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視点

謹賀新年2021.01.01

警備の新たな地平を開こう

新しい年は「コロナ禍・第3波」の中で明けました。収束への道筋はなお見通せない状況にあります。日本でもワクチン接種が現実味を帯びてきました。おだやかな日々が一日も早くやってくることを願うものです。

旧年を振り返れば、皆さま方におかれましては、経営にご苦労を強いられながらも、小紙の発行を支える取材・購読・広告出稿などにおいて例年と変わらないご支援を賜りました。衷心より感謝申し上げます。

夏には仕切り直しの<東京2020>です。世界の人があまねく「やってよかった」と実感する大会であってほしいものです。「安全・安心」の担い手である警備業にとって、コロナ後の地平を開く舞台となるでしょう。

私たちも心を新たに、警備業界の更なる発展の一助となりますよう、社会の変転に鋭敏な感覚で対応し、役立つ情報の発信に力を尽くす所存であります。

警備保障タイムズ」は今春の「3・11号」で創刊9周年を迎えます。本年もご支援とご協力を、どうぞよろしくお願い致します。

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未曾有の災厄に息苦しさを覚えながら、安寧の日が来る日に思いをはせるとき、一つの歴史に残る言葉が脳裏をかすめました。それは現代にも当てはまるリスク管理の要諦と言えるでしょう。

「予期せぬことと予期したくないことが起こると予期して備えよ」――東ローマ帝国ユスティニアヌス王朝の皇帝、マウリキウスの言葉です。戦場で部下に「このあとどうなるでしょう」と聞かれて答えたと伝わっています。

災いの魔は、思い至らない個所からのほころびに付け込み、壊滅的な危機をもたらすことがある。そのことは、後になって破られるべくして破られた防御策だったと分かる。マウリキウスは全知全能を結集して予期したくないことにも備えよ、と戒めたのです。

今となって政権の危機管理の脆弱性をあげつらう気はありません。確かなことは、すべての国民に寄り添い、リスク管理の認識を共有して、自分の言葉で話しかけるという思いがあってほしいということです。

<東京2020>が延期されたとき、前首相は「人類が新型コロナウイルス感染症に打ち勝った証として五輪を成功させたい」と、まことに勇ましいメッセージを発しました。現首相も同じ言い回しをそのまま継承しています。

思うに五輪は「打ち勝った証」より、安全と安心を得たという実感の下で開いてこそ世界が祝福する祭典になると考えるのです。五輪の警備に携わる人たちにとって、そんな舞台での成功こそ、社会に不可欠な存在を確固とする好機ではないでしょうか。

もう一つ故事を引けば、「カドメイアの勝利」ということわざがあります。ギリシャ神話に由来するもので、勝つには勝ったが負けたのに等しい代償を支払って得た勝ち方のことです。五輪は決して、そんな状況の下での開催であってはならないでしょう。

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今号と次号では、警備業界リーダーの皆さんに恒例となっている「年頭所感」「トップメッセージ」を寄稿していただきました。各位は、もれなくコロナに言及、難局を乗り越え、安全安心な社会づくりに貢献する強い決意を記してくれました。

その一つ、セコムの創業者で最高顧問の飯田亮さんは、まさに今、人々が心すべき行動は、「うつらない、うつさない」という感染拡大防止の原点を徹底すべきである、と書きしるされています。筆者は、氏の言説に込めた真意に思いを巡らせました。

飯田さんは<互いの命と生活を守り合う意志を分かち持つことである>と伝えたかったのではないでしょうか。

皆さん、どうかご自愛を。

【六車 護】