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「アクションプラン」報告2021.06.21

全警協が定時総会

全国警備業協会(中山泰男会長)は6月9日、都内で2021年度の定時総会を開催した。事業計画(案)や収支予算(案)の審議・議決に加え、昨年の総会で中山会長が明言していた「基本問題諮問委員会(成長戦略を検討する委員会)」が取りまとめた「全警協アクションプラン(案)」と、同協会が今秋から運用を開始する「全警協eラーニング」について報告した。

「アクションプラン(案)」は、警備業に山積している課題に対する短期、中長期の取り組み。人手不足や経営基盤強化をはじめ、近年多発する自然災害や進展著しい科学技術などへの対応策だ。着実に実践、成果を上げることで警備業の「成長戦略」とすることを目指している。

プランを取りまとめた基本問題審問委(成長戦略検討委)は昨年7月に立ち上げられた。委員長は中山会長が、委員には全国の「地区警備業協会連合会」からの推薦者など全14人が就いた。

検討課題には警備業を取り巻く環境を踏まえ、(1)外国人雇用(2)ICT・テクノロジー活用(3)成長戦略に資する警備業法見直し(4)経営基盤強化・単価引き上げ策(5)災害時の警備業の役割明確化――の5テーマを設定。テーマごとに作業部会を編成して議論を行ってきた。全警協は今後、アクションプラン(案)を“たたき台”に、理事会や総務委員会などの意見を聴き、速やかな実行を目指す。

eラーニング 秋から

全警協eラーニングは、昨年7月の総務委員会で議論がスタートした。全警協事務局は都道府県警協への説明会や導入についてのアンケート調査などを実施。システム構築会社に富士通ラーニングメディアを選定、運用を全警協が主体的に進めることが決定した後もアンケートや説明会を行い各警協の理解を求めてきた。

当面の間、eラーニングで行う教育は法定教育の基本教育5時間、交通誘導警備と施設警備の業務別教育各5時間の計15時間。教育教材(コンテンツ)は全警協研修センターが同協会技術研究専門部員などの協力を得て作成する。今後、経営者向けや一般的教養に関する教育なども整備する。

初年度の受講料は、今年10月から翌年の3月までの半年間の利用契約となるため「1ID」(1人)あたり1650円(非会員は2200円)。22年4月からは1年間の利用契約となり3300円(同4400円)。

実施に当たっては全警協が各警協に必要な事務を委託する。警協が全警協作成のチラシなどを活用して加盟社に受講の働き掛けを行う場合は受講料の3分の1を、受講働き掛けに加えて受講申し込み受付を行う場合は受講料の2分の1を、それぞれ全警協が各警協に支払う。これらeラーニングに関する諸規定は同日、総会に先き立ち行われた理事会で承認された。

会費減免、今年も

総会はコロナ禍を受け、12県の会長がウェブで参加、8県の会長が委任状を提出した。議案でも昨年に続き「会費の一部減免」が決議された。2021年度第2四半期(7月〜9月)の1社あたりの会費1万2000円の半額6000円を減額する。

全警協会費は都道府県警協が加盟社から各警協の会費と合わせて徴収。その後、1社あたり年4万8000円を全警協会費として納めている。全警協は減額した会費を、各協会が加盟社のために行う新型コロナ感染防止対策の財源に充てることを期待している。

21年度事業計画では、初めて「SDGs(エスディージーズ/国連が掲げる持続可能な開発目標)」を明記。警備業の社会的信頼を高めるために取り組んでいく。

熊本市「警備員就職」15万円2021.06.11

「特定分野奨励金」を制定

熊本市(大西一史市長)は、警備業などに就職した人に15万円を交付する「就職奨励金」を制定した。県警備業協会(西利英会長)は同奨励金を活用した人材確保を加盟社に呼び掛けるとともに、同様の制度制定を八代市に求めた。

「熊本市特定分野緊急就職奨励金」は今年3月、国の補正予算「コロナ臨時交付金」を原資に制定された。新型コロナ感染拡大の影響で失業者の増加が懸念される一方で、警備業など特定の分野では依然人手不足が深刻なことから、これらの分野への就職を促すのが狙いだ。

対象業種は警備業、建設業、運輸業、介護の4分野。市内のこれら分野の事業所に就職した人に、就業時5万円、3か月後に5万円、6か月後に5万円の計最大15万円が交付される。

交付の要件は、週20時間以上勤務で、無期または6か月以上の有期雇用契約を締結した市内に住民票を持つ人などが対象。2021年新卒者は対象外。

同市によれば、6月4日現在4分野計で51件の1回目の交付と交付決定が行われ、警備業はうち11件だった。市は同事業に6000万円の予算を充てており、定員は4分野計400人。先着順で受け付けている。

熊本警協は同制度をいち早く加盟社に周知、新規警備員の確保はもとより定着にも効果が期待できることから制度活用を呼び掛けた。加盟社の中には、求職者向け広告に「奨励金対象の業種」や「雇用証明書の発行など市への申請手続きを支援」をアピールして採用につなげている企業もあるという(同協会・西橋一裕専務理事)。

5月27日には、熊本市に次ぐ県南部の県内第2の都市・八代市(中村博生市長)に対し、熊本警協と八代建設業協会、県トラック協会の三者連名で、熊本市と同様の奨励金制度を要望。西会長と県トラック協会城南支部の尾坂大介副支部長が八代市役所で中村市長に要望書を手渡した。中村市長は「コロナ禍の中、経済対策を市側も考慮しており、奨励金についても前向きに検討したい」と応えた。

熊本警協は今後、八代市と同様、昨年7月の豪雨災害で被害が発生、現在も復旧・復興工事が行われ警備員不足が深刻となっている水俣市など他の自治体へも奨励金制定へ向けた要望を行っていく。

厚労省、過労死防止へ〝大綱〟改正2021.06.01

「勤務間休息」目標アップ

厚生労働省は、過労死や過労自殺などの防止対策を示した「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を3年ぶりに改正する。終業から翌日の勤務開始までに一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル制度」の従業員数30人以上の企業での導入割合を、現行の「2020年までに10%以上」を「25年までに15%以上」に引き上げるなど新たな数値目標を設定する。大綱の運用は7月から。

大綱の最終見直し案は、5月25日に都内で開催された第20回の「過労死等防止対策推進協議会」で示された。

新大綱では「勤務間インターバル制度」の導入に加え“周知”についても数値目標を引き上げる。従業員数30人以上の企業について、(制度を)知らなかった企業割合を現行の「20年までに20%未満」から「25年までに5%未満」とする。

導入率が低い中小企業に対しては、働き方改革推進支援センターや産業保健総合支援センターの地域窓口「地域産業保健センター」での相談対応や訪問支援、助成金の活用促進など必要な支援を行う。

年次有給休暇の取得率は、15年以降は前年を上回るなど改善傾向にあるものの、19年は56.3%と現行の目標20年・70%以上の達成にはほど遠いため、25年・70%以上とした。

「ウィズ・コロナ」「ポスト・コロナ」時代の新たな働き方への対応にも言及した。「テレワーク」については、使用者が適切に労務管理を行い、従業員が安心して働くことができる良質なテレワークの普及促進に向け、同省が定めたガイドラインやチェックリストの周知、テレワークに対応したメンタルヘルス対策の手引きなどを作成する。

「副業・兼業」については、企業と従業員双方が安心して取り組むことができるよう、労働時間の通算管理のためのルールなどを示した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を周知する。事業者による副業・兼業を行う人の健康確保の取り組みが進むよう、助成金などで企業を支援する。