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警備業ヒューマン・インタビュー2025.05.01
髙里憲悟さん(アスカ 常務取締役)
警備の魅力、若い世代に
<<神奈川県警備業協会青年部会「神鴎会(しんおうかい)」の部会長を、同会が発足した2022年8月から務めています>>
各都道府県の青年部会で目指すところは違うと思いますが、神奈川では若い世代にもっと警備業のことを知ってもらうことを活動目標に掲げています。
活動の一つとして、戸部警察署管内(横浜市)の小学校で4月下旬から5月上旬にかけて開かれている交通安全教室に参加しています。対象は1年生と4年生。教室は小学校10校くらいで順次開かれていて、1年生には横断歩道の渡り方、4年生には自転車の乗り方を指導しています。校庭に白線を引き、模擬道路を作って行っています。
青年部会の発足前から私が地域交通安全活動推進委員をしていたことから、部会員に声掛けして始めました。青年部会で作ったそろいのジャンパーを着て、交通安全教室に参加しています。
若い世代に知ってもらう活動では、中学校での職業体験学習にも参加して警備業の魅力を伝えています。警備員には「誰でもできる」「給料が良くない」といったネガティブなイメージもありますが、払しょくしていかなければいけないと思っています。仲間内では「警備士」という呼び方がいいのではないかと、よく話しています。
会則の決定や部会員の募集など、青年部会の土台づくりは大変でしたが、若い部会員の心に何か訴えかけることができているとすれば、うれしいです。
<<昨年11月に青年部会として、能登半島地震の被災地を訪れました>>
石川県警備業協会青年部会の皆さんから懇切丁寧に、地震発生直後の状況や、ニュースでは流れないようなことを説明していただきました。安否確認を行うための備えの大切さや、避難所で必要な物はフェーズによって変わっていくことなどを教わりました。
神奈川に戻ってから、現地で説明していただいたことを報告書にまとめ、県警備業協会に提出しました。この報告書がいざという時の一助になってくれればと思います。
部会員は積極的に意見を言ってくれます。「大阪・関西万博」の視察研修の話が持ち上がっていて、検討を進めているところです。
<<1年前から、関東地区警備業協会連合会青年部会(構成10県)の部会長も務めています>>
10県の青年部会長の中で私が一番若いです。力不足ではないかと思っていますが、諸先輩から「議事の進行はこういう風にした方がいいよ」「こういう時は意見をまとめちゃえばいいよ」――とアドバイスをいただき、助けてもらっています。この年齢でこうした経験を積めることは貴重ですし、経験豊富な皆さんから警備業界のこと、他業界のことを聞くことができて、ありがたいです。情報交換を重ね、大きい組織の団結力を生かせるような活動をこれからも続けていきたいと思っています。
<<警備業界に入る前、学習塾の講師をしていました>>
大学進学前から教育業界に興味があって、携わりたいと思っていました。塾では小学4年生から中学3年生までの国語を担当していました。「どうしてこうなるのか」ということを生徒に説明するためには、私自身が理解していなければなりません。根元的に考えることは今に役立っています。
警備の仕事は、塾講師を辞めてから意識するようになりました。父親が経営する警備会社「アスカ」に入らないかという話があって、入社しました。管制や営業を経験し、今は総務を担当しています。書類作成や働き方改革、現場トラブルへの対応など仕事は多岐にわたっています。塾講師をしていた時もそうですが、「信頼されている」と感じた時にやりがいを感じます。
国家資格に対する社会の認知度の低さなど、警備業の現状を変えていかなければなりません。アスカとしても青年部会としても、業界全体がいい方向へ行くことを目指していきます。青年部会では、神奈川警協が県に提出する要望書の内容について考える機会もいただいています。
<<オフの日はどのように過ごしていますか>>
適度に散歩をしたり、サウナに入ってからラーメンを食べに行ったりしています。将棋も趣味で、スマートフォンのアプリで対局をしています。将棋の魅力は、運ではなく、勉強量、研究量がそのまま結果に出ること。読みが当たった時の気持ちよさは、高難易度のクイズを解いた時に似ています。