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視点

協会活動2023.01.21

交流深め、視野広げよう

全国警備業協会・都道府県警備業協会は一昨年から今年にかけて、それぞれ創立50周年を迎え、さらなる業界発展をめざし活動を進めている。

警備会社が警協に加盟するメリットはさまざまだ。協会加盟企業としてユーザーからの信用が高まり、営業活動でプラスになる。警備員教育を会員価格で受けることができる。研修会に参加することができ、業界動向の情報が得られる――などである。

一方で、メリットはさておいて“協会は会員のためにどのようなことをしてくれるのか”といった声も聞こえてくる。

昨秋に創立50周年記念式典を行ったある県警協の役員は、協会活動についてこう話した。「会員は、協会が主催する各種の行事にもっと進んで参加してほしい。会員同士が警備業界についてざっくばらんに意見を交わす中で仲間意識が生まれ『自分たちの業界を自分たちで良くしていこう』と団結する力が強まると思う」。

協会は何をしてくれるかと受け身で待つのではなく、進んで参加し交流を深めてこそ協会加盟の意義があるのだ。

協会活動は総務、教育、業務、防災、広報などの専門委員会による取り組みを中心として多岐にわたる。各種の研修会や労働安全衛生大会、「警備の日」などの定例行事、防犯啓発・防災訓練などの社会貢献活動もある。

社業に追われる経営幹部が時間をやりくりし参加すれば交流は広がっていくだろう。そのためには、より多くの会員が参加したくなる行事を協会が企画し運営することが求められている。

協会の委員会に携わって行事の運営などに汗を流すある経営者は、活動するメリットとして「視野が広がること」を挙げる。警備員の採用と定着促進など共通する悩みを話し合って他社の考え方や取り組みを知ることで、自社の改善につながる“気づき”が得られることもあるという。

企業の垣根を超えて会員が交流を深めることは、業界一丸となっての「自主行動計画」推進、ダンピング抑止にもつながることになる。

討論会で参加を促進

会員に協会活動への積極参加を促す新たな取り組みがある。静岡県警備業協会は昨年、会員による「討論会」をスタートした。題して「明日の警備 大討論会」。

4月と10月に開かれ会員各社の経営幹部など延べ80人が参加した。事前にアンケートで選ばれたテーマ「人材の確保と育成」「警備料金の交渉方法」「警備員の資格取得推進」などについて、施設警備、交通誘導警備、貴重品運搬警備などの業務部会ごとにグループ討議を行った。

参加者は自社の現状、改善に向けたアイデアを述べるとともに「もっと警備の仕事は評価されて良いはず。その評価を料金に反映してもらいたい」といった“胸にたまる思い”も打ち明けた。討論内容は協会の業務委員会がレポートにまとめ会員に周知を図った。今年2月には「若者の採用強化、警備業の認知度向上に向けた情報発信」などのテーマで討論会を予定している。

一致協力して新しい知恵を出し合い、諸課題を乗り越えていこうとする警備業協会会員の輪が、今まで以上に広がる一年となってほしい。

【都築孝史】

謹賀新年2023.01.01

健全経営で新時代へ挑戦

新しい年が明けました。全国警備業協会、都道府県協会、警備業各社の皆さまには公私ともに実り多い年でありますよう祈念いたします。

警備業は社会の安全と安心を守る「生活安全産業」です。その企業行動は、ある種の倫理性を伴うことは自明の理でありましょう。今年こそエッセンシャルワーカーとしての地歩を確固としたものにされるよう期待いたします。

旧年中は小紙の発行を支える取材への対応・ニュース提供・購読・広告出稿において多大なご支援をいただきました。衷心より感謝を申し上げます。

今春の「3・11号」で創刊11年、紙齢は364号を迎えます。これも皆さまのご協力あってこそ積み重ねることができた紙史であります。

同人一同は、心を新たに、警備業界の更なる発展の一助となりますよう、社会の変転に鋭敏な感覚で対応し、役立つ情報の発信に力を尽くす所存です。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

新春恒例の警備業界リーダーの皆さんによる寄稿文「年頭にあたって」「トップメッセージ」では、各位それぞれの視点で警備業の更なる発展に向けての決意を記されました。今号は2〜4面、次号は2〜3面に掲載予定です。

その中で、多くの方が言及されたのは、果たせるかな、公正な取引、適正な警備料金の確保、処遇改善への取り組みでした。それは昨秋、全警協がスローガンとして制定した「適正取引・適正料金・処遇UP!!」と軌を一(いつ)にするものでした。

思うに3つの連なる目標を結実させるためには、いくつかのハードルをクリアしなければなりません。その最たるものは警備業務にたずさわる全ての人たちが気持ちを一つに歩調を合わせて取り組むことでありましょう。

経営者の皆さんには、警備員のための研修を重視、優秀な人材を育成、正しい業務に見合う適正な警備料金を得て、警備員の処遇改善を推進するという健全経営の<正統な道>を勇往邁進されることを熱望するものです。

新春を寿ぐとき、無粋な話を差し挟むことをご容赦ください。それは看過できないダンピング(不当廉売)の存在です。警備会社のみならず、正しい業務を考慮せずに安価を要求する発注業者を含め、両者には何よりも意識の改革を強く訴えるものです。

そんな状況にあって、公正な取り引きの推進にあたって“追い風”が吹いてきました。「下請中小企業振興法基準」の改正です。端的に言えば、警備業社の価格交渉を後押ししてくれるもの。運用内容を確認して利益に結び付くよう利用すべきでしょう。

寄稿文で健全経営に次いでテーマとされたのはデジタル化による情報セキュリティーへの対応でした。そこでは、警備員不足の深刻化、技術革新による環境の変化、顧客のニーズの多様化などが指摘されています。

例を挙げるなら、AIを備えた交通誘導システムの完備、ロボットをはじめとする科学技術を活用した省人化などです。各位は、さまざまなテクノロジーを効果的に活用して業界の持続的成長に挑戦することを呼び掛けているのです。衆知を集め変革のエネルギーを燃やすときです。

警備業が近い将来、名実ともに国民と社会からの信頼に応え、社会的責任を果たす業界になったとき、「2023年は健全な経営基盤の確立と新時代への変革に踏み出すターニングポイントの年だった」と回顧できる1年であってほしいものです。

【六車 護】