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最低賃金 全国加重平均額1002円に2023.08.21
過去最高の41円引き上げ
厚生労働省の審議会は7月28日、今秋適用する2023年度の地域別最低賃金の「改定の目安額」を決定した。目安額通りに引き上げられた場合の新たな最賃の全国加重平均額は、前年度比41円増の1002円(昨年度は同31円増の961円)となる。「目安制度」がスタートした1978年度以降最高額だ。目安額の全国平均引き上げ率は昨年度比1ポイント増の4.3%だった。
「中央最低賃金審議会」が示した「改定の目安額」を受けて地方審議会が開催、8月14日までに全国44地域で新たな最賃が決定した。鳥取・島根では国が示したそれぞれの目安額39円・40円を7円上回るなど、両県を含め青森、秋田、福島・茨城・栃木・千葉・新潟・福井・兵庫・徳島・宮崎・鹿児島の全21県で目安額を上回り、10月にも新たな最賃が発効する見込みだ。
目安額は、地域の経済実態などに応じ全国をAからCの3ランクに分けて示された。昨年までAからDの4区分だったが、地域格差を是正するため今年度から3区分となった。
23年度の目安額は、埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・大阪の6都県のAが41円、北海道・宮城・茨城・岐阜・京都・広島・福岡など28道府県のBが40円、青森・鳥取・高知・佐賀・沖縄など13県のCが39円。
新たな最賃の最高額は東京の1113円。次いで神奈川1112円、大阪1064円など。新たに埼玉(1028円)・千葉(1026円)・愛知(1027円)・京都(1008円)・兵庫(1001円)の5府県が1000円台となる。一方、8月15日現在の最低額は佐賀と長崎の892円だが、14県が800円台から900円台となる。
最高額と最低額の格差は、09年から14年連続70%台で推移してきたが、15年ぶりに80%台(80.1%)まで縮まった。
人材確保「警備業負けている」2023.08.01
近畿地区連 宇多会長、強い危機感
近畿地区警備業協会連合会(会長=宇多雅詩・京都警協会長)は7月21日、神戸市中央区内で2023年度の総会を開催した。宇多会長は「警察庁概況」で明らかになった警備員減少に強い危機感を示した。特別講習や警備員指導教育責任者講習のデジタル化については、各協会から教育の質低下や協会の事業収入への影響を懸念する声が相次いだ。
総会には、近畿2府4県の会長と専務理事、地元・兵庫警協からは4人の副会長が出席した。来賓として兵庫県警本部・蓮井賢一生活安全部長、近畿管区警察局広域調整部・橋詰英夫広域調整第一課長、全国警備業協会の中山泰男会長、黒木慶英専務理事、小澤祥一朗総務部次長も加わった。
宇多会長は「警察庁・22年度概況」で警備員が約8000人減少したことに言及。「コロナ禍でさえ増え続けていた警備員が減少したことは、少なからず問題をはらんでいる。社会全体で労働力不足が言われる中での警備員減少は、他業種との人材確保競争に警備業が負けているということ。働く人が就職先として警備業を選ばない、選ばれない業種になっている」と、強い危機感を示した。その上で「我々はこの現実をしっかり見つめ、自社の労働環境や賃金など見直すべきは見直し、雇用の確保と離職防止に必死に取り組む時だ」と呼び掛けた。
全警協・中山会長は相次ぐ凶悪強盗事件などを念頭に「体感治安は悪化しており、警備業の役割は大きくなりつつある。人手不足を乗り越え、明るい未来を切り開かねばならない」と述べ、各協会と全警協との連携強化を訴えた。
各警協からは、警備員確保やデジタル化へ向けた取り組みなどが報告。警備員指導教育責任者講習のデジタル化については「講習は県警からの委託事業。ウェブで実施することとなると(デジタル機器などの)環境整備が必要」「デジタル化を進めれば“直接検定”と同様に県警が独自に講習できるようになり、協会の出る幕がなくなる」などの意見が寄せられた。
特別講習については「講習は協会の事業収入に大きなウエートを占める。現在の収入を保てる運用方法にしてほしい。小規模協会には死活問題だ」「(自前教育施設を持つ協会には)対面講習のデジタル化で会場費の収益が減る可能性がある。他の教育で収益を確保する必要がある」「教育の現場にまでデジタル化が必要なのか疑問。教育の質が落ちるのではないか。講習の効果が維持できるのか疑問だ」などデジタル化を懸念する意見があった。一方で「講習の学科がデジタル化になると、現在は学科・実技を両方実施する会場が必要だったが、会場の選択肢が広がる」「デジタル化の波に潰されないよう、業界一丸となって対応する必要がある」など前向きな意見もあった。
これら懸念に対し全警協・黒木専務理事は、各警協の意見などを踏まえ現在、警察庁と協議していることを明らかにした。