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滋賀警協 県との「災害時協定」改定2024.09.21

会員が適正価格で受注へ

滋賀県警備業協会(井上雅裕会長)は9月4日、滋賀県(三日月大造知事)、滋賀県警察本部(中村彰宏本部長=9月9日付で警察庁長官官房付に異動)と1996年に締結した「災害時における交通および地域安全の確保等の業務に関する協定」、「同・細目」について、それぞれ全面改定した。県と警察からの協力要請に基づき協会会員事業者は「適正価格」で警備業務を受注、実施することができる。災害時に警備業務の実効性を高める警備業協会による協定は岡山、広島、大阪、神奈川に続き5番目となった。

改定協定の締結式は大津市内の県危機管理センター、県警本部内でそれぞれ行われた。

主な改定は次の5点だ。

(1)災害時に県が協会に協力を要請する業務内容は「安全確保のための交通誘導警備」「避難所などで警戒を行う施設警備業務」などと明記した。

(2)協会は、会員事業者または共同事業体と警備業務の受託に向け調整を行う。

(3)費用については「役務の提供を受ける直前の適正価格」を基準とする。警備業者は、県と契約書面を交わして業務を行う。

(4)対象となる災害は、災害対策基本法第2条に定める災害(地震、豪雨、洪水など)。

(5)業務中に第三者に損害を与えた場合の賠償は、警備員に責任がない場合は県が、責任がある場合は警備業者が責を負う。

県警との協定細目では▽災害時に県警本部長は県知事に対し、警備業務の実施場所や内容などを指定した上で協定に掲げる警備業務の要請を依頼する▽被災地を管轄する警察署長と連携して警備業務を行う――などが明記された。

今回の改定は、2022年11月に開かれた近畿地区警備業協会連合会の「災害広域支援対策検討会」を契機として見直しが進められた。滋賀警協の災害支援対策委員長・髙橋暁理事(セコム滋賀統轄支社顧問)が中心となり、より実効性の高い内容に向けて関係機関と協議を重ねてきた。

締結式には県から山下將防災危機管理監、県警から長達男警備部長、協会から井上会長、髙橋委員長、小林孝行専務理事が出席した。

会長の調印は“父子2代”

滋賀県内では2012年8月、大津市大石地区の豪雨災害発生を受けて協会会員延べ7社が46日間の警備業務を行ったことがある。

28年前、1996年の協定締結時に調印した協会第6代会長・井上光夫氏(故人)は、現会長の父にあたる。

井上会長の話 (調印は)巡り合わせと思います。改定により、災害時に警備員が取り組む業務内容や費用面も明確になりました。髙橋委員長はじめ関係者の尽力によるものです。会員の皆さまの協力を得て、防災に対する父の思いをつないでいきたいと思います。

髙橋委員長の話 地震や異常気象の中、改定を急ぐ気運が高まりました。改定は会員の防災意識をより高めるとともに、警察と連携して安全を守る警備業に対する地域社会の信頼向上につながると考えます。

小林専務理事の話 協会ホームページに今回の改定について掲載し“防災に取り組む警備業”を広報していきます。

北関東綜合警備保障 那須赤十字病院と協定2024.09.11

災害時に「レスキュー隊」派遣

9月1日「防災の日」に各地で予定されていた警備業協会参加の防災訓練は、台風10号の影響で中止となった。災害対策が社会の重要課題となる中、警備業の役割は増す。北関東綜合警備保障(宇都宮市、青木靖典社長)は8月26日、那須赤十字病院(栃木県大田原市、井上晃男院長)と「災害時におけるレスキュー隊派遣に関する協定」を締結した。セコム(東京都渋谷区、吉田保幸社長)は「防災に関する意識調査」を実施。国の来年度予算案では、防災事業への要求が相次いだ。

北関東綜合警備保障と那須赤十字病院の協定は、大規模災害が発生した際に病院としての機能を維持するため、同社のレスキュー隊が駆け付けて支援活動を行うもの。活動は施設内での人命救助に加え、資機材や物資の提供も含まれている。地域社会の防災力向上をめざす取り組みだ。

那須赤十字病院は1996年、県北地域唯一の災害拠点病院となった。2011年の東日本大震災で病棟が被災した際、1階から5階までの多数の患者を避難させ苦労した経緯がある。

北関東綜警は独自にレスキュー隊員を養成し、通常は警備員として勤務しながら災害発生時に出動できる体制を整えている。

同社はこれまでも地域の被災時に災害支援に貢献。東日本大震災発生時には本社社屋「あんしんかん」を避難所として約2か月間開放し1300余の避難者を受け入れた。同大震災や15年の関東・東北豪雨などでは自治体の要請で断水地域に消火用タンク車を出動させて給水活動も行った。

青木社長の話 県内初の協定で、地域の安全安心に協力したいと思います。

井上院長の話 災害拠点病院として責任を果たすため協定を結びました。

「南海トラフ地震」に備える2024.09.01

8月8日に発生した宮崎県日向灘沖を震源とする震度6弱、M7.1の地震発生を受け、気象庁は9日に初の「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表した。呼び掛けの期間は15日に終了したが、地域社会の安全安心を守る警備業は、日頃の備えが欠かせない。高知県警備業協会(国安秀昭会長)は県との協定見直しに向けて能登半島の訪問調査を、静岡県警備業協会(立川勝彦会長)は緊急援助隊の訓練を、愛知県警備業協会(小塚喜城会長)は協会ホームページで注意喚起を、それぞれ行った。

高知警協 能登半島の被災地訪問

高知警協は、国安会長、谷本秀一災害対策委員長(横田商事)、鈴木幸盛専務理事が8月5日と6日、能登半島地震で被災した石川県七尾市内と内灘町内を訪問した。

同警協は1996年に高知県と結んだ災害時協定の見直しに向けて情報収集を進めており、震災発生現場と発災後の警備業務についての調査が目的。

石川警協の上田紘詩会長、災害対策委員長で七尾市の社屋が被災した北原泉副会長(アクロス警備保障)、河原正明専務理事が被災地を案内した。警備業務の現状や課題、検討事項などを説明。国安会長らは液状化現象の被害状況を確かめた。

高知警協は今年3月に高知市と「大規模災害時における交通誘導警備業務に関する協定」を締結。南海トラフ地震などの発生から一定期間経過後、警備員は支援物資貯蔵施設などで車両の交通誘導警備を有償で行う協定だ。

協会は今回の調査について、会員向けにレポートとして伝える。10月に広島市内で開催される中国地区・四国地区警備業協会連合会の合同会議で報告する。

静岡警協 緊急援助隊が訓練

静岡警協は8月17日、会員19社61人で編成する「静岡県警備業緊急援助隊」(本多剛隊長=北駿警備)の訓練を静岡市葵区内の運転免許センターで行った。

県警交通機動隊の白バイ5台が参加。地震で信号の消えた交差点に白バイが緊急車両を先導して進入する――との想定で、緊急援助隊の隊員は警察官の手信号に連動して交通誘導に取り組んだ。また、災害時に活用できるロープの結び方、負傷者の救護・搬送要領、三角巾を用いた救急処置などの実技を磨いた。

本多隊長はじめ13社16人、特別講習講師、協会事務局など30人と、県警から生活安全部生活保安課・濱本充管理官、交通機動隊員など40人が参加した。

濱本管理官は、訓練の趣旨を説明した上で「宮崎県日向灘を震源とする地震により巨大地震注意が発令され、南海トラフ地震をはじめとする自然災害等に対応するため、警備業の活動はますます重要となる」と激励した。

本多隊長は「大規模災害発生からライフラインが復旧する際には、交通誘導、負傷者救護など警備員としてやるべきことがある。今回の訓練内容をそれぞれが自社に持ち帰って広めてほしい」と呼び掛けた。

愛知警協 防災「6項目」呼び掛け

愛知警協は「南海トラフ地震臨時情報」の発表を受け8月9日、会員に向けて「注意喚起」の文書を協会ホームページ(HP)に掲載した。

文書は、想定震源域では地震発生の可能性が高まっているとして「政府や自治体からの情報に応じた冷静で迅速、適切な防災対応」として次の6項目の「再確認」を呼び掛けている。

(1)ハザードマップによる住まいや事業所地域の危険性、避難所への経路(2)地震発生時、その場の状況に応じて身を守る方法(3)非常用持ち出し品、備蓄品(4)停電時も災害情報を入手できるように携帯ラジオ、乾電池の準備(5)災害用伝言ダイヤル171などの利用方法(6)室内の家具転倒防止など可能な限りの対策――。

愛知警協・寺倉利彦専務理事は「今回の注意喚起は必要以上に不安をあおることなく、会員各社の備えの再確認、防災意識の高揚につながればと考えました。協会ホームページを活用して各種情報のスピーディーできめ細かな発信、会員の情報共有を図っています」と述べた。