警備保障タイムズ下層イメージ画像

TOP NEWS

政府が運用見直し2022.02.21

賃上げ企業への入札優遇措置

政府は2月8日、賃上げした企業を国発注業務の入札で優遇する措置の運用を見直した。入札参加企業の賃上げを適切に評価するため、当初の要件だった「給与総額アップ」に、「従業員1人当たりの平均受給額アップ」などを追加。同日、財務省が関係省庁に通知した。

賃上げ企業の優遇措置は、4月以降に「総合評価落札方式」で行われる国発注の業務に関し、大企業は前年度または前年比で従業員1人当たりの平均受給額を3%以上、中小企業は全従業員の給与総額を同1.5%以上、それぞれ増加することを表明した企業に、総合評価での加算点に5%以上加点する制度だ。財務省が政府方針「成長と分配の好循環」を受けて制度設計を行い、昨年12月に各省庁に通知。国交省などが入札実施へ向けた準備を行っていた。

中小企業の賃上げについては当初、「給与総額」の増加のみで確認するとしていたが、一部で「単に従業員数を増やすことで給与総額の引き上げは可能」と指摘。本来の賃上げの主旨から外れることから「1人当たりの平均受給額」の増加を追加した。

給与総額で賃上げを確認する場合、給与の多いベテラン社員が退職し、新卒採用などで給与総額が減少したケースなどでは、継続雇用の従業員への支給額で給与総額を評価する。「災害発生で緊急業務を行った」「育児・介護休業を取得している従業員がいる」場合は、一時的に増員した従業員の給与や超過勤務手当、休業取得で給与水準が変化する従業員の給与を給与総額から除くなど、企業の実情を考慮した。

企業が優遇の要件通りに賃上げしたかの確認は、法人事業概況説明書などに加え、公認会計士や税理士などの第三者が企業の賃上げを確認した書類も認める。

同省は、役員報酬のみを引き上げるなど従業員の賃上げが伴っていない場合や、賃上げ表明期間前に賃金を意図的に下げ賃上げ率の水増しを行うなどは、制度の主旨を意図的に逸脱する行為と指摘している。

同制度については、自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」(会長=根本匠衆院議員)幹事長の佐藤信秋参院議員らが中心となって財務・国交両省に運用見直しを働き掛けていた。

警協、人材確保で動く2022.02.11

〝コロナ後〟見据えた対応

警備業の人手不足は、首都圏・地方都市ともに深刻だ。都道府県警備業協会は加盟各社の窮状を受け、国(労働局)や自治体と協力、各種人材確保対策に取り組んでいる。「コロナが収束すれば人手不足はもっとひどくなる。その前に手を打たなければ」(埼玉県警備業協会・鈴木久生事務局長)という、業界関係者に共通する“切実”な思いが背景にある。

熊本警協、就職相談会を開催

熊本県警備業協会(西利英会長)は昨年11月から今年1月にかけて、県内4か所のハローワークで「警備の仕事・就職相談会」を行った。熊本市以外の都市での開催は今回が初めて。

新たに加わったのは球磨(人吉市)、菊池(菊池市)、八代(八代市)の3ハローワーク。熊本労働局との共催の同就職相談会は、熊本を含む計4か所で延べ7日間行われ、加盟社は延べ24社、求職者は予想を上回る同41人が参加。すでに数人の求職者が正式な面接を経て採用に至っている。

同協会は2019年度から「ハローワーク熊本」(熊本市中央区)で、1日に3〜4社が参加して求職者の相談や質問に応じる就職相談会を開催。22年度は初の試みとして全県での開催を計画、熊本労働局に協力を求めた。要望を受け同労働局は、県内10か所のハローワークに熊本警協への協力を呼び掛ける文書を出すなど全面的に協力、4ハローワークでの開催が実現した(他のハローワークは新型コロナ感染防止の観点から開催を見送った)。

同労働局はホームページで相談会のPRを行ったほか、各ハローワークも庁内に、熊本警協が相談会用に制作した求職者の目を引くユニークなポスターとチラシ(22年度協会「労働災害事故防止ポスターコンクール」で1位に入賞したトラスト熊本の中島巧人氏が協力)の掲示や配布、求職者へのダイレクトメールの送付、相談会開催中の館内放送の実施など全面的に協力した。

埼玉警協、女性求職者にPR

埼玉県警備業協会(炭谷勝会長)は1月28日、県運営の女性キャリアセンター(さいたま市中央区)で開催された「業界研究セミナー」に参加した。

同セミナーは、県産業労働部人材活躍支援課が、女性求職者や女性活躍推進に取り組む業界や企業の支援のために開催。今回は警備業のほかに倉庫業と内装業の計3団体・3社と、30歳代から60歳代の女性求職者26人が参加した。

セミナーでは各業界団体と企業が自身のPRを行ったほか、「ほんね!の業界トーク〜聞いてみよう、業界のこと」と題した“交流タイム”も設けられた。

警備業の紹介は、埼玉警協の内田達也総務課長が担当。警備ニーズの高まりにより警備員が増えていることや、1号から4号までの各警備業務の仕事内容、教育制度――などについて説明した。

交流タイムは、ALSOK埼玉の青木誠志氏と伊藤美香さんが担当。青木氏は総務部で採用業務と大型商業施設の警備隊長を兼務。伊藤さんは現役の警備部所属の警備士だ。

参加者からは「現場で困った経験は?」「女性ならではの警備現場での働き方は?」などの質問が寄せられ、伊藤さんが自身の経験などを踏まえ回答した。

セミナー終了後のアンケートでは「知らない業界だったので勉強になった」「女性が活躍していることを聞けてよかった」「イメージが変わった」などの声も寄せられ、女性求職者への警備業PRと理解を深めるいい機会となったようだ。

同協会では今後、ハローワークと連携した合同面接会の開催なども予定している(埼玉警協・鈴木事務局長)という。

国交省「賃上げ企業」入札で優遇2022.02.01

総合評価で5%以上加点

国土交通省は4月からの入札で「賃上げ」実施企業を優遇する。今後、同省以外の省庁の入札でも同様の措置が導入されることが予想される。一方、財務省は企業の積極的な賃上げを促すため「賃上げ促進税制」を拡充、賃上げを税制面から支援する。警備業も官庁の施設警備業務の入札や税控除などでの恩恵が期待される。

優遇の対象となるのは、4月1日以降に国交省と事業者が契約を結ぶ「総合評価落札方式」による全ての入札。賃上げを行う企業に対し、総合評価による加算点に5%以上加点する。

事業者が加点されるためには、大企業は対前年度比または前年比で「給与等受給者1人当たりの平均受給額を3%以上増加する」ことを、中小企業は「給与総額を同1.5%以上増加する」ことを、それぞれ従業員に表明し、表明を受けたことを従業員代表が認めた「賃上げ計画表明書」を入札時に提出することが必要だ。中小企業については、従業員の入れ替わりが多いことから「給与総額」での賃上げを認める。

加点を受けた企業に対し同省は、事業年度または暦年の終了後に「法人事業概況説明書」や「決算書」などで賃上げの達成状況を確認。未達成の場合、その後1年間に行われる国の総合評価落札方式での入札全てで、加点より大きな割合の減点を行う。

一方、財務省は「賃上げ促進税制」を拡充する。継続雇用者の給与総額を前年度に比べ3%以上増加させた企業の法人税に関し、同増加額の最大30%を税額控除する。

全雇用者の給与総額を対前年度比1.5%以上増加させた中小企業に対しては、現行の15%の税額控除に加え、給与総額を同2.5%以上増加させた場合は15%、教育訓練費を同10%以上増加させた場合は10%、それぞれ控除率を上乗せし、控除率を現行の最大25%から40%に引き上げる。また、適用期限を2024年3月末まで1年延長する。

さらに、法人事業税では2年間に限り、雇用者全体の給与総額の増加額を付加価値額から控除する。