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警備業ヒューマン・インタビュー
――貸金庫サービス2024.06.01

平皓己さん(日本連合警備 専務取締役)

地域の課題に最適な提案

<<大分市内に完成した新社屋で2024年6月から貸金庫サービスをプレオープンします>>

金融機関の貸金庫と同様、顧客の財産を保管する個人・法人向けのサービスです。耐火構造で厳格な入退室管理の施設で安全に保管する環境を提供します。金庫を置くスペースがない、災害や盗難などのリスクに備えたいといった個人・法人顧客のニーズを想定しています。予約制ですが、預けた財産は365日・24時間出し入れできます。

また、オプションとして貸金庫保管物の保険、自宅―貸金庫間の貴重品運搬にも対応します。金庫のサイズは大・中・小の3種類。料金は初期に必要なカードキーの発行・登録手数料のほか、月額で小型が5000円、中型が8000円、大型が1万4000円ほどを予定しています。本オープンは7月からです。

<<警備業が貸金庫サービスを手掛けるメリットは何でしょうか>>

金融機関にとっての貸金庫は、口座を開設している顧客への付加サービス的な意味合いが強く、料金設定も比較的安い傾向です。

当社が取り組んでいる人工知能(AI)を用いた最新の防犯カメラなどの警備システムと、貴重品運搬を組み合わせた警備業ならではの警備態勢をもつ貸金庫を新たに提供します。貸金庫不足という地域の課題を新サービスで解決しつつ、住宅警備など個人客の新規開拓にもつながれば、警備会社としてメリットは大きいと考えます。保管も運搬も担うことにより、サービスへの信頼、ブランド価値を高められます。

また、施設警備と貴重品運搬警備を手掛けている警備会社であれば、他県でも取り組めるサービスですので、将来的にはパッケージ化し、各地に提供していきたいです。

<<新ビジネスの今後に期待が持てますね>>

貸金庫サービスの構想は5年ほど前には頭の中にはあったのですが、なかなか事業化まで踏み切れずにいました。新型コロナの流行に伴い、国や地方が中小企業向け支援策を打ち出し、当社も国の「事業再構築補助金」を受けたほか、大分県の「経営革新計画」にも承認され、ようやく事業化が前進しました。

人手不足など警備業が抱える課題をAIなど新しい技術を活用して解決できないかということは、コロナの流行前から考えていました。

例えば、温度分布を可視化するサーマルカメラやAIで温度管理を行う装置なども以前から知っていたので、最初の緊急事態宣言が出た20年4月より前から、検温して入退館を制御する警備手法を導入しました。ワクチンを保存する冷凍庫の温度管理をAIで行い、異常を確認したら警備員が駆け付けるサービスも、職域でのワクチン接種が始まった際に県内の大学とともにいち早く提供することができました。

アナログメーターをAI画像解析技術で読み取る仕組みを大分の温泉の湯温管理に活用してみてはと提案したことがあります。温泉設備機械による管理は設備投資が高額になるので、低コストで済む仕組みであることを強調しましたが、人間による管理には勝てませんでした。それほどの作業負担ではないということでした。

<<新事業やサービスを発想するとき、どのような経験が生かされているのでしょう>>

私が養子縁組しているため姓は異なりますが、当社の社長は私の母で、私は家業を継いだ格好ですが、大学卒業から16年までは広告代理店に勤めていました。そこで小手先のPRでモノを売るのではなく、顧客が抱えている課題の本質は何であるか、自分がその立場なら何をするかと考えながら、最適な提案をしていくというソリューションビジネスを学びました。警備会社に入社してもそのスタンスは持ち続けています。

また、幼少期をアメリカで過ごし、多様な価値観や気候風土に触れたことで視野を広げることができました。

<<「警備業のDX」が急がれています>>

AIなどの先端技術はあくまで道具であり、使うのは人間です。道具を活用し、付加価値をもたらせることができる組織や人間がこの先、真に必要とされるのではないでしょうか。時代の流れに順応し、質の高い安心を地域の方々に提供できない警備会社は、他の業界や会社に取って代わられる恐れがあると思います。貸金庫を提供するのが金融機関とは限らない一方、安全安心の選択肢も警備業とは限りません。

今後も「安心に品質を」モットーに、大分に貢献する企業を目指していきます。