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セコムがセノンを子会社化2022.05.21

株式55%、270億円で取得へ、業界1位、6位が合併

セコム(東京都渋谷区、尾関一郎社長)は5月12日、セノン(同新宿区、小谷野宗靖社長)の発行済み株式55.1%を取得して「子会社」にすることを明らかにした。同日、セノンと株式譲渡契約を結んだ。業界売上高1位のセコムによる同6位(ともに本紙調べ)の子会社化(買収)が今後、業界に及ぼす影響が注目される。

セコムは7月1日、セノンの発行済み株式の55.1%に当たる約760万株を取得する。取得総額は約270億円。同社のAIなどを駆使した最新警備技術にセノンの人的警備を融合させることで、顧客に高品質かつ高効率のサービスを提供し、さらなる業容拡大を目指す。

セノンは1969年に「極東警備保障」として創業。88年に〈セキュリティー・イノベーション=警備の改革・革新〉を目指し現在の社名に変更した。2022年3月末現在の警備員を含む従業員数は約7600人、21年3月末時点の売上高は343億円で業界第6位。

同社は近年、わが国の警備市場の将来を見据え、セコムなど複数の警備会社と株式譲渡(子会社化)を含む協力関係を模索。セコムと条件面などで合意に達したことから今回の株式譲渡になったとみられる。セノン社内では、セコムによる子会社化におおむね好意的な受け止め方が多く、社員のモチベーションも上がっているという。

セノンは常駐警備業務や機械警備業務をはじめ、航空保安業務や車両運行管理業務など全国的に幅広く事業展開し、特に常駐警備では大型商業施設やビル警備を得意とする。航空保安業務では東京国際空港(羽田空港)や成田国際空港など全国53空港で業務を行い、同分野では警備する空港数・売上高ともに業界トップクラスだ。

外国からの武力攻撃時、警備員の出動求める2022.05.01

全警連「警備業を指定機関に」要望へ

全国警備業連盟(青山幸恭理事長=ALSOK)は近く、政府に警備業を国民保護法に基づく「指定公共機関」に追加することを要望する。わが国が外国から武力攻撃を受けた際に警備員の出動を求めるもので、同連盟の意向を受け和田政宗参院議員は4月14日、「外交防衛員会」で政府に見解を求めた。警備業の今後の役割について議論を呼びそうだ。

和田議員は14日の参院外交防衛委で「(外国から)武力攻撃が行われた際も、警備業は住民の避難や生活関連施設の安全確保に役割を果たし得る」と述べ、政府に警備業の国民保護法に基づく「指定公共機関」への追加を求めた。

答弁に立った政府委員(内閣官房審議官)は「現行の国民保護法では、警備業者について具体的な取り組みが想定されていない。警備業者の意見も聞いて総合的に判断することが必要」と、警備業の指定追加に慎重な姿勢を示した。

和田議員の政府への質問は、ウクライナ情勢などを受けて全国警備業連盟が、政府に警備業の国民保護法に基づく指定公共機関追加を要望することを受けたもの。「業界内での検討を踏まえた上で」という前提条件付きの要望だ。

武力攻撃事態に武器などの携行が認められていない警備員の出動を求めるという、これまで議論も行われてこなかったテーマだけに、警備業の今後の役割への問題提起ともいえる。

◇指定公共機関 政府や地方公共団体だけでは対応が困難な大規模な緊急事態が発生した場合に備え、公益的な事業を行う民間事業者などを「公共機関」として指定するもの。大地震などの自然災害や新型コロナを含む感染症、外国からの武力攻撃などを想定し、「災害対策基本法」「インフルエンザ等特別措置法」「国民保護法」などで指定公共機関を定めることを明記、電力やガス、物流などの民間事業者が指定されている。これら事業者には、緊急事態に備えた資機材の備蓄や人員の確保などの義務が課されている。警備業は現在、いずれの法律でも指定公共機関となっていない。