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警備業ヒューマン・インタビュー
――管制担当2024.05.21

平田美穂さん(セフティコミニケーション)

警備士の信用を得て

<<警備業界に入ったのは、約4年前の2020年7月。何がきっかけでしたか>>

そのころ、昼間は派遣社員として、家電量販店の中で携帯電話の販売をしていました。夜勤でホテルと工事現場のアルバイトを掛け持ちしていたのですが、新型コロナの影響を受けました。働いていた東京都内のホテルは200部屋以上ありましたが、お客さまが少なくなり、「アルバイトの人は今、必要なくなってしまったので」と言われて…。工事現場のアルバイトは建物の解体や改装工事に伴う軽作業です。コロナ対策の関係で夜勤がなくなってしまいました。

収入が減るので新しいアルバイトを探さなくてはいけないと思い、求人サイトで見つけたのが警備の夜勤です。いろいろな会社の中から、良さそうと思って応募して、採用されたのがセフティコミニケーションでした。

夜勤アルバイトは週3、4回で、道路工事現場での交通誘導警備です。亀戸(東京都)の現場によく行っていました。立ち仕事には慣れていましたが、その場に立ち続けるのは初めて。でも、そこまで苦ではなかったです。できるアルバイトが他にない中、仕事を与えてもらってありがたいという気持ちでした。

警備の夜勤は9か月ほどやりました。停止場所で止まってくれない自転車が多くて、どうしたら止まってくれるかを考え試行錯誤をしていたことはいい経験ですし、勉強になりました。

<<その後、23年1月に、内勤の正社員として入社しました。どういった経緯があったのでしょう>>

派遣や夜勤アルバイトを辞めて、21年3月に海上自衛隊に入りました。ただ、ずっと続けていくのは難しいと思っていたころ、定期的に連絡を取ってくれていたセフティコミニケーションから正社員の誘いを受けました。待遇などの話をして、時間にゆとりがあることを感じて入社しました。

入社以来、管制業務を担当しています。警備士の方、一人ひとりのスキルや特性を把握して、交通誘導の現場などに配置していく仕事は難しい。でも、日々の現場とのやりとりから、警備士の皆さんの「信用を得てきているのかな」と思うところもあります。皆さんが仕事をしやすいようにやっていきたいです。

<<社内業務の見直しに取り組んでいます>>

電話だった警備士の皆さんとの現場情報のやりとりをメール中心にしました。アルバイトをしていた時から思うところがあったので。電話での「言った、言わない」は良くないことですし、文面で残っていた方が安心するという思いがありました。前職の経験を生かして、携帯の法人プランも見直しました。

今は管制システムを変えようと会社で取り組んでいます。人手と時間が掛かり、二度手間になっている入力業務を効率化するためです。妥協せずに吟味して、使うシステムを社内で決めたいです。

管制をしていると、仕事の依頼があるのに警備士を配置できなくて、もどかしさを感じる時もあります。AI交通誘導システムの導入を考えていかなければと思いますし、VR(バーチャルリアリティー)研修にも関心を持っています。

<<警備業界では女性警備員が少ない状況です>>

当社には、現場をまとめる「隊長」ができるスキルを持った女性たちがいます。21歳の女性警備士は物怖じしないし、バリバリ仕事ができます。

工事現場では理不尽なこともあります。会社で定期的に開かれている「女性会」の中で、女性警備士が通行人から強く当たられたことを聞きました。「何でこんなところで工事をしているのだ」と、現場に対するクレームを言われたとのことでした。女性警備士が安心して働けるように、できることを考えていきたいです。

<<業界で警備員不足が叫ばれている中、外国人雇用についてはどうでしょう>>

最近、警備のアルバイトを希望する留学生が増えていて、今後さらに増えていく可能性があるのではと感じています。私は大学が英文科でした。中学・高校英語の教員免許や日本語教員の免許を持っているので、スキルを生かしていければと思っています。

<<休日はどのように過ごしていますか>>

動画の勉強をしています。当社でもPR動画を作りたくて。休みの日にスケッチブックに絵を描くこともあります。幼少の時から好きで、描いていると集中できて、気持ちがすっきりします。

興味のあった狩猟免許を取得することができて、今は猟銃の所持許可証の手続きをしています。

警備業ヒューマン・インタビュー
――広報活動2024.05.01

入里健二さん(セキュリティスタッフ専務取締役)

警備員の言葉、伝えたい

<<福岡県警備業協会の広報委員長を務めて10年目、情報発信に取り組まれています>>

広報委員会は、協会加盟企業に向けた広報誌「SECURITY FUKUOKA(セキュリティ福岡)」を制作しています。年に3回編集・発行し、昨年秋に100号の節目を迎えました。

最新の101号では、協会創立50周年記念式典・講演会・祝賀会の様子と、周年行事に携わった関係者の思い、賀詞交歓会や経営者研修会、博多駅前などで行った「警備の日」街頭キャンペーン、さらに特別講習合格者のお名前など盛りだくさんの46ページです。

<<最新号やバックナンバーは協会ホームページで公開され、スマートフォンで閲覧できます>>

「セキュリティ福岡」は加盟企業に毎号1冊が送付され、内勤の社員は回覧できますが、現場へ直行直帰の警備員は手に取ることができません。そこで「時代にふさわしくスマホで手軽に見ることができれば」と関係者で話し合い、誌面のPDFファイルを公開しています。経営幹部に限らず警備員の皆さん、一人でも多くの警備業に関わる人たちに読んでいただきたいとの思いを込めています。

さらに、一般の方々もインターネットで「セキュリティ福岡」に触れて、警備業についての知識が少しでも増えるきっかけになれば大きな喜びです。

慢性的な警備員不足が業界の課題となる中で、まだ数は少ないながら「スマホでセキュリティ福岡を見て、警備の仕事に親近感を持ちました」という求職者が警備会社の面接を受けに来るようになっています。

<<業界の内外に向けた警備業PRで、工夫していることは?>>

年間の協会活動について会長あいさつや各行事の写真を交えて周知を図るとともに、警備の第一線で働いている皆さんの言葉を発信していこうと心掛けています。

3年ほど前、当時の専務理事の提案で「セキュリティ福岡」をリニューアルすることになり「表紙は毎号、警備員に登場してもらおう」「最後の1ページまで読みたくなるものにしよう」などの意見、アイデアが活発に飛び交いました。新しい企画として、私が加盟企業に出向いて経営幹部や入社1年未満の警備員にインタビューするコーナーが始まりました。そのタイトルは『広報委員長のチョッと、お邪魔してよかですか?』。少しずつ加盟企業に浸透しまして好評連載中です。

先日、交通誘導警備に従事する20代の女性警備員にインタビューした時、こんな言葉を聞きました。彼女は友人から「どうして警備員を選んだの? しんどい仕事でしょう」と言われて、「警備は世の中に絶対に必要な仕事だよ」と答えたそうです。

ひたむきに業務に取り組む人々のさまざまな言葉を広く伝えることで、警備業の認知度アップにつながってほしいと願っています。

今後は協会ホームページをさらに活用し、タイムリーな情報発信を行いたいと関係者一同で準備を進めています。恒例の「11月1日は警備の日」キャンペーンも、加盟企業から一層の協力を得て今まで以上に盛り上げていきたいと考えています。

<<社業では奥さまの入里真弓代表取締役と「セキュリティスタッフ」を経営しています>>

地域に密着した交通誘導警備、雑踏警備などを手掛け、早いもので設立23年目を迎えました。

設立当初は建設会社や土木会社を駆けずり回って営業したものですが、その後、リピーターのお客さまに恵まれました。弊社の警備員が資格取得に励むなどして技能を磨き、お客さまの期待と信頼に応えて今があると思っています。

また、警備業とは直接関連のない異業種の団体に複数加盟して活動してきた中で、多くの仲間と出会いました。その仲間から「イベントを開くので駐車場の警備をお願いできないか」「防犯カメラを取り付けたい」などの相談を受け、業務受注の機会が広がりました。

<<福岡市西区内の警備業者による「西警察署警備業防犯連絡会」の活動を重ねてきました>>

会長を務めて17年目になります。西警察署の担当官の方々と連携して「女性と子どもを犯罪から守る」活動、防犯教室の開催や通学路のパトロール、防犯ブザーの配布などに会員は一致団結して努めてきました。

こうした防犯ボランティア活動は、地域に根ざして皆さまとのご縁を大切にして成長してきた警備業者として恩返しの一つです。

作家で講演家の中村文昭氏の言葉「頼まれごとは試されごと」を座右の銘としています。人から何かを頼まれるのは自分を信じてくれているからと思って行動してきました。これからも社業と併行して、協会広報委員会の活動、地域社会への恩返しに取り組んでいきます。