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全国規模で開催へ アイデア出し合う2022.03.21

31青年部会、4女性部会が合同会議開く

全国警備業協会(中山泰男会長)は3月9日、5回目となる「全国青年部会長・女性部会長会議」をオンライン形式で開催した。都道府県警協の青年部31部会と女性部4部会の全てが参加。全警協が開催を検討する全国規模の青年部会長会議の内容について、参加者は意見を交換した。

今回、意見交換のテーマに挙がった「全国青年部会長等全国会議」は、青年部会が未設置の県警協や女性部会の参加も念頭に置いている。全警協創立50周年を機に活動の気運を全国的に高めることが目的で、全警協が今秋ごろの開催に向けて検討を進める。

中山会長はあいさつで「警備員不足の深刻化や技術革新が進む中で、青年部会と女性部会の活動は重要さを増している」とエールを送った。

意見交換では全国会議の内容についてアイデアを話し合い、次の提案があった。

「昨年開かれた東北地区青年部サミットにオブザーバーとして参加し刺激を受けた。警備業の青年部会として行動憲章づくりを検討してはどうか」(東京)。

「警備業のブランド戦略を踏まえ、デジタルツールを活用し情報発信を行うイベントになればと考える」(山口)、「各地の青年部の意見を広く吸い上げて準備を進めることが大切になる」(宮城)、「全国の青年部会にアンケートを行うのはどうか」(山形)、「開催に向けた事前ミーティングが重要で全面協力したい」(北海道)などだ。

また、女性部会の発足が進まないことも議題にのぼった。「部会を立ち上げる動きが頓挫した例もあると聞いている。女性活躍を進める社会の動きに乗り遅れないことは業界発展につながる」(東京「すみれ会」)との指摘があった。

宮城警協・高橋敦専務理事は「青年部会結成の意義」と題して講演した。

宮城警協青年部が、警備料金の研修会を開催し協会事業として定着したことや「警備業セキュリティフェア」の企画、台風災害時の対応やSDGs活動などの取り組みを説明。「警備業界全体を見渡せる人材の育成に向けて、協会は青年部活動に『翼』を与え、サポートする体制づくりが欠かせない」と強調した。

中山会長「未来に向かいアクセル踏む時」

昨年12月に首相官邸で経済団体、事業者団体などの会議が開かれた。全警協会長として参加し「警備業の最重要課題は低賃金の是正であり、適正取引を推進している」と説明した。青年部会と女性部会は、業界発展に向けて全警協と都道府県警協の取り組みを牽引けんいんしていただきたい。

青年部活動では「ビジョン」「デジタル」「イベント」がキーワードとなる。将来のビジョンを掲げ、必要に応じ修正を重ねることも大切だ。デジタル社会に対応しICTを活用しなければならない。“わくわくするイベント”を行って情報発信することは、警備業のブランド戦略につながる。こうしたことは青年部会の得意分野と思う。

また、ダイバーシティ&インクルージョン(包括と多様性、人材の多様性を受け入れて活かす取り組み)が社会に広がる中、女性部会のさらなる活動は警備業発展に欠かせない。青年・女性両部会とも、業界の未来に向かってアクセルを踏む時である。

厚労省「カスハラ」対策に本腰2022.03.11

従業員と企業を守る

厚生労働省は2月25日、従業員が顧客などから著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)を受けた場合の企業の対応を示した「マニュアル」を作成、対策に乗り出した。会社が適切な対策を講じなかったことから「安全配慮義務違反」を問われ、従業員から会社が損害賠償責任を求められた事例もあり、従業員と企業を守る視点からも早急な取り組みが必要だ。

対策マニュアルによれば「カスタマーハラスメント」(カスハラ)とは、顧客や第三者などからのクレームや言動の内容に照らし、その手段や態様が「社会通念上不相当」で「従業員の就業環境が害される」行為のことだ。具体的には、暴行・傷害などの「身体的な攻撃」、脅迫・中傷・侮辱・暴言などの「精神的な攻撃」、「威圧的な言動」――などがある。警備業務では、車両や歩行者、施設利用者などに各種協力を求めることが多いために暴言などを受けやすく、警備員が離職する理由の一つともなっている。

一方で、クレーム・苦情の中には、業務改善につながるものもあり、その見極めは重要だ。このため、各社で判断基準を明確にし、企業内の考え方・対応方針を統一しておくことが欠かせない。

企業が行うべき対策には、「カスハラを想定した事前準備」と「実際に起こった際の対応」がある。

事前準備では、組織のトップが組織として従業員をカスハラから守るという基本方針・姿勢を明確に示し、従業員が被害を受けた際の相談窓口を設置する。また、対応体制や方法などをあらかじめ決めておくとともに、迷惑行為や悪質なクレームへの具体的対応について従業員に教育する。

起こった際の対応では、迷惑行為などがカスハラに該当するか否かを顧客や従業員の証拠や証言などの情報に基づき確認。被害を受けた従業員には、メンタルヘルス不調への配慮などの措置を適正に行う(1人で対応させず、複数名で対応する)。再発防止のために、定期的な取り組みの見直しや改善を行い、継続的な取り組みを行う。

厚労省はマニュアルに加え、マニュアル要約版の「リーフレット」や周知・啓発用の「ポスター」も作成。同省ホームページからダウンロードして活用するよう呼び掛けている。新年度からは、企業の担当者向けの対策研修会の開催も予定するなどカスハラ対策に本腰を入れる。

新労務単価 警備員伸び率、平均超える2022.03.01

A3.7%、B3.2%アップ

国土交通省は2月18日、2022年3月から適用する「公共工事設計労務単価」を公表した。全国・全職種(51職種)の加重平均単価は、対前年度比675円増の2万1084円。伸び率は単純平均で2.5%増だった。警備業は検定合格警備員の「警備員A」が1万4873円、伸び率は単純平均で3.7%増。A以外の「警備員B」が同3.2%増の1万2957円。ともに全職種平均の伸び率を上回った。

新労務単価には、労働市場の実勢価格や社会保険加入などに必要な法定福利費相当額、年間5日の年次有給休暇取得義務や時間外労働時間短縮に必要な経費などが反映された。新型コロナの影響などで単価が前年度を下回った場合に、前年度単価に据え置く「特別措置」が前回に続き適用された。

警備業の単価は、1級または2級の検定合格警備員の「交通誘導警備員A」の全国加重平均単価が前年度比509円増の1万4873円、A以外の「交通誘導警備員B」が同395円増の1万2957円。A・Bともに全国・全職種平均の伸び率を上回った。しかし建設現場で主に「軽易な清掃または後片付け」「草むしり」「散水」などの業務を行う「軽作業員」の単価1万4999円を下回った。

地域別の単価は、Aの最高額が東京・宮城・福島の1万6400円、Bは東京・神奈川の1万4200円。最低はA、Bともに高知で、それぞれ1万2700円、1万900円。

地域別の増加額は、21年度は前年度と同額(増加額0円)だった富山、新潟、石川のAが、1000円から900円アップ。一方で滋賀、大阪、和歌山の3府県のAは、21年度は400円から500円増だったが、今回はいずれも据え置かれ、近畿地区の他府県(京都、兵庫、奈良)と福井も100円増にとどまるなど地域で上げ幅にバラつきが見られた。

国交省は同単価について、「警備会社に必要な諸経費は含まれていない」とし、下請代金(警備料金)に建設会社が必要経費分を計上しない・同経費を値引くことは「不当行為」と指摘している。