警備保障タイムズ下層イメージ画像

TOP NEWS

手続き、オンラインに2021.01.21

全警協 警察庁に15項目の要望

全国警備業協会(中山泰男会長)は1月12日、警察庁に「行政のデジタル化に関する要望書」を提出した。要望は新型コロナへの感染防止のため、全警協と警察庁をインターネット回線で結び、中山会長が小田部耕治生活安全局長にモニター越しに説明、協力を求めた。小田部局長は要望について、実現へ向け前向きに検討していく意向を示した。

要望は、政府が「行政手続きのデジタル化・オンライン化」を方針として示したことがきっかけだ。

同方針を受け全警協は「基本問題諮問委員会(成長戦略を検討する委員会)」の作業部会の一つ「成長戦略に資する警備業法の見直し」作業部会(部会長=首藤洋一・セコム法務部長)で各種手続きのオンライン化などを検討。全警協加盟30社にヒアリング調査を行うとともに、都道府県警備業協会にも要望を聞いた。

同結果を踏まえ全警協は業務効率化と生産性向上のため、「業界の総意として」(中山会長)全15項目の要望(別項)を取りまとめた。

要望内容は、契約手続き規制の再設計や各種申請・届出制度のオンライン化など多岐にわたる。

規制の再設計では、警備業法第19条第1項で規定される「契約締結前書面」と同法第2項規定の「契約締結時書面」が、必要的記載事項の大部分が重複しているにもかかわらず、警備業者はほぼ同じ内容の両書面を2度提出。このため、警備依頼者保護に配慮した合理的な契約手続きへの見直しを求めた。

申請・届出手続きでは、可能なものから順次、速やかなオンライン手続きへの移行とともに、官公庁や地方自治体との警備契約でのオンライン化加速を要望。提出が義務付けられている役職員の住民票をオンラインで行うために、自動車運転免許証やマイナンバーカードで代替する添付書類の見直しなども求めた。

検定関係では、合格証明書の記載事項である警備員個人の住所について、住所変更のたびに書き換え申請が必要なために多くの警備業者が再検討を要望。証明書記載事項からの住所削除を求めた。

政府方針を受け警察庁も現在、警備業法に基づく各種手続きの押印廃止や申請・届出書類などのオンライン化へ向けた検討を進めている。

全警協要望の実現には、警備業法や同施行規則など関係法令の改正が必要なものもあり、警察庁は今後、全警協の「警備業法見直し作業部会」と協議を続け、実現へ向けた作業を行う。

成長戦略、検討進む2021.01.01

全警協 デジタル化で要望へ

全国警備業協会(中山泰男会長)は12月16日、東京都新宿区の同協会内で「基本問題諮問委員会(成長戦略を検討する委員会)」の3回目会合を開いた。7月の委員会初会合以降、テーマごとに検討してきた5つの部会が中間報告。各部会の報告を受けた中山会長は「(2021年総会で公表予定の)アクションプランの道筋が見えた」と述べ、今後の議論の更なる深まりに期待を寄せた。

基本問題諮問委(成長戦略検討委)の目的は、警備業を取り巻く“喫緊かつ重要な課題”に絞り込んだ議論を行い、「アクションプラン」を策定すること。2021年6月の全警協定時総会での公表へ向け作業を行っている。

検討内容は(1)外国人雇用の問題(2)ICT(情報通信技術)等のテクノロジーの活用(3)成長戦略に資する警備業法の見直し(4)単価引き上げ策、経営基盤の強化(5)災害時における警備業の役割の明確化――の5テーマ。テーマごとに作業部会を置き検討してきた。

「警備業法見直し」作業部会(部会長=首藤洋一・セコム法務部長)は、デジタル庁設置など政府が進める「行政のデジタル化」を受け、現行の警備業法などに規定される各種申請や手続きなどの中で可能なデジタル化・オンライン化を検討。警察庁に対して制度改正へ向けた要望を行うことを提案した。

「外国人雇用問題」部会(同=折田康徳・にしけい会長)は、全加盟社に外国人雇用の要望や雇用に当たっての問題点などについてアンケートを行っていることを報告。次回会合(2月下旬または3月中旬)で結果を公表する。これまでに寄せられたアンケート結果では、交通誘導警備や施設警備など種別によって外国人雇用に対し慎重な意見があることが判明。教育方法や効果確認などに不安を持つ声もあった。全警協は業務の特殊性なども踏まえ、慎重に議論を進めていく。

「ICT・テクノロジー活用」部会(同=豊島貴子・CGSコーポレーション社長)は、現状と課題を洗い出し、近く具体的な取り組み課題を整理する。

「単価引き上げ・経営基盤強化」部会(同=佐々木誠・セシム社長)は、「自主行動計画」を中心に警備業内外に働き掛ける。ダンピング阻止には経営者のモラルに訴えることが必要なことから「経営者の意識」のあり方も検討していく。

「災害時の役割明確化」部会(同=松尾浩三・近畿警備保障社長)は、都道府県警備業協会が自治体や警察と結んでいる「災害支援協定」の“有償化”へ向けた検討を加速。被災地での交通誘導警備や警戒警備など警備業本来の業務のビジネス化を目指す。