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警備業ヒューマン・インタビュー2025.08.01

北豊秋さん(和歌山県警備業協会会長 紀州熊野綜合警備代表取締役)

より魅力ある業界めざして

<<和歌山県警備業協会の第7代会長に就任されました>>

私は7年ほど前から理事として協会運営に携わってきました。先輩方とさまざまな活動に取り組む中で「警備業界は厳しい課題に直面しながらも、前へ進もうとしている」と感じたものです。協会活動を通じ、多くの学びや交流の機会に恵まれました。

今後の抱負は、協会と業界に恩返しの思いを込め、雑巾掛けを行う気持ちでコツコツと取り組みたいと決意を新たにしています。

加盟社の皆さまに向けては、タイムリーな情報発信を行うなど社業の発展を側面から支援する取り組みを関係者一丸となって進めます。加盟社の新規加入を促進して協会組織の充実強化を図り、今まで以上に魅力のある協会・業界をめざしていきます。

大阪・関西万博の開催に伴い、和歌山県内にも多くの方々が訪れています。インバウンドも増え人流が活発になる中で、社会の安全意識は高まって警備業のニーズは多様化していくと考えます。また、公共工事設計労務単価の上昇傾向は、警備料金交渉の“追い風”となるものです。

しかし依然として警備業は複数の課題を抱え、厳しい環境に取り巻かれています。

<<人材確保は慢性的な課題となっています>>

警備員不足を解消する上で処遇改善、福利厚生の拡充は急務です。その原資となる警備料金の確保は不可欠であり、全国警備業協会による各種の施策、警備料金に関する情報発信が行われ、連動する形で当協会も経営者研修会、料金セミナーなどを開催してきました。

猛暑や酷寒の中で懸命に使命を果たそうとしている警備員の皆さまのために、引き続き警備料金をめぐる課題と向き合い、今までと異なる新たなアプローチも模索していきます。

人材確保と適正料金の課題は、個社の努力だけで乗り越えることには限界もあり、業界一丸で物事を進めることが大事です。

企業それぞれが法令順守の徹底はもとより、質の高い業務を安定的に提供してユーザーからの評価、地域社会の信頼をより高めてほしいと思います。特に警備業務検定の資格者の育成は、評価や信頼の向上に結びつくものです。

<<特別講習の現況はいかがでしょう>>

当県の交通誘導警備業務2級の合格率は、上昇傾向にあります。以前は50%前後でしたが昨年11月の特別講習では59.4%、今年3月の特別講習は68.3%の好結果が出ました。

これは主任講師をはじめ講師陣による努力の賜物です。社業と並行して教育に情熱を燃やし資格者を送り出すことは、県内警備業発展の原動力となってきました。

一方で、講師不足は数年来の課題です。次世代を担う新人講師を発掘して育成することは業界の将来に極めて重要であり、今後も加盟社の皆さまに講師候補者を積極的に出していただけるよう呼び掛けていきます。

<<全警協・労務委員会の委員にも就任しました>>

7月に「警備業全国安全衛生大会」が都内で開催されて初参加しました。「労働災害ゼロ」に向けた大会宣言が採択された後、労務委員会の皆さまと喫緊の諸課題について意見交換を行う機会があり非常に有意義でした。

今後も情報を共有し視野を広げて、自県の協会活動に役立てたいと思っています。

<<社業では「紀州熊野綜合警備」の代表を務めています>>

和歌山県内や三重県内で交通誘導警備、イベント警備を行って18年になります。

人材確保は悩みの種ですが、会社の長期的な発展を視野に若手人材を現場のリーダーに育成していく取り組みは大事です。若い求職者に警備業を選んでもらうには処遇改善に加え、業界のイメージアップも必要だと思うのです。

当社は本州最南端に位置する串本町にあります。国内初の民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」が開設し、串本町は「ロケットの町」としてメディアに登場することが増え、全国から見学ツアーの方々が訪れています。

<<リフレッシュはどのように>>

釣りが趣味で、熊野灘に注ぐ古座川の清流で鮎、うなぎを釣るひと時は息抜きになっています。

刃物を研ぐのも好きで、ご近所の方に頼まれて包丁を研いだところ近隣の奥さま方から「うちの包丁もお願いします」と次々に依頼が舞い込み、年に200本ほど無料で研いで喜ばれています。ささやかですが、地域社会の皆さまが警備会社に親しみを感じるきっかけになるなら嬉しく思います。