視点
新入社員2025.04.01
「Z世代」ほめて伸ばそう
春らんまんの新年度、新社会人は希望に満ちてプレッシャーも感じつつ職業人生をスタートする。
多くの業種が人手不足に悩み、新卒学生の売り手市場が続く中、縁あって「警備業の門」をくぐる新入社員を大切に育成して活躍と定着につなげたい。
警備業界では新卒者の定期採用に取り組む企業は大手が中心だったが、近年は自社サイトに「新卒者向け」ページを特設するなど採用に力を注ぐ中小企業は増えている。これまで通年(中途)採用をメインとしてきた企業が、厳しい警備員不足の中でコストを掛けて新卒者の人材確保に力を注いでいる。次世代の幹部候補、警備現場のリーダーとなる「はえぬき社員」を長い目で育てる取り組みだ。
一方の新入社員は「Z世代」。その定義には幅があるが、現在10代後半から20代後半の若者たちを指す。民間アンケートなどによるとZ世代の傾向は「承認欲求が強い」こと。仲間うちでSNSに投稿し“いいね”などと承認し合うのが日常的で、他者から承認されたい思いは他の世代より強いようだ。
あるベテランの特別講習講師は長年の経験で培った指導のコツを次のように話していた。
「相手の良い所を積極的に見つけて、少々オーバーにほめるよう心掛けている。ほめられると人は自信を持ち、一層意欲的に取り組むものです」。
こうした“ほめて伸ばす”指導は、承認を求めるZ世代に響くのではないか。
平均年齢の高い警備業界に入ってきた若者が早期離職せずに成長していくため、適正料金確保による待遇改善は不可欠。職場の良好なコミュニケーションも大事であり、若い世代の傾向を上司や先輩が把握していれば対話を深める糸口となるだろう。
社員80人ほどのある中小警備会社は、創業以来初となる新卒の社員を迎えるにあたって、教育担当者はもとより社員全員を対象として新入社員への接し方や丁寧に育てる心構えなどについての研修を行った。新人を歓迎し大切にする職場環境づくりの一環だ。
30歳未満の警備員は、警察庁の概況によれば全体の1割ほど。警備業を選ぶ新卒者が今以上に増えることで「幅広い世代がいきいきと活躍している業界」との認知が広まってほしい。
【都築孝史】