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「警備業官民協議会」が始動2025.08.21

将来見据え建設的な議論

全国警備業協会(村井豪会長)は8月7日、東京都新宿区内の同協会会議室で初の「警備業官民協議会」を開いた。警備業と警察庁をはじめとする関係行政機関が一体となり、人手不足など業界が抱える諸課題解決と、警備業の将来を見据えた建設的な議論を行うのが目的。全警協が5月に警察庁に設置を要望していた。検討結果は、今後の警備業のあり方にも大きな影響を及ぼすことが予想されるだけに、議論の行方が注目される。

官民協議会の設置理由について、初会合冒頭あいさつで全警協・黒木慶英専務理事は次のように述べた。

「警備業法ができて50年経過した。同法により不良警備員、不良警備会社の排除が行われ、適正な警備業務の実施が図られてきた。一方で、経済状況をはじめとする諸条件は大きく変化。このような中で警備業が発展していくためのあり方を考える必要がある」。

警察庁生活安全局生活安全企画課の阿波拓洋課長は「(警備業が抱える)諸課題解決のために警察庁も参加して官民協議会で共に検討することとなった。業界の実態や要望を聞き、必要な施策について議論していきたい。業界の処遇改善に向けて現行の警備業法にかなうような方法で、いかなる支援を、どのように行っていくか、そして真のニーズを踏まえ、制度改正も視野に対応を検討していきたい」と述べ、協議会での議論を通し警備業を支援していく意向を示した。

協議会の構成員は、全警協の黒木専務理事、楯悦男常務理事、前田雅英理事(東京都立大学名誉教授)をはじめ、セコムやALSOKなど大手警備会社の役員や経営幹部、全警協の各種委員会・部会の役員を務める都道府県警備業協会の会長や副会長など女性2人を含む全21人。警察庁は、生活安全局生活安全企画課の幹部や警備業担当や警備業法担当など。

今回は中小企業庁や公正取引委員会の担当者も参加、改正下請法などについて説明したが、検討テーマによっては国土交通省などの関係省庁にも出席を求める。

初会合では、全警協が警察庁に要望していた「警備業関連手続きのデジタル化」と「警備員指導教育責任者講習のデジタル化」について警察庁担当者が進捗状況を説明。また、国交省が進める「標準労務費制度」について、全警協と同省との協議経過について黒木専務理事が説明した。

協議会は、年度内2回程度の頻度で開催。検討テーマごとに結論を取りまとめ、警察庁をはじめとする関係省庁などに必要な対応を要望していく。

“たたき台”は「制度調査研究部会」

官民協議会で議論するテーマのたたき台づくりは、全警協の「制度調査研究部会」が担う。同部会は6月の全警協総会で設置が認められた新たな部会。7月に初会合を開いた。同部会は警備業法など各種制度のあり方や見直しの方向性などについて、立法事実(法律などの制定や見直しの必要性)を含め調査・研究するのが目的。部会員は官民協議会と同じメンバー。

業者数 過去最多を更新2025.08.01

24年「警備業の概況」

警察庁は7月16日、2024年12月末現在の「警備業の概況」を公表した。警備業法第4条に基づく認定業者「4条業者」は前年より137社(1.3%)増の1万811社で、過去最多を更新。警備員は2980人(0.5%)増の58万7848人。警備業の堅調な需要がうかがえる。

都道府県公安委員会の認定を受けた「4条業者」は1万811社、2020年に1万を越え増加が続いている。警備員数は、22年は約8000人の減少だったが23年から2年連続増加の58万7848人。

女性警備員は4万3077人(前年比2102人増)、全警備員数の7.3%だ。

雇用形態は、雇用契約に期間の定めのない、または4か月以上と定められた「常用」が53万6220人。これ以外の「臨時」は5万1628人。

在職年数は「3〜10年未満」が最も多く18万7907人(32.0%)だった。次いで「10年以上」17万4191人(29.6%)。一方、「1年未満」と「1〜3年未満」を合わせると22万5750人にのぼり、全体の4割近くを占めた。

年齢別では「70歳以上」が最も多く12万2919人(20.9%)にのぼった。次いで「50〜59歳」11万6958人(19.9%)、「40〜49歳」8万601人(13.7%)。「70歳以上」の割合は前年より0.8ポイント増、高齢化が進んでいる。

「30歳未満」は6万1204人(同1479人増)だが、「30〜39歳」は5万3055人(同1441減)。働き盛りの30代に離職者が多い状況が見て取れる。

各業者の警備員数は、「5人以下」が最多で2853社(26.4%)。警備員数100人未満が9753社、全体の90.2%を占める。

また、4条業者が全国に設けている営業所の総数は、1万6625営業所。

警備業の認定を受けた都道府県以外の都道府県に営業所を設けている「9条前段業者」は、延べ2614社(同3社増)。認定を受けた都道府県以外で営業所を設けず警備業務を実施する「9条後段業者」は、延べ5740社(同80社増)だ。

総数(4条業者)の内訳は、「1号警備業務」が6974社(同193社減)、「2号」8800社(同204社増)、「3号」662社(同43社減)、「4号」708社(同15社減)となっている。

「1号」業者のうち「施設」は6774(同296減)、「空港保安」は79(同1社増)、「機械」は542(同6社減)。「2号」業者のうち「交通誘導」は8274(同19社増)、「雑踏」は5137(同666社増)。雑踏の増加が顕著で需要の高まりが示された。

全国警備業協会(村井豪会長)が調査し、回答のあった5020社の売上高の総額は、約3兆4477億8000万円だった。前年は回答6340社・約3兆3059億5000万円。2023年末から調査方法をウェブ調査に変更し回答業者数が減少した。

警備員表彰123件

2024年「警備業の概況」によれば、警備業法などの違反で警備業者が検挙されたのは6件、前年より11件減少した。

警備業者への行政処分は、指示133件、営業停止2件、認定取り消し0件の総数135件。前年より7件増加した。

警備業者や警備員を警察署長などが表彰した件数は、警備業者に対するもの27件。警備員は123件で、うち63件が勤務中の功労に対するもの。警備員の表彰内容は人命救助や犯罪の未然防止などが75件、振り込め詐欺未然防止が32件、「私人」としての現行犯逮捕が7件、通報が5件、検挙現場での協力が4件だった。