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全警協会長に中山氏2019.6.21

総会で選任 村井氏が副会長

中山新体制がスタートした。全国警備業協会は6月5日、都内で総会を開き5年にわたり会長を務めた青山幸恭氏(ALSOK)に代わり副会長だった中山泰男氏(セコム)を会長に選任した。中山新会長には発注主との適正取引実現や人手不足解消など、警備業界が抱えるさまざまな問題に手腕を振るうことが期待される。新理事の村井豪氏(ALSOK)が副会長に、常務理事に楯悦男氏が就任した。青山会長は顧問を委嘱された。

中山新会長は「警備業界が発展を続けている一方で、取り巻く環境は厳しさを増している。課題解決を図るために過去にとらわれないチャレンジ精神を持って協会運営に取り組む」と述べた。

今後の活動については、警察や関係団体、行政との連携を、これまで以上に強化する。5月に設立した政治団体「全国警備業連盟」(青山幸恭理事長)とは、「立ち位置は異なるが業界発展の願いは同じだ」として、適切な意見交換を行う。

新副会長に就任した村井氏は「中山新会長とともに業界の発展に尽力する」と語った。

総会では「警備業における適正取引推進等に向けた自主行動計画」の「料金決定方法の適正化」項目に「警備業者の価格交渉力の向上」を追加したことを報告した。今年2月に全国の警備業者500社を対象にした調査で、業務変更が生じた場合の費用の未払いや契約外業務の無償提供が多かったことに対応したもの。

5月に契約内容の明確化を図るための、先方都合によるキャンセルポルシーなどを明記した見積関係書類記載例を作成しており活用を促す。

青山会長退任あいさつ

この5年間、皆さまの支援を受け職務を遂行することができました。「令和」という新しい時代にあって警備業界は、発注主や行政など関係先に言うべきことを言って更なる地位向上を図ってほしいと思います。

中山新会長あいさつ

警備業界が直面している課題は人材不足、働き方改革への対応と職場環境の改善、適正料金確保と経営基盤強化、テクノロジーの採用――の4つに分けられます。私はこれらの課題に対して「チャレンジ精神」と「会員ファースト」の心構えで臨んでいくことを重視したいと考えております。

「会員」とは、ここにお集まりの各警備業協会会長からしますと加盟会社の皆さまを指すと同時に、全国警備業協会にとっては各警備業協会の皆さまであります。

「会員ファースト」とは、その両者にとって意義のある施策を優先的に実施していくことです。このためには協会事務局だけでなく会員の力をフルに活用する必要があり、会員同士、また協会と会員がコミュニケーションを活発化させて、現場で何が起きているかをしっかりと掌握することが必要です。

全警協と各警備業協会、加盟各社が一体となって課題解決のための知恵を出し、汗をかいていくことが必要となるでしょう。

(要旨)

「コンシェルジュ」活躍2019.6.11

〝技〟磨く女性警備員

東洋ワークセキュリティ(仙台市、菅原正秀社長)の女性警備員チーム「セキュリティ・コンシェルジュ」が活躍中だ。仏語で「総合的世話係」を意味する名の通り、顧客のさまざまな要望に対応できる“技”に磨きを掛けている。

「セキュリティ・コンシェルジュ」は、東京2020大会や次代の警備業務を見据えて昨年1月、同社が養成プロジェクトとして立ち上げた。他社にも女性警備員だけの部隊を編成する例もあるが、同社コンシェルジュが他と大きく異なるのは、目指している能力の中身。各国の文化も理解した総合的な接遇力はもちろんのこと、日常会話程度の英会話能力を有する「TOEIC600点」、身体障害者や高齢者などの安全な案内ができる「サービス介助士」、手荷物検査時の不審物発見のための「空港保安2級検定」などの資格取得を目指す。さらに、護身術や消防初期対応、心肺蘇生なども身に着ける。

これら総合的な能力は、東京2020大会のような大規模イベントでのテロ対策として手荷物検査や外国人対応に不可欠。実際、コンシェルジュは今春開催された「東京マラソン」に派遣され、手荷物検査や外国人対応などで高い評価を得たという。

現在のコンシェルジュは本社事業部主任のリーダーを含む8人がメンバー。普段は全員が異なる部署・現場で勤務するが、月に1回全員が集まり語学以外の講座を受講するなど、能力向上に努めている。

競技会で実力披露

5月26日に宮城県内で開催された同社「総合警備技能競技大会」では、コンシェルジュが「手荷物検査要領」を実演。空港手荷物検査場を想定し英語による案内や不審者の制圧など一連の対応を披露した。

2018年の労災 死傷、3年連続で増加2019.6.1

31人の警備員が死亡

厚生労働省が5月17日に公表した、昨年1年間に全国・全業種の職場で発生した労働災害の状況(確定値)によれば、死亡者数は対前年比7.1パーセント減の909人で過去最少となった。一方、死亡と休業4日以上の死傷者数は同5.7パーセント増の12万7329人と3年連続で増加した。警備業も死亡者数は減少したものの、死傷者数は大幅に増加した。

2018年1〜12月の全産業計の死亡者数は909人で、前年に比べ69人(7.1パーセント)減少した。業種別では建設業が309人(同14人、4.3パーセント減)で最も多かった。

警備業は同2人(6.1パーセント)減の31人だったが、一昨年(2016年)の23人と比べると8人(34.8パーセント)増となる。

警備業の死亡災害を「事故の型別」に見ると、「交通事故(道路)」が最も多く12人。次いで「おぼれ」と、熱中症を含む「高温・低温物と接触」がそれぞれ4人など。道路での交通誘導警備業務中の被災、熱中症、7月の岡山県内での豪雨災害で濁流に流される――などによる死亡だった。

死傷者数は全産業計で12万7329人。前年に比べ6869人(5.7パーセント)増えた。業種別では製造業が最も多く2万7842人(同1168人、4.4パーセント増)。警備業は同157人(9.8パーセント)増の1760人だった。

熱中症死傷者数17年の3倍

同日、厚労省が公表した2018年の職場での「熱中症発生状況(確定値)」によれば、熱中症により全産業計で1178人が4日以上の休業を余儀なくされ、うち28人が死亡した。17年に比べ死傷者数、死亡者数いずれも2倍以上増加した(17年は死傷者数544人、死亡14人)。

警備業の死傷者数は、17年の約3倍に当たる73人増の110人。死亡者数は1人増の3人だった。

14年〜18年の過去5年間の死傷者数は、警備業は236人(死亡12人)で、建設業750人(同42人)、製造業601人(同10人)、運送業438人(同7人)などと共に“ワースト5”に入った。

過去5年間の月別の発生状況は、約9割が7月と8月に発生。時間帯別では、11時台と午後2時〜午後4時台が多く、作業終了後に体調が悪化、病院に搬送されるケースもあった。