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警備業ヒューマン・インタビュー
――全警協表彰警備員⑧2022.02.21

安藤慎悟さん(セコム中国本部岡山コントロールセンター管制主任)

男児救助、体が動いた

セコム中国本部岡山コントロールセンター管制主任の安藤慎悟さんは2020年11月23日、岡山市内で用水路に転落した7歳の男児を救出し、駆け付けた警察官とともに保護した。

<<昼の休憩時間、事業所の外に出ると「誰か助けて下さい」と繰り返し叫ぶ女性の声が聞こえたそうですね>>

女性の叫び声がする50メートルほど先の現場まで急いで駆け付けました。そこは川の本流沿いに整備された緑道公園の用水路で、助けを求める女性の姿が確認できました。

用水路の中を見ると、7歳位の男児が頭からずぶ濡れになって立ちすくみ、泣き叫んでいたのです。用水路は幅が約2.5メートル、深さは2メートルほどで水深は約50センチほどあり、男児は膝頭まで川に浸かっていました。

助けを求めていたのは男児の母親で、川をのぞいている時に誤って転落したそうです。生命の危険は感じませんでしたが、男児はとても自力では遊歩道まで上がれない状態だと分かりました。

<<すぐに救出に向かいました>>

男児はそのままにはしておけない状況だったので、すぐに「助けなければ」と思い救出に向かいました。頭で考えるよりも先に体が動いた感覚が残っています。

岸を伝って用水路に降り、男児を抱きかかえ遊歩道まで上がろうとしましたが、思ったよりも男児が重く担ぎ上げ直して上がろうとしたところ、母親の通報で警察官が駆け付けたので2人で男児を引き上げることができました。

改めて男児の様子を見ると、転落した時にけがをしたのか左耳付近から出血していたのです。私は「大丈夫?」と声をかけましたが、うなずいていましたので大事はないと判断しました。その後男児は到着した救急車で病院に運ばれ、私は警察官に氏名と連絡先を伝えて事業所に戻りました。男児発見から保護まで5分足らずの出来事でした。

<<職場の反応はどうでしたか>>

救出の際に私もずぶ濡れになりましたが、そのまま職場に戻りました。同僚は私の姿を見て驚いていました。事情を話したところ人命救助について称賛されました。すぐ行動できたことは自分でも「良かった」と感じており、改めて行動することの大切さを痛感しました。

<<行動が評価され計4回表彰を受けています>>

岡山中央警察署、会社、岡山県警備業協会と「警備の日」全国大会で表彰していただきました。非常に光栄なことです。

家族も喜んでくれ、警察官として働いている長男は「さすがお父さん、すごいね」とねぎらいの言葉をかけてくれました。長男の息子は今回救助した男児と同年代で、男児に孫の姿が重なったことが素早い行動につながったのかもしれません。

<<警備業で働くことになったきっかけは何ですか>>

私がセコムに入社したのは25歳の時です。それ以前は岡山県内の結婚式場に勤めていましたが、拠点の統廃合で転勤せざるを得なくなりました。既に家庭があり転勤が難しかったことから、友人に紹介され地元で働ける警備会社に入社したのです。

機械警備の契約先から異常信号や要請があった時に契約先に駆け付ける緊急対処業務を行うBE(ビートエンジニア=緊急対処員)を5年ほど経験し、現在の職場である岡山コントロールセンターに異動しました。BEに指示を出したり警察に通報したりすることが主な業務です。

入社当時は警備業について知識がありませんでしたが、経験を重ね今では自分に合っている仕事だと感じています。

異常信号の受信後、すぐ警察に通報して窃盗犯の現行犯逮捕につながったこともありました。そんな時、契約先から「セコムさん、ありがとう」と声をかけられると非常に励みになります。警備業は地域に安心・安全を提供する重要な仕事だということを実感できる瞬間です。

これからも「行動すること」を念頭に置きながら業務に精励します。異常信号の受信時に契約先と電話で会話することがあります。高齢者からは「大丈夫です」と言われることもありますが、そのような時でも、懸念を感じた時は現場に駆け付けて安否を確認する「行動」を心掛けていきたいと思います。

警備業ヒューマン・インタビュー
――全警協表彰警備員⑦2022.02.11

竹田明法さん(愛媛綜合警備保障)

万引犯、ずっと観察

愛媛綜合警備保障の竹田明法さんは2021年3月19日、客先の店内で防犯カメラの調整作業を行っていた際、行動が不審だった男の動きを観察し続けた。男は万引きして車で逃走したが、竹田さんは車種やナンバーを冷静にメモ。警察官に状況を伝え犯人逮捕につなげた。

<<不審者発見に至るまでの経緯や発見した後の状況はどうでしたか>>

当日の作業は、お客さまのリサイクルショップから依頼を受けた防犯カメラの「画角調整」でした。防犯カメラは店内の天井に取り付けてあり、脚立の上で作業は行っていました。

私の作業位置から2、3メートル離れたところに商品のソファーがあり、そこに横になった50代の男が、すぐそばに陳列された「腕時計」をしきりに指さし、物色しているように見えたので不審に感じました。

私の作業はちょうど男と向き合う形で、約15分間の作業中、男はジーッと私に視線を向けたまま目が合ってもそらそうとしません。上下がちぐはぐの作業着っぽい服装で、足元ははやりのスニーカーという格好が気になったのです。

男を「不審」から「怪しい」と感じはじめたのは、私が作業を終えるや否や、その男も店内をうろつき始めたからです。駐車場に止めた車に一旦工具を仕舞い、店の外からガラス越しに男を観察することにしました。すると、あれほど気にしていた腕時計ではなく、筒状のケースに入った値段が高そうな「和傘」を手にした男がレジ待ちの列に並んでいるではありませんか。

<<怪しいと感じた見立てが正しかったのですね>>

一瞬、男の姿を見失いましたが、再度姿を現した男の手には筒に入っていないむき出しの傘が握られていたのです。「やっぱり盗んだのか、と思うと同時に、もしかすると男が持参した傘かもしれない」とも考え、念のため男が出てきた通路の奥へ行ってみました。そこで私が目にしたのは、ベビーカーの上に丸めて投げ捨てられた傘の包装です。

その後すぐ出てきた店長に「あの人が和傘を万引きしました」と告げ、外の白い車に乗り込もうとしていた男に向けて指さすと、店長はすぐさまその後を追いました。直後「警察は勘弁してくれ」という男の声が聞こえ、車の窓越しに傘を取り戻した店長の姿も見えました。しかし、男は車を発進させてしまいました。

私はとっさに逃走した車の「車種」「色」「ナンバー」を持っていた紙にメモし、店長に渡しました。被害に遭った店の人は冷静でいられなかったでしょうし、その後の捜査で役に立つかなと思ったからです。犯人は翌日逮捕されたようです。

<<警戒を解かずに観察し続けたことも含め、一連の行動は冷静でした>>

私は「警備員」ですし、いざという時に慌てず対処することは会社から叩き込まれています。そうした日頃の教育や訓練が役立ったのかもしれませんね。

私は以前「ホテルマン」をしていましたので、その時の経験が生きたような気もします。ホテルマンは顧客が何を希望しているのかを察することが大事で、相手の「目配り」や「動き」、「一緒にいる人」「服装」などから瞬時に見抜き、臨機応変に対応することが要求されます。店の商品を盗まれた店長の声の調子や態度から落ち着きのなさを感じましたので「メモを残した方がいい」と判断しました。

実は、ホテルマン以外にも「資格の学校の教師」や「バーテンダー」をしていたこともあり、それらを通じてさまざまなタイプの人々と交流してきたことが今の自分を形成しているという自負はあります。

個人的には「人の心理」に関心があるので、「キャリアコンサルタント」のような仕事に憧れています。誰かの人生に寄り添い「あなたがいてくれてよかった」と思われるような、また、その人の記憶に残るような人になりたいという思いがあります。人の「安全・安心」を守る警備業もそれに通じるものがあり、やりがいを感じているところです。

<<今後の仕事に生かせる教訓などは得ましたか>>

私が行ったのは「万引きしていますよ」と店の人に告げただけなのでそのような考えはありません。ただ、強いて言えば「困っている人」には手を差し伸べられる人でありたいとは思います。

警備業ヒューマン・インタビュー
――全警協表彰警備員⑥2022.02.01

佐藤築さん(セコム上信越)

入社1年、冷静に人命救助

セコム上信越の佐藤築さんは、入社1年余の2021年5月11日、群馬県太田市内で緊急対処のため警備先へ車で向かう途中、バイクの運転者が倒れる場面に遭遇した。119番通報し運転者に付き添うとともに、冷静な行動で現場での二次災害を防ぎ救急隊に引き継いだ。

<<新卒入社して1年1か月で人命救助を行いました>>

私はBE(ビートエンジニア=緊急対処員)として、契約先のセンサーが侵入や火災を感知した時、お客さまからの救急信号があった時などに駆け付けます。事件・事故に遭遇した経験はなく、今回が初めてでした。

その日の朝8時過ぎ、支社の待機所で勤務していた私は、当社コントロールセンターから警備対象施設で異常信号があり急行するよう指示を受けました。

社用車を運転し交差点で信号待ちをしていると、前方に停車した原付きバイクの男性が突然、崩れるように転倒したのです。

降車して、倒れた若い男性に声を掛けましたが、全く反応がありません。通信端末で119番通報し救急車を要請しました。コントロールセンターに連絡し状況を説明すると「対象施設には別のBEが向かうので人命救助を優先するように」との指示でした。

<<救助活動に専念できました>>

平日の通勤時間帯で車の通行が多い中、二次災害を防ぐため男性とバイクを道路脇に移動するとともに、社用車のハザードランプを点灯させ後続車両のドライバーに注意を促しました。

心肺蘇生法の訓練に基づき胸骨圧迫を行おうとしましたが、男性は意識が戻り、自力で座れる状態になったのです。「どこか痛みますか」などと声を掛けましたが返答は曖昧で、通りかかった車から降りてきた女性とともに男性に寄り添って安静を図りました。10分ほどで救急隊員が到着し、搬送された男性は、命に別状はなかったと後で聞きました。対象施設には別のBEが急行して対応し、何も問題がなかったことを聞いて安堵しました。

<<今回の経験を通じて、どのようなことを感じましたか>>

日頃の教育・訓練の大切さを実感しました。これまで救命救急、初期消火、護身術など、さまざまな状況を想定し実技訓練に取り組んできました。いつどんな事態に出会っても落ち着いて的確に対応できるように訓練を重ねたいと思います。

入社後の新任教育では、敬礼や行進など基本動作の反復に始まって、緊急対処員として身に付ける事柄をしっかりと教わり“警備業は教育重視の業界だ”と強く感じました。基本動作を行う時には、形だけでなく真剣な気持ちを込めることが、きびきびとした行動につながるものです。そうした積み重ねが、お客さまに信頼感をもたらすのではないかと考えます。

<<警備業界は人材確保に向けて、若年層へのアピールは課題の一つです。どのような理由で警備業を選ばれたのですか>>

地域に密着して、人に感謝されるやりがいのある仕事をしたいと思ったからです。大学で法律を専攻し、社会に役立つ公共性のある職業として警備業に関心を持ちました。特に何か具体的な出来事があったわけではありませんが、警備という仕事は“暮らしに身近で、感謝される”というイメージを持っていたことがきっかけになったのです。

同期入社は15人ほどで、折しもコロナ禍の渦中で社会人生活がスタートしました。社内の歓迎会は取りやめになりましたが、「LINE」などで同期としての交流を深めています。

実際に働くようになり、異常の知らせを受けてお客さまのもとに駆け付けた時、「早く来てくれますね。安心できます」との言葉をいただいて、やりがいを感じています。業務のため勉強すべきことは、入社前の予想以上に多々あるものです。防犯センサーを扱うため電気関係の知識は必須であり、勉強して分からないことがあれば積極的に先輩に聞くようにしています。

<<全国警備業協会、群馬県警太田警察署、セコム上信越からそれぞれ表彰を受けました>>

大変ありがたく、気持ちが引き締まります。新潟の実家で暮らす家族からは、ほめ言葉とともに周囲の方々に改めて感謝するよう言われました。警備業を選んで良かったと思っています。施設警備業務検定など資格へのチャレンジも考えるようになりました。

日々の業務に全力で取り組んで自分を磨き、成長していきたいと思っています。