁忙期など特別の事情が予想される場合は、「特別条項付きの36協定」を結べば限度時間を超える時間外労働が可能だった。

しかし、働き方改革に伴う労基法改正により、時間外労働の上限は原則月45時間・年360時間となり、臨時的・特別の事情なしに同上限を超えることができなくなった。また、臨時的・特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、▽時間外労働は年720時間以内▽時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満▽時間外労働と休日労働の合計は、複数月平均1月当たり80時間以内▽時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月――となった。違反した場合には、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる。

深刻な人手不足の中、警備業には業務や人員配置の大幅な見直しが迫られる。

待遇差に賠償請求も

大企業には4月から、正社員とアルバイトなど非正規雇用との間で、基本給や賞与、各種手当などについて、不合理な待遇差を設けることが禁止される(同一労働同一賃金)。中小企業には2021年4月から適用。違反に罰則はないが、待遇格差の差額を損害賠償請求される可能性がある。

大企業には6月からパワーハラスメント防止措置も義務付けられる。中小企業は当面は努力義務、2022年4月から義務化されるが、大手電機メーカーでのパワハラによる従業員の自殺など、社会的にも大きな関心を集めているだけに、早急な対応は不可欠だ。

民法改正では請負に関する事項も見直された。これまで中途の契約解除については特段のルールがなく、判例で「中途解除された事案であっても、注文者(ユーザー)が利益を得られる場合、請負人は報酬の請求は可能」と判断。これを法に明文化した。

注文者に責任がある場合には、報酬の全額請求を可能とする。いずれも警備業で多く見られる「キャンセル」への適用が期待される。