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視点

広報動画2025.06.01

警備員は安全守る「主人公」

「静かなヒーロー」――。これは全国警備業協会の特設サイトで公開されているプロモーション動画のタイトルだ。前編は4月2日、後編は5月7日から公開され、スマートフォンなどで手軽に視聴できる。

警備業の魅力を業界の内外に発信する広報啓発活動として、全警協広報プロジェクトチームが制作した。都道府県警備業協会や加盟員に向けて積極的な動画の活用、周知を呼び掛けている。

慢性的な人材不足を背景として複数の警備業協会、警備会社が求職者に向けたウェブ動画を制作してきた。その多くは、実際の警備員が登場して業務について説明するスタイルだった。

「静かなヒーロー」は、NHKのドラマや映画、舞台で活躍中の俳優陣が、ベテラン警備員、警備員になろうとする青年などを演じている。

主人公は、娘の誕生をきっかけに警備の仕事に就き、経験を積んできた。「日常の安全と安心をつくる職業」に誇りを持っている。美術館の警備では、来場者に丁寧に対応し事故の芽を摘む。部署異動で交通誘導警備の教育担当となり、夜間の工事現場を巡回。新人警備員に対しては、仕事のやりがいを飾らぬ言葉で語り、内に秘めたプライドを打ち明ける。

持ち場の安全安心を守り続ける警備員は「静かなヒーロー」であることが、じんわりと伝わってくる短編ムービーだ。“街で警備員を見かけるが、どのような仕事をしているか知らない”という人たちに、また、警備業界で働いている人や新たに警備員として働こうとする人に見てほしい。

一般に警備員は、歩行者やドライバーに“協力をお願いする”立場で業務を行っている。警察官と違って法的な権限は持っていない。警備員の存在を軽んじる相手からの暴言など、カスタマーハラスメントに直面する場合もある。

しかし、担当エリアの安全に関することなら、警備員一人ひとりが現場の主人公。誇りを胸に業務を遂行することで人々や社会の安全安心は守られ、社業と業界の発展につながる。

警備員のために、経営者のさらなる取り組みは重要だ。手厚い教育訓練によるスキルアップ、処遇改善、働きやすい職場づくりなどを推進することで、より多くの「静かなヒーロー」が育成され、定着するに違いない。

【都築孝史】