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警備業ヒューマン・インタビュー
――全警協表彰警備員⑥2025.04.01
杉山翔太さん 山崎優人さん(エスピトーム)
「盗撮男」逃がさず
エスピトームの杉山翔太さん(33)と山崎優人さん(21)は2023年11月5日夕、静岡市内で行われていたイベント「大道芸ワールドカップin静岡」の警備業務中、女性(20歳前後)のスカート内を盗撮した男(50代)の確保に協力した。
<<4日間にわたったイベントの最終日に起きた事案でした>>
山崎さん 警備の配置場所で屋台の人から、盗撮を目撃したという話を聞きました。ペットボトルの中に仕込んだ小型カメラで盗撮していたとのことでした。現場は駿府城公園です。当社警備員が各所に配置されていました。
私は、盗撮行為をした男に「一緒に来て下さい」と言って、警備本部へ向かいました。盗撮を実際に見たわけではなかったので、力ずくで連れていくことができない中、男は一緒に歩いている時に逃げ出したのです。その瞬間、「意地でも捕まえなければ」という感情が沸き起こり、走って追いかけました。別の警備員と挟み撃ちにして男を取り押さえました。
杉山さん その日は、忙しい配置場所へ応援に行く「遊撃」の立場で警備に当たっていました。遅い昼ご飯を食べていた時、警備本部から無線で盗撮事案の報告を受け、駆け付けました。取り押さえられ横になった男は暴れていましたが、逃げないように、ばたつかせていた足を押さえました。
<<確保した男を警察に引き渡しました>>
山崎さん 警察署へ行った時に聞いた話では、被害女性は以前にも盗撮の被害に遭っていたとのことでした。女性の母親は「犯人が捕まって良かったです」と話していたそうです。警備の仕事に携わっていれば、今後もこうした事案に遭遇する可能性があるので、遭遇した時には今回の経験を生かしたいと思います。
杉山さん 私は手助けしただけなので、こんなに大きな話(全国表彰)になるとは思っていませんでした。対処の仕方を見て学べたことは大きかったと思います。
<<警備会社に入ったきっかけは何だったのでしょう>>
杉山さん エスピトーム入社前にホテルマンをしていた時、ボクシングをやっていました。体幹を鍛えたいと思い、仕事終わりや休みの日に、自宅近くのジムに通っていました。合宿でフィリピンのボクシングジムへ行った際、ジム関係者のボディーガードをしたことがあり、その時に味わった緊張感や「人を守っている実感」が警備会社に入るきっかけになったと思います。
山崎さん きっかけはありませんでしたが、誰かを守る、誰かの助けになる仕事をしたいと思っていました。そういう性格なのかもしれません。行ったことのない場所に行くことも好きで、新型コロナで長い休みがあった高校生の時、自転車で行けるところまで行ったことがあります。交通誘導警備の仕事なら、いろいろな現場に行けていいかなと思いました。
<<今の仕事のどこにやりがいを感じていますか>>
杉山さん 機械警備隊員として、お客さまが困っているところに駆け付けるので、「花形」をやらせてもらっている感覚です。事案は駐車場が比較的多く、バーが上がらずにその場に閉じこめられたケースなどです。機械警備の仕事をひと通り覚え、いずれは管制をやりたいと思っています。
山崎さん 昨年夏から管制をしています。現場とは違って、事務の仕事が多いです。起こったことを解決することに精いっぱいですが、安全を守るというところにやりがいを感じています。隊員と仕事をしていく中で、「この会社で働き続けたい」という環境を一緒につくっていきたいです。
<<趣味はありますか>>
杉山さん 料理が趣味で、炒め物をよく作ります。もやし炒めは、鶏ガラスープをベースに、魚粉だしやお酒を入れて、塩で味付けをします。肉は入れていませんが、肉の味がするもやし炒めです。最近はコンソメベースのスープパスタを作るのも楽しいです。
料理は食材がまとまってできた作品です。“チームワーク”は警備の仕事に通じるところがあると思います。
山崎さん 上司が主宰している歌劇団に入っています。誘われて、挑戦してみたいと思いました。昨年2月に初舞台を踏み、今は新しい公演に向けた準備に入っています。お客さんの前で歌って演技をすることは緊張しますが、そこに楽しさがあります。