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全警協 初の交通誘導警備WG2025.04.01
「標準労務費」対応を検討
全国警備業協会(村井豪会長)は3月18日、東京都新宿区の同協会内で初の種別(警備業務)単位の研究組織「交通誘導警備業務ワーキンググループ(WG)」の第1回会合を開いた。国土交通省が作成を進める「標準労務費」など交通誘導警備業務が直面する課題への対応が目的。全警協・黒木慶英専務理事をキャップに、東京・北海道両警協と全国7地区警備業協会連合会推薦の10人がメンバーに就任した。
WG設立は全警協総務委員会で「加盟社の7割強が交通誘導警備業務を行っているにもかかわらず、同業務の課題を検討する受け皿がない」との指摘を受けたのがきっかけ。
交通誘導警備をめぐっては近年、警備員不足への対応として「AIシステム」導入など業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)化、国交省による建設業法など「担い手3法」改正による工事従事者の処遇改善のための「標準労務費」作成など大きく環境が変化。「警備業関係者の知恵を出し合う必要がある。標準労務費への対応など座視していれば業界の不利益となる」(黒木専務理事)との危機感があった。
初会合では、都道府県警備業協会の副会長や理事、交通誘導警備業務に関する委員会の委員長など、所属警協で要職を務める各メンバーが、交通誘導警備の課題を報告した。
北海道・佐藤浩喜氏は、地域がら、建設工事に伴う交通誘導警備の繁忙期が短期間に限定されるため工事発注の平準化を求めた。冬季の除排雪に関し、待機していたものの、降雪量が少なく出動不要となった元請け建設会社に自治体が支払う「待機補償料」が、警備会社まで行き届いていないと訴えた。
東北・清水俊弘氏は、東日本大震災関連の「復興需要」減少について、(他から進出してきた)建設会社の撤退も相次ぎ、警備の仕事も仙台市以外ではなくなりつつあることを報告。人手不足対策では、宮城県が進めるインドネシア人材の受け入れ促進事業に協力していることを明らかにした。
東京・中田文彦、久恒康裕の両氏は、「過酷な現場での働きに見合うだけの賃金なのか」と、警備員の低い賃金水準に言及。警備料金引き上げの必要性を強調した。公共工事設計労務単価については「建設職種と警備員の差は開くばかりだ」と指摘した。
近畿・大島史朗氏は「大阪・関西万博」の近畿地区での影響について述べた。(会場建設に注力するため)大阪府内の公共工事が減少、協会加盟・非加盟の警備会社が大阪隣接地域において低廉価格で交通誘導警備業務を受注しているケースがあると指摘した。
このほか▽安易な警備業認定取得が過当競争やダンピング受注の原因▽目標や夢を持てる業界になる必要がある▽若い人に好まれないイメージの払拭が不可欠▽交通誘導の合図がバラバラで車両運転者に分かりづらい。全国で統一する必要がある――などの意見も寄せられた。