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全警協定時総会、2月に殉職警備員慰霊祭2022.06.21

創立50年迎え記念誌作成も

全国警備業協会(中山泰男会長)は6月8日、2022年度の定時総会を都内で開催した。創立50周年の節目を迎え、殉職した警備員の慰霊祭を来年2月に行うことを明らかにした。警備業・全警協の歴史を振り返る記念誌を作成し業界内外に「警備業の歩み」をアピールする。

コロナ禍3年目の総会に11県警協の会長(副会長)がウェブで参加、2県の会長が委任状を提出した。

中山会長は「深刻な警備員不足や経営基盤強化などの課題に対する取り組みは、緊急性が高まっています」と危機感をにじませ、さらなる協力を求めた(別項)。

来賓の警察庁・緒方禎己生活安全局長は「コロナ禍で社会生活のありようが変化する中、警備業が担うべき役割は一層重要です。企業活動、治安の維持に必要不可欠なサービスとして改めて認識されています」と指摘し、官民連携強化を呼び掛けた。

「全国警備業殉職者慰霊祭」は23年2月22日に都内で開催し、殉職者名簿の奉納などを予定している。合祀の基準は、19年度から21年度の間に労働災害の認定を受けたこと、合祀に遺族の同意が得られることだ。業界として殉職者を慰霊することにより警備員の誇りや一体感をより高めるとともに、警備業界は堅実な企業の集まりであるとの周知につなげる。

創立50周年記念事業では、11月7日に都内で式典を開催する。記念誌は、中山会長と有識者の対談や50年間の事業内容、警備業の未来などのコンテンツ案がある。一般向けの普及版やウェブ版も作成する。

議案審議では、3年連続で「会費の一部減額」が決議された。全警協の収入となる年会費は、都道府県警協が加盟員から徴収して全警協に納め、加盟員1社あたり年間4万8000円だ。各警協が納入する今年7〜9月の3か月分の会費、1社あたり1万2000円のうち半額の6000円が減額される。全警協は、各協会が減額分を新型コロナ感染防止対策の財源に充てることを期待している。

22年度予算では「青年部会関係育成事業費」として2500万円を計上した。「全国青年部会長等全国会議」を開催、都道府県警協の青年部会活動に対する支援を強化する。

事業計画では、政府の「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化」の取り組みへの対応として「加盟員が労務費等の上昇分の原資を警備業務の発注者から得られるための環境整備に努める」と明記した。「警備員の処遇改善に向けたスローガン」を策定する。

役員改選では、中山会長が4年目に入った。副会長の鎌田伸一郎氏(前東京警協会長)が退任、澤本尚志氏(東京警協副会長)が新副会長に就任した。

他の新役員は次の通り(敬称略)。【理事】長尾昭(北海道)、岩野経人(神奈川)、豊田正継(大阪)、中尾忠善(兵庫)、吉岡健二郎(島根)、【監事】幾田弘文(岐阜)

連名表彰10人、会長表彰23人

8日の全警協総会では、警備業の発展や教育に功労のあった都道府県警備業協会の役員、特別講習講師などが表彰された。

【警察庁長官・全警協会長連名表彰(順不同、敬称略、地名は協会)】〈警備業功労者〉▽斎藤久美子(神奈川・理事)▽遠藤孝廣(滋賀・前会長)▽西田克也(大阪・副会長)▽徳田英治(兵庫・理事)▽山﨑雅弘(和歌山・会長)▽西岡章夫(香川・元理事)▽宮里和政(沖縄・顧問)〈警備業教育関係功労者〉▽奥野正男(石川・特別講習講師)▽水野彰則(愛知・特別講習講師)▽原田優市(大阪・特別講習講師)

【全警協会長表彰(同)】〈警備業功労者〉▽磯部光一(福島)▽佐藤平八郎(茨城)▽高橋和夫(栃木)▽藤﨑茂男(千葉)▽田中宏(愛知)▽今西義高(兵庫)▽山田博(山口)▽山下秀夫(徳島)▽北川豊彦(香川)▽築城鉄也(長崎)〈警備業教育関係功労者〉▽中山大祐(岩手)▽岩瀬俊幸(山形)▽髙久秀人(栃木)▽石田紀幸(群馬)▽福原要(新潟)▽浅川実(山梨)▽織茂庸平(静岡)▽本横山吉泰(石川)▽坪塚清孝(福井)▽八尋大輔(大阪)▽石田敦志(島根)▽近重吾郎(岡山)▽奥島憲一郎(沖縄)

中山会長あいさつ「適正取引で処遇改善」

全警協が取り組む主な2つの事項について、皆さまと共有を図りたい。

1つ目は、政府の「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化」についての対応です。昨年12月に首相官邸で初開催された同円滑化会議に全警協が参加し、私は「警備業界の最重要課題は低賃金の是正です。適正取引を推進して経営基盤を強化し、賃上げにつなげたい」と発言しました。自主行動計画をさらに活用して適正な警備料金の確保を推進し、処遇改善に回す好循環を生み出すことが肝要です。

2つ目は、5月25日に迎えた全警協創立50周年の取り組みについて。節目にあたり「会員ファースト」をさらに進めたい。加盟員の“生の声”が都道府県警協に汲み上げられ、全警協に正確に伝わることが大切です。都道府県警協と加盟員に行ったアンケートを施策に活かしてまいりたい。

50周年を契機に、殉職した警備員の尊い御霊をお慰めするため慰霊祭を挙行したいと考えています。功績をたたえるとともに「殉職者を出すまい」との決意を世に示し、業界の信頼向上のために意義があると考えます。

警備業界の未来を切り開くため、全警協と都道府県警協が今まで以上に連携を密にすることが何より重要であります。

兵庫警協、一丸で協会活動

2期4年務めた今西義高会長(日本管財)が退任して協会顧問に就任し、副会長の中尾忠善氏(ナカチュー)が新会長に選任された。

今西会長は「慢性的な警備員不足など厳しい環境は続くが『雲外蒼天』という言葉が警備業にあてはまると思う。“雲の外には青空が広がっている”との意味で、一致団結し課題を乗り越えてほしい」と語った。

中尾新会長は「前会長の意志を引き継ぎ、理事メンバー、事務局と一丸となって協会活動を推進し、警備業の発展に尽力してまいりたい」と決意を述べた。

協会創立50周年記念式典を9月16日に神戸市内で開催する。

新役員は次の通り(敬称略)。【会長】中尾忠善 64歳 1993年、ナカチュー設立、代表取締役。2022年4月、代表取締役会長。2010年から協会理事。【副会長】田島拓也(エースガード)、平川昌哉(東亜リライアンス)【理事(支部長)】桝井功也(AOS)、徳田英治(国際ライフパートナー)、岸田幸三(関西パトロール)【監事】髙橋潤二(西部)

2022年総会、7都道府県に新会長2022.06.11

東京警協は村井豪氏(ALSOK)

5月25日から31日、23都道府県で定時総会が開催された。東京、大阪など7都道府県で会長が交代、新体制がスタートした。外国人旅行客の受入れ増など社会経済活動の再開が本格化、警備業も時流に乗り遅れることなく飛躍を目指さなければならない。新会長の手腕に期待が寄せられる。

東京警協、デジタル化は不可避

3年務めた鎌田伸一郎会長(セントラル警備保障)が退任し、副会長の村井豪氏(ALSOK)が新会長に就任した。城南地区担当理事を兼務する。

鎌田会長は「50周年をはじめとする大きな行事を乗り越えることができました」と顧みながら協会の更なる発展を祈念した。

村井新会長は「激動の年でした」と前期を振り返り、東京2020大会の<警備JV>を取り上げながら「重大な事故や事件に発展しそうな危険のあるちょっとした出来事も完全に抑え込む稀有な成功を収めた」と述べ、中心的役割を果たした会員をたたえた。

新型コロナのワクチン接種会場などでも警備業は役割を果たしているとして引き続き協力を求めた。

業界の更なる発展には警備品質の向上などさまざまな課題があるとした村井会長は「(警備業務の)デジタル化推進も時代の要請であり不可避です」と、積極的に取り組んでいく決意を表明した。

新役員は次の通り(敬称略)。【会長】村井豪 52歳。2010年ALSOK執行役員、16年同社取締役常務執行役員、同年同警協副会長。【理事】澤本尚志(セントラル警備保障)、鈴木一三(ALSOKファシリティーズ)、亀井徹夫(鉄建建設)【監事】倭文浩樹(JSS)

愛媛警協、融和協調の精神で

2016年から3期務めた二宮義晴会長(愛媛綜合警備保障)が退任し相談役に就任した。新会長には田中克幸氏(フジセキュリティ)が選任された。

二宮会長は事業計画として「警備業の適正な運用施策」や「大規模災害発生時の活動」の推進、「労働環境の改善啓発」など9項目を挙げた。その上で「業界の課題に対して誠実、正確、迅速に取り組む必要があります」と呼び掛けた。

田中新会長は「警備業は社会の安全を守る生活安全産業として貢献することが求められています。『融和協調の精神』で一丸となり協会発展に尽力していきたい」と意気込みを語った。

新役員は次の通り(敬称略)。【会長】田中克幸 64歳。愛媛県警捜査第一課長、松山南警察署長、生活安全部長などを歴任し2018年3月定年退職。同年4月FNクリーン入社、取締役会長。20年4月フジセキュリティ入社、同年5月代表取締役会長に就任。20年に協会理事。【副会長】松岡仁美(信和警備保障)【理事】阿部克彦(愛媛綜合警備保障)、窪田浩次(セキュリティエヒメ)、金澤慶太(旭警備保障)【監事】向井孝志(いよぎんビジネスサービス)

大阪警協、万博へ警備力底上げ

寺尾政志会長(ALSOK近畿)が退任し、副会長の豊田正継氏(関西ユナイトプロテクション)が新会長に就任した。

寺尾会長は、1970年に25社で協会が設立されて以降の足跡を振り返りながら「551社を擁するまでになりました。今後も生活安全産業として社会に貢献していくことにより業界も大きく発展していくと考えております」とあいさつ。協会の運営を後任に託した。

豊田新会長は「警備員の皆さんが心も生活も家族とともに幸せに暮らせる業界にしたい」と協会運営についての基本姿勢を語るとともに、委員会の再編などに取り組む決意を表明。2025年の大阪関西万博に向け、大阪の警備レベルの底上げも図る意向を示した。

新役員は次の通り(敬称略)。【会長】豊田正継 57歳。1984年関西ユナイトプロテクション入社。88年から商社の取締役などを歴任し2016年同社取締役、22年代表取締役副社長就任。20年から協会理事・副会長。【副会長】尾崎建爾(新大阪警備)、小野俊明(桜管財)【専務理事】渡部雅夫【理事】中谷裕二(大阪中央警備保障)、高木久(府交通安全協会)、中田圭子(府社会保険労務士会)【監事】渡部健児(日本トラスト)、山本貴則(セキュリティコンシェルジュ)、井上徹(東亜警備保障)

北海道警協、地域を守る努力継続

2期4年務めた小松裕会長(ALSOK北海道)が退任し、長尾昭新会長(同)が就任した。

小松会長は、東京2020警備など昨年を振り返るとともに、今年は協会創立50周年となる節目の年であると述べた。警備業界の課題については「経営基盤の確立、教育のあり方、デジタル化などについて機運が高まっています。今こそ危機意識を持って取り組むべきです」と行動を促した。

長尾新会長は「今後も警備業界にとって多難が続くが、会員・役員の支援を得ながら職責を全うしていきます。人手不足や適正な警備料金の確保など山積する課題で協会が定めた目標を達成、地域を守る生活安全産業として努力を続けたい」と抱負を述べた。

今年度は災害支援隊について、全国警備業協会のガイドラインに基づき編成を見直す。

新役員は次の通り(敬称略)。【会長】長尾昭 57歳。1983年ALSOK入社。2020年同北海道支社長。22年ALSOK北海道社長。【副会長】桂田直樹(セコム北海道本部)

徳島警協、人手不足に取り組む

通算3期にわたって協会運営の舵をとった山下秀夫氏(ALSOK徳島)が退任し、松岡宏氏(同)が新会長に選任された。

山下会長は「警備業の人手不足は深刻で、警備員の高齢化も進んでいる。社会に必要不可欠な生活安全産業として業界を担う若手の確保と育成は経営者の使命です。協会青年部の活躍を期待したい」と述べた。

松岡新会長は「警備員の不足など業界が抱える諸課題の解決と、警備業務の適正な運営に向けて着実に取り組み、業界と協会のさらなる発展に尽力したい」と抱負を語った。

新役員は次の通り(敬称略)。【会長】松岡宏 61歳。1986年、ALSOK入社。2021年、ALSOK徳島に移籍。同年6月、代表取締役社長に就任。22年に協会理事就任。【副会長】梶本尚賢(新港警備保障)【理事】常盤征宏(合建警備保障)【監事】佐賀健一郎(新日警)

「視野広がった」、静岡警協が初の「大討論会」2022.06.01

「明日の警備」改善策話し合う

静岡県警備業協会(立川勝彦会長)は4月26日、初の意見交換会「明日の警備 大討論会」を開いた。会員間の連携をより深めて課題克服につなげる「会員参加型の協会活動」の一環。経営幹部や警備員など45人が参加、人材確保と定着促進に向け現状や改善策を活発に話し合った。参加者からは「視野が広がった」などの声が寄せられた。

静岡市駿河区内の公共施設で開いた討論会では、静岡警協の会員各社が所属する「業務部会」(1〜4号警備業務の部会)ごとに討議し意見を集約した。

同協会は昨年度、協会活動の活性化を図る組織改革として「総務特別委員会」(秋山浩一委員長=全日警静岡支社)と「業務委員会」(小林由紀委員長=スリー・アローズ)を、また、業務委員会の下部組織として各業務部会をそれぞれ新設、会員に活動への積極的な参加を呼び掛けている。

今回は業務委員会が「現状打破と課題解決に向けて知恵を出し合う」との趣旨で初の討論会を企画した。テーマは「人材」。事前にアンケートを行って会員に共通する課題として選んだ。複数の協会理事が討論会に同席したが発言は会員のみとし、人材確保に必要な処遇改善や職場環境の問題などを話し合った後、各部会の担当者が発表を行った。

会員からは「他社の考え方、取り組みを知って視野が広がった」「警備員の地位向上を一致協力して図ることが重要と感じた」などの感想が寄せられた。

今回の討議内容を受けて業務委員会は「企業の垣根を超え業界全体として発展していくため、各部会で出された意見を踏まえ継続的な議論を重ね、内容を会員にフィードバックしていきたい」としている。今後、県内各地区で討論会開催を予定する。

立川会長の話 現状や胸にある思いを率直に話し合う機会になったと感じました。「警備業界を自分たちでより良くしよう」との思いで協会活動がさらに活発になり、警備業に関心を持つ求職者を増やす下地づくりになればと考えています。