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警備員は平均1・7パーセント増2020.12.21

21年度「建築保全業務労務単価」

国土交通省は12月10日、2021年度の「建築保全業務労務単価」を公表した。単価として示される「保全技師・保全技術員等」「清掃員」「警備員」――の3職種計の全国平均単価は前年度に比べ1・4パーセントアップした。昨年度、全職種平均の増加率2・9パーセントを超える3・3パーセント増となった警備業は、警備員A・B・C平均で1・7パーセント増にとどまった。

建築保全業務労務単価は、国管理の庁舎などで行われる施設警備などを発注する際、費用積算の参考とする単価。国交省の「建築保全業務労務費調査」結果に基づき、全国を北海道から沖縄までの全10地域に分け、地域ごとの単価を毎年12月に示している。

警備業務の労務単価は、「警備員A」(施設警備1級の検定資格保有者または業務について高度な技術力・判断力・作業の指導など総合的な技能を持つ実務経験6年以上程度)が全国平均1万4180円。前年度に比べ230円(1・6パーセント)増加した。

「警備員B」(施設警備2級の検定資格保有者または作業の内容判断ができる技術力と必要な技能を持つ実務経験3年以上6年未満程度)は同1万2100円。前年度比230円(1・9パーセント)増だった。

「警備員C」(警備員AまたはBの指示に従って作業を行う能力を持つ実務経験3年未満程度)は前年度比180円(1・7パーセント)増の1万700円だった。

警備員の単価を地域別でみると、A・B・Cいずれも東京が最も高く、次に愛知が続いた。最も低いのはA・B・Cともに沖縄で、Bは1万円を、Cは9000円をそれぞれ下回った。

「時間外単価」や午後10時から翌午前5時までの「夜勤単価」の元となる、1時間当たりの割増基礎単価算出のための率「割増基礎単価率」は、A9・6パーセント(前年度比0・1パーセント減)、B9・8パーセント(同0・2パーセント増)。Cは前年度同の10・4パーセント。宿直1回当たりの定額単価「宿直単価」は100円増の4000円となる。

建築保全業務労務単価は、法定福利費の事業主負担分や研修・訓練費などの業務管理費・一般管理費は含まれていない。入札や見積もりに参加する際は、同単価に必要経費を上乗せした額を算出することが必要だ。

広域警備、ドローンで2020.12.11

成長戦略「実行計画」まとまる

政府の成長戦略会議(議長=加藤勝信官房長官)は12月1日、ポスト・コロナ時代を見据えた経済政策の「実行計画」を取りまとめた。警備業関連では、ドローンによる市街地での広域警備実現を目指す。

実行計画は、温室効果ガス排出ゼロを目指す「2050年カーボンニュートラル」に向けた「グリーン成長戦略」などに加え、「人への投資強化」「足腰の強い中小企業構築」など全15章から構成される。

警備業については「10章・イノベーションへの投資強化」で言及した。高齢化が進む市街地でのドローンによる広域警備などを可能とする。このため22年度を目途とした、有人地帯でのドローンの遠隔地からの操縦や自動運航など“目視外飛行”によるサービス実現に向け、20年度中に利用目的・形態ごとの課題と解決策をガイドラインとして取りまとめる。

「人」については、雇用維持のため、新型コロナ感染拡大地域の状況や企業業績の状況に応じた柔軟な対応を検討。一方で、「新たな日常」に向けた労働移動の円滑化のため、予算・税制措置を含む支援を進める。具体的には、短時間労働者を含む離職者に対するトライアル雇用の支援やキャリアアップの助成、在籍出向の環境整備、職業訓練の強化などを図る。

「中小企業」については、合併による規模拡大での生産性向上のため、経営資源の集約化(M&A)を税制面で支援。中小企業への税制上の措置を検討し、来年度税制改正で結論を得る。

21年の通常国会では、一定の補助金や金融支援について、中小企業だけでなく中堅企業への成長途上にある企業を支援対象に追加する法改正を検討する。

大企業と中小企業との取引適正化では、決済期間が現金支払いでは平均50日程度なのに対し、約束手形では100日程度となっていることから、「約束手形の利用の廃止に向けた行動計画」の策定を検討、取り組みを促進する。

警備業の未来創ろう2020.12.01

東北地区連「青年部サミット」

東北地区警備業協会連合会(会長=氏家仁・宮城警協会長)は11月17日、青森市内で「青年部サミット」を開催した。昨年に続く2回目のサミットには、東北6県と北海道の各警協青年部会員25人が参加。前回は“オブザーバー”だった北海道は今回から正式メンバーとなった。また、京都・大阪・兵庫各警協の青年部会はオンラインでサミットの模様を見守った。

「なぜサミットだけは開催するのか、その意味をしっかり噛みしめてほしい」――。開会あいさつで氏家会長は、コロナ禍を受け地区連主催の全ての行事を中止するなか、サミット開催に踏み切った意味を強調した。続けて同会長は「サミットで理想を掲げ未来を大いに語る。夢があるからこそ警備業の未来を創ることができる」と述べ、一堂に会した青年部会員に期待を寄せた。

開催地の青森警協・柿崎忠雄会長は「警備業界の次の50年はすでに始まっている。そのカギを握っているのは10年先、20年先の業界を担う若い経営者・経営幹部の頭脳と行動力、情熱だ」と、サミットへの期待を述べた。

今回の検討テーマは、9月開催の同サミット「プレミーティング」で決定した「これからの警備業界における人材の確保と活用」「新時代の警備業における働き方改革」「業界内における研究と実践のあり方」の3テーマ。テーマごとの課題解決へ向け、各青年部会が事前に検討・洗い出した方策について3グループに分かれて意見を交わした。

人材の確保と活用については、解決策として警備料金上昇、賃金上昇と労働環境改善、福利厚生の充実などを提示。そのための方策として、協会開催セミナーへの加盟社参加義務付けによる料金上昇への意思の共有化、積算金額に基づく料金設定の標準化と加盟社全体での採用などを挙げた。

研究と実践のあり方については、協会の研究部門に各社の優秀な一般社員登用を提案。協会開催セミナーについても、新入社員や中途採用者、リーダー候補者など出席者・ターゲットを明確にしたセミナーを企画するなど「意味あるセミナー」「質の高いセミナー」の開催を課題解決方策として挙げた。

このほかグループ討議では、警備員が現場に到着後、天候などの理由で発注者から業務中止が要請される「現着中止」に対するキャンセル料の支払いなど、東北・北海道各地の実態なども報告。また、メンタルヘルス対策では、相談相手のいない経営者や経営幹部への対応など、事前に用意したテーマを超えて議論が広がった。

これら検討結果は「成果文書」として取りまとめ、出席した全青年部会長が署名・押印。文書に記載された各種方策を出席者全員で実践することを確認した。また、さらなる研究を進め、警備業界が抱える課題を青年部会をはじめとする若い力で乗り越え、警備業を発展させていくことを決意表明した。