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新労務単価公表2025.03.01
国土交通省は2月14日、3月から適用する公共工事設計労務単価と4月から適用の建築保全業務労務単価を公表した。公共工事に従事する交通誘導警備員の全国加重平均の新単価は、1級・2級検定合格の「警備員A」が1万7931円、A以外の「警備員B」が1万5752円。前年度比でそれぞれ5.7%上昇した。Aの最高は初めて2万円を超えた。官庁施設の警備業務に従事する警備員(A、B、C)の全国平均の新単価は1万5623円。前年度比8.2%の引き上げとなった。
公共工事 3都県「大台」に
公共工事設計労務単価(日額=8時間労働)は公共工事費の積算で使う基準賃金。47都道府県別、51職種別に設定している。
新単価は、国交省などが昨年10月に行った「労務費調査」の結果に基づく。抽出による調査では、9954件の工事に従事する8万5661人に支払われた賃金を集計した。
全国・全職種平均の新単価は前年度比6.0%増の2万4852円。労働者負担分の法定福利費を加算するなど、算出方法を見直した2013年度から13年連続で上昇した。
交通誘導警備員の全国加重平均の引き上げ額はAが970円、Bが843円となった。
交通誘導警備員の新単価を都道府県別でみると、Aは3都県で「大台」の2万円を超えた。最高は愛知の2万900円、次いで東京、静岡の2万200円。
引き上げ額では広島の1300円が最大となり、13都府県(栃木、東京、岐阜、静岡、愛知、福井、滋賀、大阪、兵庫、奈良、岡山、徳島、香川)の1200円が続く。
一方、都道府県別でBの最高は東京の1万7600円、次いで神奈川の1万7500円。引き上げ額で最大となったのは徳島の1200円で、岡山、香川の1100円が続いた。
労務単価には、会社負担分の法定福利費や工事現場の安全管理費などの「必要経費」が含まれていない。だが“含まれている”という誤った解釈がなされ、公共工事従事者の賃金が低く抑えられているとの見方がある。
このため国交省は、労務単価の41%に当たる必要経費を上乗せした額も公表。交通誘導警備員の都道府県別ではAが2万1200円〜2万9400円、Bが1万8000円〜2万4700円となっている。同省は「必要経費を下請代金に計上しない、または代金から値引くことは不当行為だ」としている。
建築保全 トップ東京地区
建築保全業務労務単価(日額=8時間労働)は、官庁施設保全業務の直接人件費を積算する際の参考単価。賃金動向を反映し、10地区別、3職種ごとに設定している。
全国・全職種平均の新単価は前年度比8.3%増の1万8002円で、引き上げは2013年度から13年連続となった。
施設警備員は前年度と同じ伸び率。全国平均の新単価は、A(1級検定合格者、または業務について高度な技術力や判断力を有する6年以上程度の実務経験者)が1360円増の1万7980円、B(2級検定合格者、または作業内容を判断できる3年以上6年未満程度の実務経験者)が1170円増の1万5340円、C(指示に従って作業ができる3年未満程度の実務経験者)が1030円増の1万3550円。地区別でみると、ABCの全てで東京(A2万600円、B1万7600円、C1万5600円)がトップとなり、引き上げ額ではAの愛知、大阪、広島の1500円が最大となった。
時間外労働や夜勤の割増率は、1時間当たりでAが10.0%、Bが9.8%、Cが10.9%。宿直は1回につき一律4900円。会社負担分の法定福利費や研修費などは労務単価ではなく、「業務管理費」に含まれている。
留意事項について国交省は「特に高度な技能・経験を有する者を従事させる必要がある場合は、業務内容に応じて適正に積算する」としている。
伸び率 前年度下回る
公共工事に従事する交通誘導警備員の労務単価は2025年度も上昇(5.7%)したものの、伸び率は24年度(A6.4%、B7.7%)を下回った。
交通誘導警備員は、公共工事の従事者が多い「主要12職種」に含まれる。12職種の労務単価の伸び率は4.8%〜6.8%。25年度も大きな差はみられなかった。
新単価の全国平均で上位3職種は順に、型わく工(3万214円)、鉄筋工(3万71円)、とび工(2万9748円)。下位3職種は軽作業員(1万8137円)、警備員A(1万7931円)、警備員B(1万5752円)となっている。国家資格を有するAの労務単価は3年ぶりに、工事現場の清掃や仮設物の設置・撤去などに当たる軽作業員より低くなった。