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「ハラスメント対策で効果」2025.02.21

東京警協 施設警備部会アンケート

東京都警備業協会(澤本尚志会長)の施設警備業務部会(實川利光部会長=アルク)は2月7日、2024年度報告会を都内で開催した。同部会のワーキンググループ(WG)は「会員企業のハラスメント対策の現状」と題するアンケート調査結果を発表。対策により警備員の離職が減るなどの効果が明らかになった。

WGは「ハラスメント問題は企業の発展を阻む課題」として防止対策の提案に向け活動してきた。昨年8月、施設警備業務部会に登録している639社を対象にアンケートを実施、130社から回答があった。

社員からハラスメントに関する相談を受けていた企業は41.5%、相談はなかったとする企業は58.5%。過去3年間の相談件数は、10件未満が49社、10件以上20件未満3社、20件以上2社だった。

相談内容はパワハラ(49社)とセクハラ(25社)が大半を占めた。顧客からの著しい迷惑行為・カスハラは3社だったが、報告書では、パワハラの中に顧客からのカスハラが混在している可能性があるとして「カスハラ対応策の整備は急務」と指摘する。

ハラスメント対策を実施している企業は89社、一部実施27社、13社は実施していなかった。WGは「東京都のカスハラ条例などの社会背景やSNSで情報が拡散される時代に、企業として防衛手段の準備は必須」と呼び掛ける。

対策の効果では「休職者、離職者が減少」(48社)、「メンタルヘルス不調者が減少」「会社への信頼感が高まる」などの回答があった。

ハラスメント予防・解決のため実施している取り組みは「事業主によるトップメッセージの発信」「経営幹部が注意を払うための啓発(役員向け研修)」「職場でハラスメントを防ぐ方針の明確化と周知(就業規則への規定、広報誌に記載)」などだ。

ハラスメント相談窓口の設置は「社内のみ」51社、「社内と社外の両方」35社、「社外のみ」2社。対策の課題は「ハラスメントかどうかの判断が難しい」「社員の理解不足」「顧客等関係者の理解不足」「社内に対応する人材が不足」などだ。

WGは「業界全体でハラスメントのない職場づくりを推進し、警備業界の未来を明るくするために引き続き会員企業に情報を発信していきたい」としている。

「経営」「変革」2氏が講演

施設警備業務報告会では、経営学者で元法政大学大学院教授・人を大切にする経営学会会長・坂本光司氏が「五方よし経営のすすめ」と題して講演した。

企業が社員とその家族を大切にして地域社会に貢献することで、人材の定着や業績向上につながる好事例を紹介。「ES(従業員満足)を高めなければCS(顧客満足)はないのです」と強調した。

本田技研工業・エネルギーサービス事業開発部部長・木村英輔氏は「カーボンニュートラルに向けた社会の変革」と題して講演した。

「共生社会」づくりと警備業2025.2.11

厚生労働省によると企業で働く障害者は67万人(2024年6月時点)で過去最多となった。障害のある人もない人も安心して暮らすことのできる「共生社会」づくりは一層求められている。京都府警備業協会青年部会は1月20日、京都府宇治市の支援学校で警備の体験学習に協力した。ゼンコー(さいたま市大宮区)勤務の「車いす警備員」濱田久仁彦さん(65)は、1月7日から大学で警備を開始。職業を通じた共生社会づくりのヒントが示されている。

京都警協青年部会 支援学校で体験学習

京都府警備業協会青年部会(安東純吉部会長=新京都パトロール)は、府立宇治支援学校(池原幸代校長、児童生徒332人)の授業「仕事を知ろう」で、警備の体験学習に取り組んだ。安東部会長はじめ部会員5人と小浦克仁専務理事が参加した。

高等部の生徒4人(1年生2人、2年生2人)に向けて青年部会員は、警備の仕事内容を親しみやすく説明。生徒からの質問に答えた。

交通誘導警備体験では、校内の廊下にカラーコーンを置いて工事現場を設定し「片側交互通行」を行った。誘導灯やトランシーバーの扱い方の手ほどきを受けた生徒たちは、工事現場の両端に分かれ「こちらから通します」「どうぞ」「通過。こちらから通します」などのやりとりを練習。安全な誘導を疑似体験した。

教室内で、施設警備における窓の施錠点検などの説明を受けた生徒たちは、金属探知機を使って身体検査を体験した。

京都警協青年部会は2019年に滋賀県立北大津養護学校で警備体験学習を初めて実施。障害のある生徒へ警備業の理解促進に向けて今回授業に協力した。

宇治支援学校・地域学習支援担当の阪田裕美教諭は「参加した生徒の中に、ショッピングモールの駐車場で安全を守る警備員さんを見て『かっこいい』と憧れている生徒がいて『願いがかなった』と喜んでいます」と話した。

安東部会長の話 生徒さんの真剣さに心を打たれました。警備員の仕事に対する理解や憧れが、より多くの方々に広がることは嬉しく、青年部活動を重ねていきたい。

質疑応答

宇治支援学校高等部生徒からの質問と、京都警協青年部会員の答えは次のとおり。

Q:警備員さんの仕事は何時から何時までですか。

A:昼も夜も24時間、順番に交代しながら地域の皆さんの安全安心を守っています。暑い日も寒い日も365日、警備は世の中になくてはならない仕事です。

Q:警備員の仕事に必要なことは何ですか。

A:歩行者や車を運転している人、安全な通行に協力してくれる人たちに「ありがとうございます」とお礼を言う気持ち、謙虚な心が大切です。

Q:仕事をして“危ない”と感じることは。

A:正直ありますが、危険が起こらないように気をつけて他人と自分の安全を守っています――など。

車いす警備員・濱田さん 大学で警備開始

埼玉県坂戸市内にある城西大学(藤野陽三学長)の坂戸キャンパス。ゼンコー(海野弘幸社長)警備員で車椅子ユーザーの濱田久仁彦さんは施設警備員として正式配置された。

濱田さんの勤務は午前9時から午後3時まで。365日・24時間体制での大学警備の昼間部分を担当している。主な勤務場所は、大学キャンパス内の学生課など管理部門が入居する4階建て建物の管理室。大学職員への各室の鍵の貸し出しや入館者のチェックなどが主な業務だ。午前と午後には各1回、建物周囲やその周辺の巡回警備も行う。

大学構内は「バリアフリー」が整備され、車いすでの移動に支障はない。しかし、キャンパス自体がなだらかな丘陵地帯に位置し、敷地は「東京ドーム4〜5個分」という広さ。「移動には疲れます」という濱田さんだが「構内の普段の状況を見て覚え、いち早く“異常”に気付けるようになりたいです」と業務に臨んでいる。また「電動や手動式の車いすの学生さんも2人ほどいます。巡回中や構内の移動中に声を掛けられたこともあります」と、これまでの大学での勤務を振り返った。

1歳でポリオ(小児麻痺)を発症、両足に運動機能障害が残った濱田さんは、2021年1月にゼンコーに警備員として入社した。同年8月には「東京2020」パラリンピック競技大会の千葉県内会場で手荷物検査などの警備業にも従事。23年11月には「車いす警備員」として全国で初めて「施設警備業務2級」の検定を取得した。

ゼンコーでは濱田さんの警備現場での正式配置を目指し、これまで多くの取引先に働き掛けを実施。しかし、勤務場所の都合などで叶わなかった。今回、城西大学は同社の障害者雇用やパラスポーツ「ゴールボール」支援などの取り組みに理解を示し、濱田さんの正式配置が実現した。

関東地区連青年部会が総会2025.02.01

「統一事業」防犯啓発を報告

関東地区警備業協会連合会青年部会(髙里憲悟部会長=神奈川警協青年部会長、アスカ)は1月15日、横浜市内で総会を開いた。構成10県の警協青年部会長が一堂に会し、2024年の活動を順次報告した。警備業の課題について意見も交わした。

関東地区連青年部会では24年、警察と連携した防犯啓発活動を一昨年に続き、「統一事業」で行った。24年はプラスアルファとして、警備業界のマスコットキャラクター「ガードくん」の着ぐるみを10県それぞれで使用することにした。活動内容については各県の判断に委ねた。

総会では各県青年部会長が持ち時間10分で活動報告。高齢者を中心に被害が多発している特殊詐欺の注意喚起(茨城、栃木、群馬、新潟、静岡)のほか、若者がターゲットにされている闇バイト関連の講演会(埼玉)や、痴漢撲滅に向けて作製したグッズの配布(千葉)などに取り組んだことを説明した。

山梨は、参加した三つのイベントでガードくんをフル活用。神奈川は「安全・安心まちづくり旬間」の出発式、長野は「年末特別警戒・交通安全運動出発式」にそれぞれ参加した。

各県青年部会長は「反響が大きく、有意義な活動だった」「ガードくんには心をつかむパワーがある」「統一事業では県警の防犯活動に協力しながら警備業の魅力を発信できる」などと感想を語った。

総会ではフリートークも行われ、人材確保や警備料金について情報交換した。来賓として、全国警備業協会の小澤祥一朗総務部次長が出席した。

25年は、警備業の魅力を外部発信することをテーマに活動する。

総会出席者(敬称略)。

【茨城】渡辺潤(五光警備保障)【栃木】八下田達哉(カルテック)【群馬】小淵豊太郎(小淵警備保障)【埼玉】長谷川功一(システム・ガードサービス)【千葉】黒川智洋(スワット)【神奈川】髙里憲悟(アスカ)【新潟】阿部和弘(メイクスジャパン)【山梨】保坂剛志(センティス21)【長野】工藤勲(エム・エス・ディ)【静岡】佐藤和博(ビオ企画)