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東京2020 JV553社 大会守る2021.07.11

警備員延べ60万人動員

47都道府県から553社の警備員が参集――。「東京2020大会」の警備体制が6月24日までにまとまった。準備期間を含め1月5日から10月31日までの間に従事する警備員数は延べ60万1200人、地方会場も含めて大会中警備員が最多となるのは、7月24日(31会場)の約1万8100人。オリンピック(7月23日〜8月8日)は延べ27万2500人、パラリンピック(8月24日〜9月5日)は同11万2900人が警備にあたる。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会警備局の平林新一次長に警備体制について聞いた。

平林警備局次長によると、オリンピック会場を民間警備会社が主体となって警備するのは初めてのことだ。

1都3県を中心とする首都圏会場の警備にあたる警備会社は、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会警備共同企業体」(警備JV/共同代表=セコム、ALSOK)に所属。大会警備に従事する警備員の延べ総数の9割以上の約54万6600人がJV参加企業の警備員で、首都圏の主要会場を警備する。オリンピックには約23万9900人、パラリンピックには約11万600人を動員する。

地方会場の警備はオフィシャルスポンサーのセコムとALSOKが非JV枠で担当し、警備員は大会警備全日程(準備期間含む)で延べ5万4600人。オリンピックは3万2600人、パラリンピックは2300人となる。

警備JV参加社553社のうち、都内に本社を置くのは238社。1都3県では363社が参加する。

競技会場は全てフェンスで囲い、センサーや監視カメラを随所に配置。人と車両それぞれにゲートを設け、金属探知機などを用いてセキュリティーを確保する。五輪初の試みとして顔認証システムを採用、厳格な本人確認を行うようにした。

会場ごとにVMC(会場管理会社)を置き、会場全体の警備をコントロールする。警備員は事前に8時間のeラーニングを受講して警備の要点を学び、現場責任者も事前に実務トレーニングを積んだ上で警備に臨む。

警備機材関係では、一部の警備員はウェアラブル(身体装着型)カメラも使用。監視カメラの映像とともに情報は会場に設置した警備対策センター(VSCC)に集積され、発報があっても瞬時に場所を特定し対応可能。ロボットやドローンは使用しない。

ラストマイル(最寄り駅から会場までの最短ルート)の警備は、多数の来場者を想定しながら必要数を満たす警備員や監視カメラを設置する。

警備員の宿泊施設は、JVが手配したビジネスホテルやJV加盟企業の研修所などを利用。費用は組織委が負担する。会場内待機所は、施設により差異はあるが全て設置する。

コロナ対策では、全ての警備員が抗菌手袋を着用するほか、マスク着用に加え状況に応じてフェイスシールドも装着する。

平林次長の話 JVや各都道府県警備協会の協力により、必要な警備員を手配することができました。五輪で民間企業が中心となって会場警備を行うのは初めてで、日本の警備業のレベルの高さを世界に向け発信してほしいと思います。今後の五輪警備のレガシー(遺産)となることを期待しています。

三重警協「職域接種」7月実施へ2021.07.01

警備員、家族1200人に

三重県警備業協会(菊田喜之会長)は、加盟各社で働く警備員とその家族などの新型コロナウイルス感染防止のため、ワクチンの「職域接種」を実施する。早ければ7月初旬にも第1回目の接種が行われる予定。都道府県警備業協会で職域接種を実施するのは同協会が初。今後、全国への広がりが期待される。

「職域接種」は、新型コロナ予防のワクチン接種を行う自治体の負担を軽減するとともに、接種の加速化を図るために企業(職場)や大学などの単位でワクチン接種を行うもの。6月21日からスタートした。

三重警協は、県内自治体の負担軽減のため、協会単位でのワクチン接種実施を検討。6月22日に県を通じ国に申請した。

接種の対象者は、加盟社で働く警備員やその家族など。申請に先立ち各社の希望を募ったところ約1500人が接種を希望したが、注射を行う医師・看護師から「1日600人が限界」との指摘を受け、1200人に絞った。

接種予定日は1回目が7月11日と18日。各日600人、計1200人に接種する。2回目は8月8日と15日。接種会場は、同協会が定時総会などの各種会合で用いている津市内のホテルを予定し、すでに会場の仮予約も済ませた。

ワクチンを接種する医師や看護師は、県警OBが勤務する四日市市内の病院に協力を求め、快諾を得た。1日当たり10人の医師・看護師が会場で注射や副反応に対する処置に対応する。

協会が負担する費用は会場代とワクチン保管の冷凍庫の使用料などのみ。冷凍庫は会場のホテルが用意するという。ワクチン、病院派遣の医療従事者への人件費は全て国が負担する。

警備業では、同協会の他に中央や地方の大手警備会社など数社が職域接種を計画、準備を進めている。

一方で、政府は職域接種で用いる米・モデルナ社製のワクチン供給が追いつかないことから、25日に職域接種の新規申請を“一時休止”。三重警協などの申請団体・企業にも対象者数の精査を求めており、接種者数の減少や接種時期の遅れなども危惧される。