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「車いす」警備員誕生2021.05.21

全国初、埼玉・ゼンコーに

「検温をお願いします」――。車いすから学生に声を掛けるのは警備員の濱田久仁彦さん(61)。4月5日から尚美学園大学(埼玉県川越市、久保公人学長)構内で警備員として検温と入室管理業務に就いた。全国警備業協会によれば、車いすの警備員は全国初めてだ。 

1歳でポリオ(小児麻痺)を発症、両足に運動機能障害が残った。高校まで車いすで通い、校内では専用ギプスと松葉杖で授業を受けた。2年間の民間企業勤務を経て20歳で埼玉県警に事務職員として採用され、2020年3月に40年間の公務員生活を終えた。

再就職を考えていた時、今年1月に県警OBの誘いもありゼンコー(さいたま市、海野弘幸代表取締役社長)に警備員として入社した。ゼンコーは女性警備員から編成される硬式野球チーム「ZENKOBEAMS」を持ち、日本ゴールボール協会と「オフィシャルサポーター契約」を結ぶなどスポーツや障害者支援に積極的に取り組んでいる。採用は会社の理解と、40余年車いすで仕事を続け、車いすバスケットボールのクラブチームで活躍してきた濱田さんの高い身体能力が決め手となった。

入社後の新任教育では、座学で基本教育と業務別教育を12時間、実技訓練8時間の計20時間に加え、動作検証のため6時間の実技訓練を追加で受けた。

現在の職場の大学構内は、バリアフリーが行き届き車いすでの移動に支障はない。「若い人と接していると楽しい。トイレに入ろうとすると、ドアを開けてくれる優しい学生さんもいます」と、うれしそうに濱田さんは語った。

「(後から来る同じ障害者に)道筋を示すことができれば」と、飛び込んだ警備業。「できるならパラリンピックにも関わりたい」と警備員としての夢は広がる。

「東京2020」警備スタート2021.05.01

大会JVが「出陣式」

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会共同企業体(大会警備JV)は4月24日、国立競技場(東京都新宿区)で出陣式を行い、警備を開始した。

警備JVから杉本陽一事務局長、村井豪幹事長をはじめ、セコム、ALSOK、東葉警備保障の警備員23人が参加。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会からは、岩下剛警備局長、平林新一警備局次長らが出席した。

同日午前7時、警備JVの隊員が「本日からオリンピックスタジアムの大会期間前警備を開始します」と力強く出陣表明を行った。警備員は、杉本事務局長と村井幹事長の訓示、岩下警備局長のあいさつを受け、式終了後、各自の持ち場についた。競技場出入り口で関係者・関係車両の入退場管理、不審物がないか巡回するなど警備業務を開始した。

組織委員会は、メインスタジアムの国立競技場を皮切りに順次、全43会場で警備を開始する。大会終了後まで合計1万人超の警備員を動員することを予定しているが、東京都が25日から3度目の緊急事態宣言の期間に入ったことから、感染拡大や観客の人数の上限決定など状況に合わせて、警備計画を柔軟に見直す。

杉本事務局長の訓示

警備JVはこの日が来ることを信じて発足以来3年間、大会組織委員会と力を合わせ準備を進めてきました。今日からその真価が問われます。これから本格的に始まる大会警備の手本となることを期待しています。

村井幹事長の訓示

大会規模、警備対象が点在する運用特性、コロナ対策などから、五輪史上かつてない困難をきわめる警備が予想されます。日ごろの鍛錬の成果、重ねてきた準備を任務に活かして大会警備を完遂していただきたい。

岩下警備局長のあいさつ

大会警備は本日、43会場の中でいち早くメインスタジアムである国立競技場で始まります。世界が注目する警備に誇りと責任感を持って当たって下さい。