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業者数過去最多 警備員は微増2024.07.21

23年「警備業の概況」

警察庁は7月18日、2023年12月末現在の「警備業の概況」を公表した。警備業法第4条に基づく認定業者「4条業者」は前年より150社(1.4%)増の1万674社を数え、過去最多を更新した。警備員は2754人(0.5%)増の58万4868人。警備業への底堅いニーズがうかがえる。

「4条業者」は2020年に1万を超え、増加が続いている。警備員数は、22年は約8000人の減少だったが増加に転じた。女性警備員は4万975人(前年比1604人増)、全警備員数の7.0%となった。

雇用形態は、雇用契約に期間の定めのない、または4か月以上と定められた「常用」が53万4983人。これ以外の「臨時」が4万9885人。

在職年数は「3〜10年未満」が最も多く19万2789人(33.0%)だった。次いで「10年以上」17万2197人(29.4%)。

一方、「1年未満」と「1〜3年未満」を合わせると21万9882人にのぼり、全体の4割近くを占めた。

年齢別では「70歳以上」が最も多く11万7411人(20.1%)にのぼった。次いで「50〜59歳」11万6052人(19.8%)、「40〜49歳」8万3036人(14.2%)だった。「70歳以上」は前年より0.9ポイント増え、「40歳未満」は0.3ポイント減少。高齢化が一段と進む現状が浮き彫りになった。

「30歳未満」は5万9725人だが、「30〜39歳」は5万4496人。“働き盛り”の30代に離職者が多い状況が見て取れる。

各業者の警備員数は、「5人以下」が最も多く2846社(26.7%)。警備員数100人未満が9649社、全体の90.4%を占めた。

また、4条業者が全国に設けている営業所の総数は、1万6513営業所。

警備業の認定を受けた都道府県以外の都道府県に営業所を設けている「9条前段業者」は、延べ2611社(同36社増)。認定を受けた都道府県以外で営業所を設けず警備業務を実施する「9条後段業者」は、延べ5660社(同46社増)だ。

総数(4条業者)の内訳は、「1号警備業務」が7167社(同73社増)、「2号」8596社(同441社増)、「3号」705社(前年と同数)、「4号」723社(同8社増)となっている。

「1号」の業者のうち「施設」は7070(同210増)、「空港保安」は78(同4減)、「機械」は548(同7減)。「2号」の業者のうち「交通誘導」は8255(同333増)、「雑踏」は4471(同76増)。施設、交通誘導の増加が顕著で需要の高まりが示されている。

全国警備業協会(村井豪会長)が調査し、回答のあった6340社の売上高の総額は3兆3059億5009万円だった。前年は回答9711社・3兆5250億3000万円。調査方法をウェブ調査に変更し回答業者数が大幅に減少した。

警備員表彰88件

警察庁の「警備業の概況」(2023年)によれば、警備業法などの違反により警備業者が検挙されたのは17件。前年より6件増えた。

警備業者に対する行政処分は、指示122件、営業停止5件、認定取り消し1件の総数128件。前年より34件減った。

警備業者や警備員を警察署長などが表彰した件数は、警備業者に対するもの27件。警備員は88件で、うち79件が勤務中の功労に対するもの。警備員の表彰内容の最多は「振り込め詐欺未然防止」で39件、検挙現場での協力が25件、「私人」としての現行犯逮捕が4件、人命救助や保護などが18件、通報が2件だった。

カスハラ防止、対策強化2024.07.11

厚労省 秋にも報告書

顧客などからの著しい迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の防止へ向けた検討が厚生労働省で進んでいる。6月21日にはカスハラをテーマとする「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」の第9回会合が開催された。検討会は今秋にも報告書を取りまとめ、検討の場を審議会に移して法制化へ向けた議論を開始する予定。来年通常国会には法案を提出する見込みだ。

厚労省調査では、カスハラ経験のある従業員は減少傾向にあるものの、依然「勤務日にほぼ毎日顧客と接している人のうち17.4%が経験」「1000人以上の企業でも特段の対応に取り組んでいない企業37.2%」が実情。一方、「対策に積極的に取り組む企業ではカスハラ被害が少ない」との結果もある。

このため厚労省検討会は、「(カスハラは)就業環境を害し、何らかの対策・配慮が必要」との労働者保護の観点から、法制化(労働施策総合推進法の改正)により対策を強化する。

対策強化について検討会は「労働者を守る観点に加え、企業での働きやすい環境整備が労働者の確保・定着に役立ち、業種や業界のイメージアップにもつながる」。また「トラブル防止により、本来は有益なはずの消費者の声が生かされる」と指摘。

カスハラの定義については、対策を明記した現行の「パワーハラスメント指針」や「対策企業マニュアル」には特段の定めはない。検討会は、多くの企業現場で考えられている「顧客などからのクレーム・言動のうち、要求の内容の妥当性に照らし、要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なもので、同手段・態様により職場環境が害される」を踏襲する考え。「就業(職場)環境が害される」について、対策企業マニュアルは「人格や尊厳を侵害する言動により身体的・精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなり能力発揮に重大な悪影響が生じるなど、就業上看過できない程度の障害が生じること」としている。

カスハラは「顧客などの権利の乱用・逸脱」であり、その態様には「金品の要求や土下座の強要など著しく不当な要求」などがある。一方で、顧客が商品やサービスの問題・欠陥を指摘したことに対し、従業員側の不適切な対応が企業側の不手際となりカスハラに至るケースもある。このため、カスハラ未然防止のための企業側の対応、例えば顧客対応に関する研修のあり方などについても検討する。

カスハラは、小売業など直接の商取引のある顧客によるもの、交通誘導警備現場など第三者によるものなど業種・業界により異なる。独自で対応できない中小企業もあることから業界が一体となって取り組むことが効果的とし、対策強化に当たっては業界所管官庁との協力・連携を検討、業界団体などを通じた取り組みを強化する。

カスハラ労災認定52人

厚生労働省が6月28日に公表した「2023年度・過労死等の労災補償状況」では、初めてカスハラに対する労災補償の状況が明らかとなった。カスハラによりうつ病などの精神障害を発症し、原因が「業務上または業務外」とされたのは83人(決定件数)。うち女性は66人(79.5%)だった。また83人中52人が「業務上」と労災認定(支給決定件数)された(うち女性は45人、86.5%)。女性のカスハラ被害の多さが浮き彫りとなった。

カスハラなど「仕事の強いストレスで精神障害を発病した」とする労災保険への申請は年々増加。23年度は請求件数が前年度比892件増の3575件。決定件数は同596件増の2582件。うち支給決定件数は同173件増の883件。いずれも過去最多となった。

四国地区連 総会開く2024.07.01

適正価格実現への取り組み報告

四国地区警備業協会連合会(北川豊彦会長=香川警協会長)は6月20日、高松市内で2024年度の通常総会を開催した。徳島・香川・愛媛・高知の各警協から会長とともに7人の副会長が出席。各県の「適正価格の実現に向けての取り組み」の報告などが行われた。

総会には4県の会長と副会長、専務理事と事務局職員、来賓として全国警備業協会から黒木慶英専務理事と小澤祥一朗総務部次長、警察庁中国四国管区警察局四国警察支局・増田勇治広域調整課長が出席した。

北川会長は「慢性的な警備員不足など課題が山積する中、適正価格の実現によって処遇改善を図り、優秀な人材確保につなげる“正のスパイラル”が重要です。エッセンシャルワーカーである警備員がますます活躍できる基盤づくりに努め、四国4県で足並みを揃えて課題に取り組んでいきたい」と述べた。

議案は全て承認された。2024年度事業計画では、昨年設立された「四国地区警備業青年部会協議会」の活動を支援することなどが盛り込まれた。

総会の中で「適正価格の実現に向けた取り組み」と題して、4県の会長と副会長、専務理事による次のような報告・意見発表が行われた。

「警備業に限らず、ガソリン代など物価上昇の中で価格転嫁することができない下請け企業は、非常に厳しい状況に置かれている。適正な警備料金確保が必須であり、迅速なアクションが求められている」(徳島)

「会員に向けて料金問題について情報発信し、公取委や全警協から講師を招き研修会を開催している。『10年後の目標単価』などのテーマで会員に無記名アンケートを行って平均値などを公表した」(香川)

「適正取引推進のリーフレット活用を会員に呼び掛け、研修会を行っている。価格交渉では、教育や安全大会など社内の取り組みについて写真を付けた資料で顧客に説明する方法もある」(愛媛)

「会員にリーフレット活用の周知を図っている。適正料金、キャンセル料などを原資として社内教育の充実を図ることで、顧客の評価はより高まる。企業体力を高める取り組みを進めなければならない」(高知)

このほか、10月9日に広島市内で開催される中国・四国地区連の合同会議には会長に加え副会長も出席することで合意した。

総会の冒頭、全警協・黒木専務理事はあいさつの中で、適切な価格転嫁に向けて「自主行動計画」の改訂を急ぎ進めていることなどを説明した。