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全警協 警察庁と「協議体」設置へ2025.06.21
当面のテーマは「デジタル化対応」
全国警備業協会(村井豪会長)は6月11日、2025年度定時総会を都内で開催した。警備業界の課題解決に向けて全警協が警察庁と議論を行う「官民協議体」の設置を同庁に要望したことが明らかになった。組織改編により「運営審議会」「経営基盤委員会」などを設置。小塚喜城副会長(愛知警協前会長=コアズ)が退任し、新副会長に金子慶太郎氏(同警協会長=セクダム)が就任した。
村井会長はあいさつで「価格転嫁の取り組みなど警備業の社会的な地位向上に向け施策を推進していく」と強調した。
来賓の警察庁・楠芳伸長官は、安全な地域社会づくりへの警備業の貢献をたたえた上で、匿名・流動型犯罪グループ、特殊詐欺などの治安情勢を説明し「警備業の需要は拡大し重要な役割を担っている」と述べた。
全警協・黒木慶英専務理事は、将来的な制度改正などを視野に、警察庁との間で官民協議体の設置を5月に要望したことを報告。協議体事務局は全警協総務部と警察庁生活安全企画課に置き、警備業のデジタル化対応や適正取引などを当面のテーマとする。協議体のメンバーは全警協が新設予定の大手や中小の警備業者で構成する「制度調査研究部会」代表者や警察庁生活安全局の幹部など。必要に応じ交通局、警備局、他省庁の幹部も交え建設的な議論を行う。
より効率的で円滑な組織運営に向け、定款の一部を改正。これまで会長の諮問機関に位置付けられていた各種委員会は、理事会の下部組織となり、目的事項について調査研究を行う。10月からは総務委員会を廃止、「運営審議会」と「経営基盤委員会」を新設する。同審議会は、理事会で審議すべき案件を整理する。同委員会は、経営基盤の強化、モラル、広報について調査研究を行う。
「部会」の設置に関する規定を加え、「航空保安部会」「制度調査研究部会」の2部会を設置。専務理事のもとに置かれる作業部会(WG=ワーキング・グループ)については、設置の事前、または事後に理事会に報告するものとした。
事業計画では▽重要な諸問題について各種委において解決を図る▽カスタマーハラスメントに対する基本方針の周知▽特定技能制度及び育成就労制度への警備業導入についての検討▽災害復旧支援時における他業界との連携▽特別講習のデジタル化に必要な支援▽労働環境の整備として、サングラス着用ガイドラインの普及、「座哨警備」のあり方について検討▽プロモーション動画の第2弾(交通誘導警備業務編)作成――などが盛り込まれた。
村井会長「地位向上へ施策を推進」
犯罪の多様化などで体感治安は悪化し、安全安心に対する社会の要求は高い水準が見込まれる。大阪・関西万博や世界陸上など多くの大規模イベントが行われ、警備需要は当面強めに推移すると予測している。価格転嫁を推進し、警備員の処遇改善、労働環境の改善や人材育成、DXの導入による効率化などにより供給力の確保に努めなければならない。
全警協は、引き続き警備業の更なる社会的地位の向上に向け、価格転嫁の取り組みなど諸施策を推進していきたい。広報プロジェクトによるスペシャルムービー「静かなヒーロー」は、各所から共感と感動の声が寄せられ、若い世代にも警備業への理解と関心が育まれることを期待している。
新たな試みとして、災害対応における「警備業の役割進化」を進めていく。「ライフライン」「食料・水・生活必需品」「医療」関連の業界団体と、警備業界との連携について意見交換を行っており、具体的な取り組みへ展開していきたい。
熱中症の死傷 過去最多2025.06.11
24年労災 交通誘導警備員2人が死亡
厚生労働省は5月30日、2024年(1〜12月)に全国の職場で発生した転倒災害や熱中症など労働災害の状況(確定値)を公表した。全産業計の死亡者数は746人と過去最少となった一方で、熱中症による死傷者数(死亡と休業4日以上の業務上疾病者)は1257人と過去最多となった。
熱中症による全産業計の死傷者数は1257人。同省が統計を取り始めた2005年以降最多となった。うち死亡者数は31人。死亡災害について統計を取り始めた1989年以降、当時観測史上最も猛暑だった2010年の47人に次いで多かった。
警備業の熱中症による死傷者数は142人、うち死亡者数は2人。死亡したのは、いずれも交通誘導警備業務に従事していた警備員だった。
他業種との比較では、建設業(死傷者数228人、死亡者数10人)、製造業(同235人、5人)、運送業(同186人、3人)。警備業は死傷者数、死亡者数ともに「ワースト4位」となった。
20年からの過去5年間では、死傷者数は497人、うち死亡者数16人。特に死亡者数は建設業(54人)、製造業(19人)に次いで多かった。
一方、新型コロナ感染を除く労働災害全体の発生状況は、死亡者数は前年比9人減の746人と過去最少となった。しかし、休業4日以上の死傷者数は同347人増の13万5718人。4年連続で増加した。
警備業は、死傷者数は前年比90人減の2088人。うち死亡者数は同7人減の28人だった。
警備業の死傷災害を「事故の型別」でみると、「転倒」が最も多く882人。次いで腰痛など「動作の反動・無理な動作」249人、「交通事故(道路)」245人、「墜落・転落」213人。死亡災害は「交通事故(道路)」15人で最も多く、「転倒」と「墜落・転落」がともに3人だった。
「すずらん会」スタート2025.06.01
石川警協女性部会
石川県警備業協会(上田紘詩会長)の女性部会が5月14日に発足した。名称は「すずらん会」、部会長に協会副会長の北原泉氏(アクロス警備保障代表取締役)が就任した。女性部会の発足は大阪、東京、福岡、岐阜、北海道、神奈川に続き全国で7番目。
「すずらん会」は、活動方針を▽警備業界における女性の確保▽職場環境の改善▽他都道府県女性部会との交流親睦――と定めた。定例会合を行い、協会活動の活性化や女性を取り巻く雇用と労働環境の改善、女性向けの警備業務や経営に関する研修会の開催などに取り組むとしている。
会員資格は、協会加盟社に所属する女性の経営者や経営幹部、警備員、事務職員など。
石川警協では近年、女性が経営する加盟会社は増えつつあるが、協会活動に積極的に参加する女性経営者は少数にとどまっていた。こうした中で女性経営者から「女性部会を発足させたい」との要望があり、理事会が承認。14日に金沢市内で初会合を開いた。
「業界をPR、活性化に」
石川警協女性部会「すずらん会」北原部会長の話
「警備業が課題と向き合う中、協会活動により多くの女性が参加してほしいと考えています。メンバーは経営者、警備員や内勤の事務職員、それぞれの立場で話し合って交流していきたい。
部会の愛称「すずらん」は、4月に来訪された大阪警協「ひまわり会」の方々からのアドバイスを参考にしました。
能登半島では現在、災害からの復興に取り組んでいますが、警備員不足は深刻です。女性警備員の雇用拡大など人材確保に関するPR活動を展開し、部会活動を警備業界の活性化と復興の加速につなげたいと考えています」。