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広島労働局長 リライアンス・セキュリティーを訪問
2023.09.21

先進的な労働衛生を評価

広島労働局(広島市中区)の釜石英雄局長は9月11日、「労働衛生に関し先進的な取り組みを行う事業場」としてリライアンス・セキュリティー(同中区、田中敏也代表取締役=広島県警備業協会副会長)を訪問した。同局局長が警備会社を訪れたのは今回が初めて。全国警備業協会によれば、労働局長による警備会社訪問も全国初とみられる。

訪問の目的は、10月1日からの「全国労働衛生週間」の準備期間(9月)中の取り組みとして、「労働安全衛生に積極的に取り組む企業を社会的に評価し、県内に広くPRすること」(釜石局長)。警備業で多発する熱中症の予防対策の好事例を同業他社に水平展開することも狙いの一つだ。

釜石局長には中村貴紀健康安全課長と梅田典幸同課地方労働衛生専門官が同行。リライアンス社からは田中社長、田中清司常務取締役兼警備本部長、有田恭彰執行役員・採用教育研修部長らが出席。同社の取り組み(別項)を説明、意見を交わした。

訪問の経緯は、同社の警備員が今夏、現場で熱中症を発症したこと。軽症で済んだが、担当者が労働基準監督署を労災発生の報告に訪問した際、同社の熱中症予防対策を説明。その“先進的取り組み”が高く評価され訪問につながった。

田中社長は釜石局長に「警備会社がお客さまを守るのは当然。しかし、警備員を守るのは会社しかない」と同社が経営スローガンに「社員の健康と命を守る経営」を掲げる理由、これまでの熱中症予防の各種取り組みを説明。局長訪問と今夏の労災発生を機に「今後は“異次元”の取り組みを展開する」と述べた。

「労働者との意見交換」の機会も設けられた。ともに入社3年目の採用教育研修部兼業務本部係長の平松一朗さんと警備本部警備課班長の喜和田沙織さんが出席。熱中症対策に対する感想や行政への要望に釜石局長らが耳を傾けた。

訪問を終えた釜石局長は「さまざまな対策を行いつつも、対策にゴールはないと、次の取り組みを今から考えている」と、同社の姿勢を高く評価。更なる取り組みに期待を寄せた。

「健康増進手当」支給へ

田中社長は、熱中症予防の取り組み説明の席上、9月29日に一時金として「健康増進手当」を支給することを明らかにした。

業績が好調だった9月決算を原資に、猛暑続きの今夏に売上増に貢献した警備員への慰労や、昨年から続く物価高への生活支援が目的。田中社長は手当について「当初は“酷暑手当”という名称も考えましたが、涼しい(屋内などの)現場に勤務している警備員もいます。従業員の皆さんが健康で文化的な生活を営むために健康増進手当としました」と説明した。

手当支給の対象は正社員と65歳以上の契約社員。約200人の同社社員の9割が該当する。金額は在籍1年以上が10万円、1年未満が3万円。2020年4月に同社が行った警備業界初の「コロナ慰労一時金」に続く手当だ。

防災の日 各地で訓練2023.09.11

大規模災害を想定

関東大震災から100年――9月1日「防災の日」前後に各地で防災訓練が行われた。愛媛県警備業協会(田中克幸会長)は8月26日、千葉県警備業協会(加藤智行会長)は9月2日、東京都警備業協会(村井豪会長)は9月3日にそれぞれ訓練に参加、警備員は緊急車両の交通誘導警備などに取り組んだ。大規模災害に社会の危機感が高まる中、非常時に担う役割や関係機関との連携を確認した。

愛媛警協 青年部会員が誘導

愛媛県警備業協会は、久万高原町内の運動公園で行われた県総合防災訓練に参加した。

久万高原町は2022年12月に記録的な大雪に見舞われ、約3000戸が停電して一部の集落が孤立する事態となった。そのため訓練は大雪と大規模地震が発生した状況を想定して実施。訓練全体で102機関、約6200人が参加した。

訓練は、積雪による通行障害や倒木・土砂崩れによる道路の寸断、電線の断線による停電が発生した現場を想定。県緊急消防援助隊や自衛隊、建設業協会、林業従事者、積雪ボランティアが積雪・倒木・土砂を除去して道路啓開、電力送配電会社の作業員は電力復旧作業を行った。

愛媛警協からは同協会「災害警備支援隊」の池内秀樹隊長(愛媛県警備保障・防災委員長)と高岡俊典副隊長(北四国警備保障・青年部会長)ほか隊員(青年部会員)5人が参加。作業現場で、重機や自衛隊車両、電力会社車両などの交通誘警備業務を実施した。除雪現場や電力復旧現場での各作業の安全確保のための警戒業務を行った。

千葉警協 撤去作業、安全に

千葉県警備業協会は、我孫子市内で行われた「九都県市合同防災訓練(千葉県会場訓練)」に参加した。厳しい残暑の中、同協会の「災害支援隊」が道路啓開訓練に参加し、交通誘導などに当たった。

千葉県などの主催で、メイン会場は川村学園女子大学。震度6強の直下地震が発生したと想定した。

同大学グラウンドで行われた道路啓開訓練では孤立集落への進入経路確保のため、道路上のがれきを撤去する必要があるとし、千葉警協と同県建設業協会に出動要請があった。

千葉警協からは、災害支援隊隊員で青年部会に所属している伊藤綾子さん(サン・ガード)と小山内義人さん(新日東警備保障)が訓練に参加。通行規制や、がれき撤去現場に進入する車両(パトロールカー、タイヤショベル、振動ローラー、ダンプ)の誘導を行い、現場作業の安全確保に従事した。

訓練後、伊藤さんは「事故なく終えて良かった。任務を果たせて、ほっとしている」と話した。小山内さんは「有事の際、機敏に行動できるようにしたい」と気持ちを新たにしていた。

合同防災訓練ではその他、ライフラインの応急復旧やヘリコプターを使った負傷者搬送などの訓練を実施。来賓や一般観覧の親子連れらが見入っていた。

東京警協 警備員43人が参加

東京都警備業協会の災害対策委員会(中田文彦委員長=協会常任理事、ジャパンパトロール警備保障)は、都と東村山市が九都県市合同防災訓練として同市役所周辺で実施した総合防災訓練に同委員19人、特別講習講師7人、協会加盟会社のうち39社の警備員43人が参加した。

訓練では、(1)集合場所の公共施設内で氏名や会社名を申告し腕章やヘルメットカバーを着装する「自主参集訓練」(2)各自の配置を確認し配置地点で交通誘導警備を行う「整理誘導訓練」(3)見学者に対する「手荷物検査」と金属探知機による「身体検査」――を実施した。特に手荷物検査や身体検査は今年4月に起きた岸田首相襲撃事件を踏まえ、取り入れられた。

訓練開始報告式で中田委員長は「災害はいつ起きるか予測がつかない。いつ起きても対処できるよう日頃から準備する必要がある」と参集した警備員に向けて訓練参加の趣旨を説明。また「行動してみると想定とかなり異なっている場合がある。本日の訓練を各社に持ち帰って経験を生かしてほしい」と呼び掛けた。

警視庁生活安全総務課の今野克宣管理官は「訓練では自分が配置している場所の環境をすぐに把握し、一方通行なのかどうか、車両は通行止めなのかどうかなど、確実に把握し、その場所をしっかり守ってほしい。その上で実際の災害現場では交通誘導だけでなく、多数の避難者の流入を防ぐなど雑踏警備の要素も入ってくるというイメージを持つと訓練が役に立ってくる」とアドバイスした。

総合訓練の想定は多摩東部を震源とするマグニチュード7.3の首都直下地震が発生。公的機関や医療機関のほか、警備業をはじめ通信・インフラ、建設などの事業者や団体、一般市民が参加した。訓練に参加した公的機関や団体などがPR展示を行い、東京警協は被災地での防犯活動などを紹介した。

埼玉警協「9都県市」訓練に参加2023.09.01

「関東大震災」から100年

今年も台風や豪雨により全国で多くの被害が発生した。南海トラフや首都直下などの大地震への備えも欠かせない。全国の自治体では9月1日の「防災の日」の前後、大規模な防災訓練を実施している。国民生活の安全安心を担う警備業も、同訓練に積極的に参加、災害支援の練度向上に取り組んでいる。

8月27日、9都県市合同防災訓練の一つ「埼玉県・志木市民総合防災訓練」(主催=埼玉県、志木市)が行われた。

埼玉県警備業協会(炭谷勝会長)からは、訓練会場の志木市を管轄する同協会県南支部(杉森智和支部長=大東管財)加盟社で、同協会「災害警備隊」(杉森智和隊長)登録社の警備員4人が参加。炭谷会長と同協会災害対策委員会の髙橋和明委員長(東日本セキュリティ)、岩根忠専務理事、鈴木久生事務局長らが訓練の様子を見守った。

訓練は、東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生して県南部を中心に甚大な被害が発生したと想定。警察や消防、自衛隊など約80の関係機関・約7000人が参加し、航空機やドローン、バイクによる情報収集、がれきが散乱した道路の復旧作業(道路啓開)、河川への仮橋梁設置による緊急交通路確保などの各種訓練が実施された。

埼玉警協の災害警備隊隊員は、会場近くの橋上で訓練参加者や見学者の滞留を防ぐため、交通誘導警備と広報活動を行い、訓練の安全を側面で支えた。

「防災」原点、練度向上へ

1923(大正12)年9月1日、相模湾北西部を震源とする大地震「関東大震災」が発生した――。今年は、それから100年の節目に当たる。発生日の9月1日が後に「防災の日」と定められたように、近代日本における災害対策の出発点となった。一方、首都圏地域は、総人口の約4分の1・約3600万人を擁し、政治・経済などの中枢機能が集積しているが、「首都直下地震」や「東海地震」の発生が懸念。地震による被害を最小限に食い止めるため、埼玉、千葉、東京、神奈県、横浜、川崎の6都県市は1980年に初の合同防災訓練を実施。以降、千葉市、さいたま市、相模原市が加わり、これら九都県市は8月30日から9月5日の防災週間の前後、合同で防災訓練を実施している。