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熱中症対策、さらに強化2025.03.21

規則改正、6月施行へ

厚生労働省は今夏から熱中症予防対策をこれまで以上に強化する。3月13日開催の同省審議会分科会に労働安全衛生規則の改正案を提示、同日了承を得た。改正規則は4月公布、6月1日に施行する。新たな対策を怠った事業者には6か月以下の懲役または50万円以下の罰金の罰則を科す。

改正の柱は、熱中症による作業者の「異常の早期発見」と「重篤化防止」だ。

早期発見は、作業現場で作業者が熱中症の自覚症状を訴えた時や、作業者が他の熱中症を発症した疑いがある人を見つけた時、その旨を報告させるための体制(連絡先や担当者など)を事前に事業場ごとに定め、関係作業者に周知することを事業者に義務化する。

対象となる作業現場は、屋外・屋内を問わず作業者が熱中症を発症するおそれのある作業(WBGT値=暑さ指数28度または気温31度以上の作業場所で、継続1時間以上または1日当たり4時間超の作業が見込まれる)現場。

熱中症の症状がある人を“積極的に見つける”ための措置として、「職場巡視」「バディ制(複数人でのチーム)の採用」「ウェアラブルデバイスの活用」などを通達で推奨する。

重篤化防止は、熱中症を発症するおそれのある作業を行う際、重篤化防止に必要な措置内容や実施手順を事前に事業場ごとに定め、関係作業者に周知することを事業者に義務付ける。

措置内容は、作業から早期に離脱させる「作業中止」、水や氷などで身体を冷やす「身体冷却」、救急隊要請を含む「医療機関への搬送」など。

これら早期発見、重篤化防止の措置を怠った場合、事業者には「6か月以下の懲役」または「50万円以下の罰金」の罰則が科される。

一方、小規模な建設工事など警備員を単独で警備現場に配置せざるを得ない警備会社などに対しては、警備員に熱中症の症状が出た際の警備会社への速やかな報告、現場での重篤化防止措置の実施など元請け建設会社と連携・協力することを通達で示す。

同省は今回の規則改正に先立ち、救命救急医療などを専門とする学識者へのヒアリングとともに、都内の交通誘導警備業務を行う警備業者から警備現場の実態や課題についての聞き取りも実施。警備現場の実情も考慮した。

全国青年部会長等会議2025.03.11

3都県が活動発表

全国警備業協会(村井豪会長)は3月4日、「全国青年部会長等会議」を都内で開催した。都道府県警協の青年部42部会、オブザーバーとして女性部会が参加。3都県の青年部会が警備業のイメージアップなどに向けた活動を発表した。

会議では、東京・高知・鹿児島警協の青年部活動について、動画や資料を交えて次のような発表が行われた(要旨)。

◆東京・髙橋克文部会長(高栄警備保障)

「警備業を若者や幅広い世代にPRするアニメーション動画『未来に繋がる』を制作し、JR電車内のデジタル広告として1週間掲載した。社会を支える警備員の姿を温かくさわやかなイメージで印象付けることが目的で、東京しごと財団からの助成金を活用し、一致団結して取り組んだ」。

◆高知・田中文也副部会長(Gio)

「青年部会の通称を部会内で募り、坂本龍馬の海援隊にちなみ『土佐会縁隊』とした。『会縁』の文字には警備業者として一期一会を大切にする思いを込めた。協会非加盟員の『入隊』も募集、協会加盟を後押ししたい。経営基盤強化に向けた研修会の開催、『警備の日』街頭活動などに取り組んでいる」。

◆鹿児島・渡康嘉部会長(南国警備)

「警備業の深刻な人材不足をテーマに青年部会内で考察を重ねた。人口減少と警備の省人化など予測される将来像を情報共有している。先端技術、需要や業態が変化することを踏まえて問題に対応し、より健全な警備業のイメージを発信していく必要がある」。

活動発表に先立ち、全警協・黒木慶英専務理事は、人材確保などの課題を説明し、フレッシュな発想で取り組みを進めてほしいと呼び掛けた。

全警協「広報プロジェクトチーム」によるプロモーション動画の公開予定などが報告された。

「不当要求に屈しない」

全国青年部会長等会議の講演で、警視庁組織犯罪対策部・暴力団対策課の暴力団排除第一係長が「不当要求に屈しないために」と題し、ポイントを解説した。

「暴力団など反社勢力や悪質クレーマーは、人の弱みにつけこむ」とした上で、不当要求に対し▽職場の担当者を孤立させない組織的な対応▽マニュアル作成や情報共有▽警察へ早めの相談――を呼び掛けた。

「相手に『結論』をはっきり伝える毅然とした対応が重要です。警備業者はコンプライアンスの観点から暴排の徹底を図ることが欠かせない」と強調した。

新労務単価公表2025.03.01

国土交通省は2月14日、3月から適用する公共工事設計労務単価と4月から適用の建築保全業務労務単価を公表した。公共工事に従事する交通誘導警備員の全国加重平均の新単価は、1級・2級検定合格の「警備員A」が1万7931円、A以外の「警備員B」が1万5752円。前年度比でそれぞれ5.7%上昇した。Aの最高は初めて2万円を超えた。官庁施設の警備業務に従事する警備員(A、B、C)の全国平均の新単価は1万5623円。前年度比8.2%の引き上げとなった。

公共工事 3都県「大台」に

公共工事設計労務単価(日額=8時間労働)は公共工事費の積算で使う基準賃金。47都道府県別、51職種別に設定している。

新単価は、国交省などが昨年10月に行った「労務費調査」の結果に基づく。抽出による調査では、9954件の工事に従事する8万5661人に支払われた賃金を集計した。

全国・全職種平均の新単価は前年度比6.0%増の2万4852円。労働者負担分の法定福利費を加算するなど、算出方法を見直した2013年度から13年連続で上昇した。

交通誘導警備員の全国加重平均の引き上げ額はAが970円、Bが843円となった。

交通誘導警備員の新単価を都道府県別でみると、Aは3都県で「大台」の2万円を超えた。最高は愛知の2万900円、次いで東京、静岡の2万200円。

引き上げ額では広島の1300円が最大となり、13都府県(栃木、東京、岐阜、静岡、愛知、福井、滋賀、大阪、兵庫、奈良、岡山、徳島、香川)の1200円が続く。

一方、都道府県別でBの最高は東京の1万7600円、次いで神奈川の1万7500円。引き上げ額で最大となったのは徳島の1200円で、岡山、香川の1100円が続いた。

労務単価には、会社負担分の法定福利費や工事現場の安全管理費などの「必要経費」が含まれていない。だが“含まれている”という誤った解釈がなされ、公共工事従事者の賃金が低く抑えられているとの見方がある。

このため国交省は、労務単価の41%に当たる必要経費を上乗せした額も公表。交通誘導警備員の都道府県別ではAが2万1200円〜2万9400円、Bが1万8000円〜2万4700円となっている。同省は「必要経費を下請代金に計上しない、または代金から値引くことは不当行為だ」としている。

建築保全 トップ東京地区

建築保全業務労務単価(日額=8時間労働)は、官庁施設保全業務の直接人件費を積算する際の参考単価。賃金動向を反映し、10地区別、3職種ごとに設定している。

全国・全職種平均の新単価は前年度比8.3%増の1万8002円で、引き上げは2013年度から13年連続となった。

施設警備員は前年度と同じ伸び率。全国平均の新単価は、A(1級検定合格者、または業務について高度な技術力や判断力を有する6年以上程度の実務経験者)が1360円増の1万7980円、B(2級検定合格者、または作業内容を判断できる3年以上6年未満程度の実務経験者)が1170円増の1万5340円、C(指示に従って作業ができる3年未満程度の実務経験者)が1030円増の1万3550円。地区別でみると、ABCの全てで東京(A2万600円、B1万7600円、C1万5600円)がトップとなり、引き上げ額ではAの愛知、大阪、広島の1500円が最大となった。

時間外労働や夜勤の割増率は、1時間当たりでAが10.0%、Bが9.8%、Cが10.9%。宿直は1回につき一律4900円。会社負担分の法定福利費や研修費などは労務単価ではなく、「業務管理費」に含まれている。

留意事項について国交省は「特に高度な技能・経験を有する者を従事させる必要がある場合は、業務内容に応じて適正に積算する」としている。

伸び率 前年度下回る

公共工事に従事する交通誘導警備員の労務単価は2025年度も上昇(5.7%)したものの、伸び率は24年度(A6.4%、B7.7%)を下回った。

交通誘導警備員は、公共工事の従事者が多い「主要12職種」に含まれる。12職種の労務単価の伸び率は4.8%〜6.8%。25年度も大きな差はみられなかった。

新単価の全国平均で上位3職種は順に、型わく工(3万214円)、鉄筋工(3万71円)、とび工(2万9748円)。下位3職種は軽作業員(1万8137円)、警備員A(1万7931円)、警備員B(1万5752円)となっている。国家資格を有するAの労務単価は3年ぶりに、工事現場の清掃や仮設物の設置・撤去などに当たる軽作業員より低くなった。