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視点

サイバー攻撃2025.11.21

求められる「備えと対応」

サイバー攻撃による被害が急増している。

今秋、アサヒグループホールディングスや事務用品通販のアスクルが相次いでシステム障害に陥った。データを不正に暗号化し、解除と引き換えに身代金を要求する「ランサムウェア」の攻撃を受けた。両社のシステムは未だに正常に稼働していない。

警察庁は9月、2025年上半期のサイバー被害に関する報告書を公開。それによると今年1月から6月までのランサムウェア被害の報告件数は116件で過去最多となった。攻撃の標的は大手企業ばかりではない。報告書によると中小企業の被害は77件で約66%を占めた。

警備会社も被害に遭っている。今年6月、従業員数500人規模の警備会社が外部から不正アクセスを受け、取引先関係者の氏名とメールアドレスの一部が外部に流出した。同社ではただちにネットワークを遮断、監視体制の強化を図った。

こうした事案を「対岸の火事」と思わず、各警備会社は不測の事態に備えてほしい。OSやソフトを常に最新の状態に保つ、最新のセキュリティーソフトを導入する、不審なメールやリンクを開かない、データのバックアップを定期的に行う――など基本的な備えを徹底してもらいたい。

刑法犯の認知件数は2002年を戦後のピークとして減り続け、約4分の1となった。しかし時期がインターネットの普及と重なることから「犯行がリアル空間からサイバー空間に移行した」との見方がある。

サイバー空間の犯罪は認知や検挙が困難で、ネットリテラシーさえあれば、犯罪経験のない者でもプレッシャーを感じることなく犯行に及ぶことができる。今後、犯罪企図者はさらに増加することが予想される。

警備業は社会の安全・安心を担う生活安全産業だ。しかしサイバー空間の安全は、大手警備会社が担っているのが現状だ。大手各社は、セキュリティー診断や電子証明書発行などによる認証、24時間体制のネットワーク監視などのサービスを提供している。

中小規模の警備会社は、専門部署を作って人材を確保したり、ネットセキュリティー専門企業と連携した対応などが求められる。新たな付加価値として取り組みを進めてもらいたい。

【瀬戸雅彦】

警備の日2025.11.11

制定10周年、広がるPR

11月1日は「警備の日」。全国警備業協会が2015年に制定した記念日は、今年で10周年を迎えた。

47都道府県協会の関係者がそれぞれ取り組む「警備の日」広報活動は、年を追うごとに活発に広がった。小・中学校の協力による「警備員さん」をテーマとする子供たちの作文コンクール、書道展覧会、写真展覧会、警察と連携した防犯啓発キャンペーン、さらに警備服ファッションショー、マスコットキャラクターの着ぐるみなど多彩に展開している。協会に加えて、個々の警備会社による自社サイトやSNSを使った「警備の日」の情報発信も行われてきた。

PR活動が活発化した背景として、警備業界が長年にわたり直面する課題、人材確保の厳しさがある。社会で警備員が担っている役割、世の中に欠かせない職業であることを今まで以上に多くの方々に理解してもらいたい――。警備業関係者の切実な思いを原動力に活動を重ねた10年だった。

長期的な視野で警備業の認知度をより高めようとする取り組みは重要だ。毎年恒例の活動を継続し地元に浸透させていく、あるいは従来のパターンを打破する新鮮なアイデアでマスメディアも巻き込む広報など、さまざまな手法で来年以降も「警備の日」アピールが盛り上がることを願う。

業界外の人々からは「警備に記念日があることを初めて知りました」「警備員さんの仕事に興味を持った」などの声が寄せられる。PR活動は、警備員の存在に目を向けて関心を持ってもらうきっかけづくりとなるものだ。

人々が目を向ける時、そこに安全安心を実感させる質の高い警備業務があってほしい。施設警備における丁寧な応対や頼もしい巡回。交通誘導警備の安全で円滑な誘導。イベント警備で臨機応変の的確な対応。現金輸送車に乗り込む際の間断なき警戒。警備員一人ひとりの存在感によって「暮らしに身近な職業、なくてはならない職業」といったイメージはさらに広がっていくのではないか。

安全安心を実感できる質の高い業務は、充実した教育から生まれる。手厚い教育を受けて業務に誇りを持ち、自社に対する愛着を持って、いきいきと働いている。そのような警備員が経営者の取り組みによって増えることで「警備の日」PRは大きな実を結ぶに違いない。

【都築孝史】

シニア活躍2025.11.01

環境整備、リードしよう

警備員の約半数は60歳以上――。2024年末時点の60歳以上の警備員は約27万6000人で全体の47%を占めている。全産業での60歳以上の割合は19%であることから、警備業がいかにシニア世代の活躍で成り立っているかが分かる。体力や目的に応じた多様な働き方が可能な警備業で、シニアが安心して安全に働ける環境をつくることは重要な経営課題と言える。

個人差はもちろんあるが、一般的に60歳以上は、加齢による身体機能の低下から労働災害の発生リスクが高い。休業期間が長期化する傾向もある。厚生労働省によると、24年の労災による死傷者(死亡と休業4日以上)に占める60歳以上の割合は30%。20年前の15%から2倍になった。

警備業はどうか。24年の死傷労災で60歳以上は2100人弱。全体の53%を占め、半数を超えている事実は重い。警備業の死傷労災は「転倒」「動作の反動・無理な動作」「道路交通事故」が三大要因だ。

厚労省は20年に「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」を作成し、事業者に取り組みを促してきた。だが、ガイドラインを知っている事業者の割合は20%程度。「自社の60歳以上は健康」などを理由として、手すりの設置や段差の解消、明るさの確保といった防止対策はあまり進んでおらず、60歳以上の労災増に結び付いている。

こうした状況を受けて来年4月、高年齢者の労災防止対策は強化され、事業者の努力義務となる。労働安全衛生法の改正によるものだ。努力義務化に向けて厚労省は、有識者や労使の代表を委員とする検討会を設置。現行のガイドラインをベースにした新たな指針づくりを進めている。

委員からはこんな指摘がある。定年退職後、それまでやっていた仕事とは別の、肉体労働の仕事に就くことが多く、それが労災につながっている可能性がある――。重要な視点であり、指針づくりに生かされればと思う。

高齢化が進むなか、警備の現場は今後もシニア世代によって支えられていく。だからこそ、安全に働ける環境整備をリードする業界であってほしい。高年齢者に優しい職場は、若い世代や女性にとってもそうなるだろう。

【伊部正之】