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院生デザインの警備服2025.04.21

関西連合警備業協組+京都市立芸大

関西連合警備業協同組合(京都市、藤野祐司理事長=西部綜合警備、58社)は、京都市立芸術大学(小山田徹学長)の大学院生がデザインに携わった警備服をこのほど制作し、2025年日本国際博覧会の警備で着用を始めた。警備員のイメージアップに向けて大学院生とコラボレーションした新しい試みだ。

制作された警備服は、肩章が付いた礼服スタイル。関西連合警備業協同組合の組合員は自社の標章(ワッペン)を胸部と上腕部に取り付け、主にイベント警備で着用する。

芸大とのコラボは、組合の藤野理事長が「若者が警備業に関心を向けるきっかけとして制服のデザインは大切。芸大生のアイデアを取り入れることができれば」と考えたのが発端。趣旨を聞いた美術学部の滝口洋子教授は快諾、大学院美術研究科の授業の一環で警備服をデザインする取り組みが昨年春からスタートした。

10人以上の大学院生は、組合各社の幹部や警備員からヒアリングを重ね、警備現場を見学した。組合の広報担当・大島史朗理事(コトナ)は「業務に取り組む警備員の思い、日常生活の安全安心を守っている誇りについて、学生さんは熱心に耳を傾けてデザインに取り掛かった」と話す。

「京都らしく和風のテイストを取り入れたい」「安全を守る威厳があり、親しみも感じられる制服に」「国際観光地・京都として海外の警察や警備会社の制服も参考にしたい」などと活発に議論。デザイン案をもとに制服メーカーの金星(東京都千代田区、石井一史社長)が素材を選んで制作した。

完成した警備服は、府公安委員会に届出を済ませ、3月24日の同大学卒業式で警備員が初めて着用した。4月からは大阪・関西万博で警備に使用されている。取り組みは今年度も継続、授業の中で警備服の夏服や西陣織をあしらったマントなどのデザインを進める。

京都市立芸術大学は、創立145年を数える日本で最も歴史の長い芸術系大学。大学施設の警備や周辺の交通誘導警備、地域のイベント警備を組合の3社・コトナ(京都市、大島伸二社長)、GOKEN(ゴウケン・京都市、河村直正社長)、関西パトロール(兵庫県尼崎市、岸田卓也社長)が行っている。

藤野理事長の話 芸術を学ぶ学生さんと警備員の交流から生まれた制服です。“着てみたい”と思った若者が一人でも多く警備業を選んでくれたらと思います。

「協会警備隊」が発隊式2025.04.11

大阪・関西万博 安全安心を守る

4月13日に開幕する2025年大阪・関西万博を目前に控え「2025年日本国際博覧会協会警備隊」(協会警備隊)の発隊式が4月2日、大阪・夢洲(大阪市此花区)の会場内・西ゲート付近で行われた。世界から160余りの国や地域が参加、10月13日の閉幕まで半年にわたる万博会場の安全安心を守ることを一同は誓った。

発隊式には、協会警備隊を編成する2025年日本国際博覧会警備共同企業体(警備共同企業体)とALSOK(東京都港区、栢木伊久二社長)から関係者と警備員、来賓として日本国際博覧会協会の石毛博行事務総長などが参加した。

警備共同企業体は、東洋テック(大阪市浪速区、池田博之社長)を代表企業としてセコム(東京都渋谷区、吉田保幸社長)、シンテイ警備(東京都中央区、安見竜太社長)の3社で構成する。

協会警備隊は、次の4隊で編成され、協会の「危機管理センター」と連携し、それぞれの業務を行う。

<施設警備隊> ALSOKを中心にパートナー会社とともに会期前・中・後24時間体制で博覧会協会施設を中心に警備。

<イベント警備隊> ALSOKを中心にパートナー会社とともに会期中のイベントなどに対応。

<ゲート警備隊> セコム、シンテイ警備を中心にパートナー会社とともに会場の東西に設置の来場者ゲートで対応。

<会場警備隊> 東洋テックを中心にパートナー会社とともに開場時間帯の会場内で対応する。

期間中、協会警備隊は最大で一日2000人の警備員の動員を予定している。

発隊式では、各警備隊の大隊長4人が「警備隊の編成完結」を報告した。

石毛事務総長はあいさつで、開幕前日の開会式に天皇皇后両陛下をはじめ多くの賓客が出席されることや、会期中は数千万人の来場者、VIPを迎えるなど警備の重要性を強調。その上で「協会として会場の安全安心を確保するため、危機管理センターを中心に医療救護体制や警察・消防機関との連携体制を構築してきた。協会警備隊の活動一つひとつが重要です」と激励した。

警備共同企業体の代表企業・東洋テックの田中卓会長は「前回の大阪万博から55年。世界各国の皆さまの安全安心を守る“誇り”を持って警備に取り組んでほしい。各部隊間、関係機関とのコミュニケーションをさらに深め、より高いレベルの警備が求められている。長丁場の任務であり健康管理は重要です」と訓示した。

ALSOK・栢木社長は「日本の警備会社としてホスピタリティは大切になります。前回の大阪万博で当社の警備員による雑踏事故予防などの取り組みはテレビの『プロジェクトX』などを通じて語り継がれてきた。ドローン、IoTなどの技術を活用し“人とDXの協調”による警備を世界に示し安全に寄与していきたい」と言葉に力を込めた。

全警協 初の交通誘導警備WG2025.04.01

「標準労務費」対応を検討

全国警備業協会(村井豪会長)は3月18日、東京都新宿区の同協会内で初の種別(警備業務)単位の研究組織「交通誘導警備業務ワーキンググループ(WG)」の第1回会合を開いた。国土交通省が作成を進める「標準労務費」など交通誘導警備業務が直面する課題への対応が目的。全警協・黒木慶英専務理事をキャップに、東京・北海道両警協と全国7地区警備業協会連合会推薦の10人がメンバーに就任した。

WG設立は全警協総務委員会で「加盟社の7割強が交通誘導警備業務を行っているにもかかわらず、同業務の課題を検討する受け皿がない」との指摘を受けたのがきっかけ。

交通誘導警備をめぐっては近年、警備員不足への対応として「AIシステム」導入など業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)化、国交省による建設業法など「担い手3法」改正による工事従事者の処遇改善のための「標準労務費」作成など大きく環境が変化。「警備業関係者の知恵を出し合う必要がある。標準労務費への対応など座視していれば業界の不利益となる」(黒木専務理事)との危機感があった。

初会合では、都道府県警備業協会の副会長や理事、交通誘導警備業務に関する委員会の委員長など、所属警協で要職を務める各メンバーが、交通誘導警備の課題を報告した。

北海道・佐藤浩喜氏は、地域がら、建設工事に伴う交通誘導警備の繁忙期が短期間に限定されるため工事発注の平準化を求めた。冬季の除排雪に関し、待機していたものの、降雪量が少なく出動不要となった元請け建設会社に自治体が支払う「待機補償料」が、警備会社まで行き届いていないと訴えた。

東北・清水俊弘氏は、東日本大震災関連の「復興需要」減少について、(他から進出してきた)建設会社の撤退も相次ぎ、警備の仕事も仙台市以外ではなくなりつつあることを報告。人手不足対策では、宮城県が進めるインドネシア人材の受け入れ促進事業に協力していることを明らかにした。

東京・中田文彦、久恒康裕の両氏は、「過酷な現場での働きに見合うだけの賃金なのか」と、警備員の低い賃金水準に言及。警備料金引き上げの必要性を強調した。公共工事設計労務単価については「建設職種と警備員の差は開くばかりだ」と指摘した。

近畿・大島史朗氏は「大阪・関西万博」の近畿地区での影響について述べた。(会場建設に注力するため)大阪府内の公共工事が減少、協会加盟・非加盟の警備会社が大阪隣接地域において低廉価格で交通誘導警備業務を受注しているケースがあると指摘した。

このほか▽安易な警備業認定取得が過当競争やダンピング受注の原因▽目標や夢を持てる業界になる必要がある▽若い人に好まれないイメージの払拭が不可欠▽交通誘導の合図がバラバラで車両運転者に分かりづらい。全国で統一する必要がある――などの意見も寄せられた。