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警備業ヒューマン・インタビュー
――緊急援助隊2019.10.11

近藤孝さん(アン・シン 専務取締役)

訓練では〝人の和〟を重視

<<「静岡県警備業緊急援助隊」の隊長を13年務めています>>

緊急援助隊は、静岡県警備業協会の会員で編成され、現在27社96人で、警備業務検定1級、2級の資格者が多くいます。

発足したのは、阪神・淡路大震災の翌年の1996(平成8)年です。協会が災害時支援の基本協定を県知事と締結し、細目協定を県警察本部長と締結したことに伴って編成されました。

毎年8月に県警生活安全部の指導のもと、訓練を行っています。イベントや花火大会のある時期で、隊員は業務に追われて集まるのが難しい中、今年は30人が参加しました。運転免許センターで実際に車を10台ほど走らせて、信号が消えた状態の交差点で警察官と連携する交通誘導や、手旗を使用する効果的な合図の方法に取り組みました。

私の前に隊長を務めた静岡警協の徳田和人会長も毎年訓練に参加され、「発災時の即戦力として活動できるように」と隊員に実技指導を行っています。

負傷者の搬送訓練では、負傷者役の人たちの怪我の程度をそれぞれ違う設定とし、隊員には知らせません。隊員は相手に接する中で重傷か軽傷か探ります。“早く運んでくれ”と騒ぐ軽傷の人をなだめ、より重傷と判断した人を先に搬送するなど、リアルな状況を想定しています。

<<訓練の中で特に工夫されていることは>>

少人数のチーム内で、どのようにコミュニケーションを強化するか、心を砕いています。なぜなら緊急援助隊が出動する時、状況によっては、初対面となる隊員数人がチームを組んで、緊急交通路の確保のために交通誘導などを行わなければなりません。災害現場、想定が及ばない特殊な状況下で、経験や練度、所属会社も異なる隊員同士が意思の疎通を図って、緊密に連携することが求められます。“人の和”が非常に重要になるのです。

そこで今年の訓練に「チームづくりのプログラム」を加えました。隊員が4、5人のグループに分かれ、自己紹介スピーチや互いの共通点を探す会話などをして、相手に関心や親近感を持てるよう心掛けた上で実技に取り組みました。

これは私が長年、特別講習講師を務めてきた経験がヒントになっています。実力がありながら緊張して力を発揮できず不合格になる受講生がいるため、講義の時に受講生の緊張をほぐそうと「隣の受講生を敵やライバルと思わず、気軽に話しかけよう」などと呼び掛けているのです。

実技のスキルアップだけでなく、隊員同士の仲間意識を高めるさまざまなアイデアが必要です。

<<災害支援活動で課題となるのは何でしょう>>

昨今、大規模な自然災害が頻発し、一方で慢性的な警備員不足が続く中、発災時にどれだけの隊員が集合できるのかと不安を感じます。東海地方から西日本にかけて、南海トラフ巨大地震が30年以内に高い確率で起こるとの予測があります。隊員が、自分の家族や所属会社、警備先の顧客が被災している状況にあって支援活動に参加できるか、悩ましい問題です。

 そこで、被災した県には、他県から援助隊員が出動して活動できる体制づくりが必要と感じます。自治体・警察・警備業者による「広域支援協定」が確立されることが望ましいと考えています。

<<緊急援助隊の訓練風景を動画で公開しています>>

特別講習講師が訓練を撮影して3分ほどの動画に編集しました。動画投稿サイト「ユーチューブ」で「静岡県警備業協会」と検索すれば、訓練の様子のほか、静岡警協が制作し地元テレビ局で放送されている警備業をアピールするCMも見ることができます。

私も、業界PR活動として自分のフェイスブックに訓練の動画を投稿し、他業種の知人などに“見て下さい”と呼び掛けています。動画を見た人が「災害に備える警備業の社会貢献活動」に関心を持ってくれるよう願っています。

<<昨年の西日本豪雨災害を契機に警備業の災害出動に対する「有償化」の動きがあります>>

警備業のステータスを高める上で、有償化の動きが広がってほしいと思います。有償化は社会的な評価であり、活動する隊員のプライドに結びつきます。

隊員が安全を守る専門の知識と技能、ノウハウを備えていることについて、行政側に理解を深めてもらうことが、有償化につながっていくと考えます。

警備業ヒューマン・インタビュー
――警備ロボット 2019.10.01

丹野和友さん(ALSOK 開発企画部課長代理)

理科大卒、開発志し入社

<<丹野さんが開発と企画を担当した警備ロボット「REBORG―Z(リボーグゼット)」が全国で採用され始めています>>

「REBORG―Z」はそれまでの警備ロボット「REBORG―X」を改良・進化させて今年の春に完成しました。インターネット接続会社のデータセンター(千葉県白井市)で採用されたのを皮切りに、9月からは静岡の空港と熊本の商業施設で導入されています。いずれも日中は来場者の受付や案内を行い、夜間は施設内や敷地内を巡回警備しています。

<<これまでのALSOKの警備ロボットとの違いと、それを実行するために難しかった点は何でしょうか>>

これまでのロボットにはなかった防水・防塵仕様となっています。最近建設されるオフィスビルや商業施設には中庭やテラスを設けていることが多いことと、これまで当社ロボットが担当しなかった屋外での巡回警備も手掛けたいと考えたからです。データセンターでは屋外での巡回警備を行っており、現時点では雨天時でも動作に支障はありません。

屋外での警備に際し、搭載している監視カメラなどが期待通りの性能を発揮するのかを確かめました。基本的に監視カメラは固定して使うことを前提としており、移動するロボットに搭載することを考えては作られていません。さまざまなメーカーのカメラや画像処理技術を比較し、試行を重ねて選択しています。

<<警備ロボットにどのような役割や効果を期待していますか>>

当社は1982年から労働集約性の高い常駐警備の効率化を図ることを主な目的に、警備ロボットを研究開発してきました。近年は少子高齢化などもあり、全国的に警備員不足が顕著となっています。そこでロボットでもできることはロボットに任せることで、人間は人への対応などに時間を割くことができます。10人の警備員で担当していた現場を、警備員9人とロボット1台という警備隊編成にするなどの省人化だけでなく、最新のセンサーやカメラを使うことで警備水準を上げることもできます。

警備員の代わりに採用するため、ロボット費用が人件費よりも高くなってはお客さまに納得していただけません。「REBORG―Z」はそれまでのロボットに寄せられたお客さまや警備員からの声を反映し、4か国語による外国語対応や顔認証機能などを標準実装しましたが、価格は警備員1人の人件費よりロボットを1台導入する方がお金はかからない程度に抑えています。オプションの火災検知機能・初期消火機能などを追加実装することでさらなる価値を提供できると考えています。

<<警備会社に入社してロボットに携わると思っていましたか>>

実は、私は警備ロボットの開発を手掛けたいと思って当社に新卒入社しました。大学では理工学部で制御工学を学び、就職活動もメーカーを中心に行っていました。その最中にロボットの展示会を見学し、そこで当社が警備ロボットを出展しているのを見て興味を持ちました。メーカーに入社するとセンサーや回路など部分的な開発が中心となりますが、ALSOKではいろいろな機器を組み合わせてロボット1台を作ることができると考えたからです。

会社説明会に参加して、警備業は年を追うにつれて需要が増えており、産業としても成長を続けるに違いないと確信しました。世界的にも珍しい警備ロボット開発を手掛けてみたいと思い、入社を決めました。

入社してすぐに埼玉県にある支社で機械警備に使う機器のメンテナンスを担当し、それから本社開発部門で法人向けセキュリティー機器の開発を行いました。警備ロボット開発のやりがいは、前例のない分野ということと、お客さまや現場警備隊からの意見や感想を直接聞けることです。

<<警備ロボットはまだ採用数が少ないのが現状です。いつ頃から普及すると考えていますか>>

まさに今が普及加速の時です。東京をはじめ、全国各地の都市部で不動産再開発が行われています。オフィスビルや商業施設が完成すれば警備の新規需要が生まれますが、警備員は不足しているのが現状です。ロボットをアピールする機会だと思いますし、引き合いも多く来ています。今年から来年にかけて国内で一気に普及させ、その後はアジア各国でも普及させたいと考えています。