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九州地区連「AIで自家警備」に懸念2021.11.21

折田会長「道路許可活用し阻止を」

九州地区警備業協会連合会(会長=折田康徳・福岡警協会長)は11月11日、宮崎市内で理事会を開いた。主なテーマは、6月9日の全国警備業協会総会で報告された「全警協アクションプラン(案)」への今後の対応。各県警協の現状報告と課題について意見が交わされた。フリートーキングでは、AI(人工知能)などICT技術の進展により、建設会社が同機器を用いて自ら道路工事現場で交通誘導を行う「自家警備」を懸念する意見が寄せられた。

地区連理事会には、九州・沖縄地区の会長8人、全国警備業協会の黒木慶英専務理事と小澤祥一朗総務部次長が出席した。

アクションプランを取りまとめた全警協・基本問題諮問委員会(成長戦略を検討する委員会)に、外国人雇用の作業部会長として参画した地区連・折田会長は、同プランの策定の狙いや内容、今後の展開について説明。各県警協は「ICT・テクノロジー活用」「経営基盤の強化・単価引き上げ策」「災害時の警備業の役割明確化」など、プランで示された5つのテーマごとに現状や課題などを報告した。

これに関するフリートーキングでは、AIなどを活用したICT技術の進展により、道路工事現場で警備業ではなく建設業のICT機器オペレーターが自ら交通誘導を行う「自家警備」への懸念が寄せられた。これに対し全警協・黒木専務理事は「AIやICTの技術進展は著しい。機器・システムを建設業が手にすれば、(工事現場の交通誘導は)牛耳られるおそれがある」との見方を示し、ICT化が警備業務に及ぼす影響について注視していることをうかがわせた。

折田会長は、建設会社が道路工事を行う際に公安委員会(警察)に申請する「道路使用許可」の見直しを当局に働き掛けることを提案。「多くの地域で運用されている現行の許可では、(道路利用者の安全や円滑な通行のための)条件が交通誘導員となっている。これが“交通誘導警備員”に変更されれば警備員を道路工事から排除できない。道路使用許可の活用は(自家警備を阻止する)最後の砦となるのではないか。速やかな全国の実態調査が必要だ」と述べた。

ICT・テクノロジー活用のもう一つのテーマ「内なるDX(デジタルトランスフォーメーション)」である「DX社会に対応できる企業の体制整備」では、「電子入札や電子契約書など業務発注先のICT化が進んでおり避けては通れない」などの意見の一方で、「費用が掛かる」「電子書類の保存法が分からない」などの声も聞かれ、全警協に何らの支援を求める声が相次いだ。

SDGs(エスディージーズ=国連の掲げる持続可能な開発目標)には上拾石秀一・地区連副会長(鹿児島警協会長)が言及。自社を含めた警備各社や、愛知警協が協会として取り組みを進めていることに触れ「各協会、全警協として取り組むべきだ」と述べた。これに対し全警協・黒木専務理事は、全警協の2021年度事業計画に「SDGsの目指す社会実現への貢献」を明記したことを念頭に、前向きに検討していく意向を示した。

内外に業界アピール2021.11.11

全警協「警備の日全国大会」

全国警備業協会(中山泰男会長)は11月4日、「警備の日全国大会」を都内のホテルで開催した。昨年に続き、新型コロナ感染防止のために規模を縮小、人命救助など顕著な功績があった「模範警備員」への表彰、記念講演などが行われた。都道府県警備業協会は「警備の日」(11月1日)の前後、警備業の役割や取り組みをPRする活動を展開した。

「全国大会」は初めて「対面」「ウェブ」「ユーチューブ」を併用した。都道府県協会の会長や専務理事など全参加者55人中14人がウェブで参加、加盟員には「ユーチューブ」で“生配信”が行われた。

大会には来賓として警察庁の緒方禎己・生活安全局長が出席したほか、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会でチーフ・セキュリティ・オフィサー(CSO)を務めた米村敏朗氏が「東京2020競技大会を振り返って」と題し記念講演を行った。

あいさつで中山会長は「日本記念日協会が2015年に11月1日を“警備の日”として登録以来、業界内はもとより対外的にも警備業界のアピールを図る観点から、女性警備員の愛称・警備なでしこ、マスコットキャラクター・ガードくんやガドワンくんの制定など、全国一丸となった広報活動を展開している」と、全警協の取り組みを紹介。参加した各警協に引き続きの協力を求めた。

警察庁・緒方生活安全局長は「警備の日は、警備業法が施行された1972年11月1日を記念したもの。同法施行後、警備業は急速な発展を遂げ、国民に幅広く安全と安心を提供する生活安全産業として大きな役割を担っている」と述べた。特に今夏開催された東京2020大会では、海外メディアなどからも警備員を称賛する声が寄せられたことに触れ、「わが国警備員の規律正しさや質の高さを世界に示すことができた」と大会に従事した警備員をたたえた。

例年、同大会で表彰が行われている人命救助や初期消火、容疑者確保など顕著な功績があった「模範警備員」には、2020年7月から21年6月末までの間に警察・消防などから表彰された1都10県の14人の警備員が選ばれ、中山会長から感謝状が贈られた。

米村氏講演要旨 危機管理は「想像と準備」

米村敏朗氏は、自身が経験してきた仕事・ポストで取り組んだ危機管理を振り返った。講演要旨は次の通り。

◇東京2020は、警備JVとして参加した方だけでなく、(これまでの現場に)残って警備を続けた方全てのお陰だ。

◇危機管理は「想像と準備」に尽きる。想像が具体的な準備に結びつかない限り、想像していたとは言えない。

◇尊敬する故・土田國保氏(元警視総監)から教わったのは「警察の仕事を続けるのであれば、現場で日夜警らしている巡査と一緒に仕事をしているという気持ちだけは忘れないでほしい」。皆さんも一緒だと思う。

11月1日「警備の日」2021.11.01

社会的地位、一層の向上へ

11月1日は「警備の日」――。全国警備業協会(中山泰男会長)が2015年に制定した「警備の日」が1日、7回目を迎えた。制定の翌年16年から始まった「警備の日・全国大会」は4日に都内のホテルで開催される。東京2020やコロナ禍で大会や市民の安全安心を担ってきた警備業。「警備の日」を活用した業界PRで社会的地位の一層の向上が期待される。

全警協は11月4日、都内ホテルで「警備の日・全国大会」を開催する。6回目の今回、人命救助や容疑者確保などで顕著な功労があった「模範警備員」14人を表彰する。

大会には警察庁の緒方禎己・生活安全局長が来賓として出席するほか、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会でチーフ・セキュリティ・オフィサー(CSO)を務めた米村敏朗氏が「東京2020競技大会を振り返って」と題し記念講演を行う。

都道府県警備業協会も「警備の日」の前後、各種取り組みを実施する。本紙が全国の各協会に行ったアンケート調査によれば、取り組みは「イベント」「街頭活動」「広報活動」などに大別できる。

イベントは宮城「セキュリティフェア」をはじめ、福島「セキュリティ・ジョブ・フェア」、群馬「書道展覧会」、千葉「セーフティフォーラム」、岐阜「写真・労災防止標語コンクール」――などがある。いずれも回を重ね、それぞれの地域行事として定着。しかし、昨年来の新型コロナ感染拡大の影響で規模縮小や内容変更などを余儀なくされている。

街頭活動は、駅頭や繁華街での全警協作成のポケットティッシュなどの広報品配布が中心。警察と連携し、還付金詐欺や振り込め詐欺など「特殊詐欺被害防止」の呼び掛けも併せて行う取り組みもある。

広報活動は、地元新聞やテレビ・ラジオなどに「警備の日」の存在や警備業の取り組みを紹介した広告掲載やCMの放送など。他に路線バスに「警備の日」をPRする“幕”を掲げる(福井)や、加盟社の業務車両に「11月1日は警備の日」と記したマグネットシールを貼付する(京都、大阪、徳島など)――がある。