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警備業ヒューマン・インタビュー
――健康経営2022.05.01

三上葉月(美警)

全社員128人のカルテ作成

<<3月9日、経済産業省が認定する「健康経営優良法人2022」中小規模法人部門で、上位500社の「ブライト500」に選ばれました。警備業で12社、「けい」は2年連続です>>

健康経営は、社員の健康を経営資源の一つと考えて健康増進を図る取り組みです。当社は、健康診断の結果をもとに行政のサービスも活用し社員128人全員の「健康カルテ」を作成しています。

健康カルテは、血圧や血糖値、既往症、食事の偏りなどを記載します。以前は、検診結果は本人に渡すだけでしたが、2020年から釧路市役所健康推進課の保健師に検診結果を分析してもらい、留意点などを健康カルテに落とし込みます。社内の担当者は、社員一人ひとりと個別に面談して食事や睡眠、メンタル、健康全般について話し、通院治療を促すこともあります。

60歳以上の腫瘍マーカー検査、ウォーキングの推奨、地場産の野菜を豊富に使う食事イベントの定期開催なども重ねてきました。偏らない食事と日々の運動を心掛けて10キログラム以上減量した社員が昨年は5人、血圧や血糖値を改善した社員も複数います。

警備員からは「食事や生活習慣を気遣われ、会社から大切にされていると感じる」という声を聞きます。警備員の間で、健康管理は関心の高い共通の話題となっています。

<<どのような思いで健康経営に取り組んでいますか>>

皆が元気に、より長く働いてほしいという思いです。社員のうち警備員は87人で、3分の1は60歳以上です。交通誘導警備のベテラン隊員が生活習慣病の悪化によって、まだまだ働きたいのに心ならずも離職した時は、残念でなりませんでした。警備先の安全安心、社員の健康、どちらも努力することなしには実現できないもの、会社一丸で獲得するものと考えています。

こうした思いを共有し実践する管理職の存在は重要です。陸上自衛隊の駐屯地で糧食を担当した元自衛官が2年前に入社し、健康経営に関連する実務全般に携わり、バランスの良い食事を社内に広めたことは警備員の健康増進につながっています。

<<4月に創業35周年を迎えました>>

当社は私の父・三上弘信が創業しました。警察官だった父は、退職後に地域社会の安全に寄与しようと社員3人でスタートし、私は創業13年目に総務・経理担当として入社しました。

父は昔気質で器用でなく、社員にそっけない態度をとることも多々ありました。そんな父の背中を見て「もっと社員に労いの言葉を掛けて親しみを持ってもらえば、職場は明るくなるのに」と思ったものです。私は“男性社会”の警備会社を継承したいとは考えませんでした。

19年前、父は70歳で急病のため他界しました。元気だったのに突然の別れとなって、「この会社を継がなければ」と考えました。社業発展を目指しながら志半ばで世を去った父の無念を思っての決断でした。

当時警備員は50人ほどで、私が代表に就任したことに社内の反発もありましたが、多くの方々に支えられ経営の舵を取りました。交通誘導警備の需要は伸び社員も増える中で、労災事故や不祥事も経験し「教育・訓練に全力を注いで質の高い業務を提供しよう、明るく働きやすい職場をつくろう」との思いで走り続けてきました。

<<お父さまから受け継いだものは何でしょう>>

父が残した社訓は「無事出社 無事帰社」。素朴な言葉ですが、これは警備員だけでなく現場を通行する全ての人や車両の「無事」を意味し、警備のプロの決意が込められています。コロナ禍で警備員の体調管理に万全を期す日々が続いて、社訓の意味を改めて噛みしめました。

私が健康経営を進める源には、父の社訓があるように思います。質の高い警備業務の原点となるのは、手厚い教育とともに日々の健康維持なのです。

当社は「赤」を基調とする警備服を導入して8年目になります。赤は視認性が高く、いち早くドライバーに注意喚起する効果があります。“赤い警備服は女性経営者の感性ですね”と言われたこともありますが、事故を予防し「無事帰社」するためです。

新卒採用を行って10年になります。健康経営優良法人の認定は、求職者に対する企業のイメージアップにつながるものです。新たなアイデアも考えて、より健康な職場づくりを進めていきます。