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合祀新たに6人 冥福祈る2024.11.21
全国警備業殉職者慰霊祭
全国警備業協会(村井豪会長)は11月11日、2024年度の「全国警備業殉職者慰霊祭」を都内で行った。労働災害で亡くなった警備員の遺族、会社関係者や都道府県警協の会長ら約80人が参列。祭壇に献花し、殉職警備員の冥福を祈った。業界を挙げて警備員の安全を守り抜くことを誓った。
殉職者慰霊祭は全警協の創立50周年を契機として、22年度から行っているもので今年で3回目。労災認定を受け、合祀に遺族が同意した6人を新たに祀った。合祀は計45人となった。
式辞で村井会長は「警備員としての高い誇りと使命感を、身をもって示された」と悼み、「悲惨な事故の根絶に全力を尽くしていくことを誓う」と述べた。
参列者による黙とう後、警察庁の檜垣重臣生活安全局長、全警協の佐々木誠労務委員長、殉職者の関係者として綜合警備保障(ALSOK、東京都港区)の栢木伊久二社長とタスクマスター(山梨県甲州市)の秋山一也社長がそれぞれ追悼の辞を述べた。
綜合警備保障の松谷武さんは2002年4月、機械警備業務中に事件に巻き込まれ、26歳で亡くなった。栢木社長は「日々の業務に邁進され、将来を嘱望される社員だった」と悼んだ。遺志を受け継ぎ、社会の安全安心に貢献していく決意を語った。
秋山社長 追悼の辞
「現場を支える、頼れるリーダーだった。彼女の優しさ、仲間の安全を第一に考える姿は、掛け替えのないものだった。無念でなりません」。追悼の辞で、タスクマスターの秋山一也社長は、そう述べた。
同社の中島なおみさんは2023年7月、甲府市内の国道で交通誘導警備の業務中に、脇見運転のトラックにはねられ亡くなった。55歳だった。工事現場の作業員を守るため、体を張って、規制内に突っ込んできたトラックを止めようとしたという。
追悼の辞で秋山社長は、同社が開発したAI交通誘導システムに言及した。「次の現場から使用する予定だった。命を守るために生み出したシステムでありながら、彼女を守れなかった」。
深い後悔を語り、システムの普及や安全確保に全力を尽くすと誓った。
復興支える警備員2024.11.11
能登半島地震から10か月
石川県能登半島地方を中心に甚大な被害をもたらした今年1月1日の「能登半島地震」発生から丸10か月が経過した。復旧・復興が思うように進まない中、9月には“追い打ち”をかけるように同半島の輪島市や珠洲市などで「能登豪雨」により再び大きな被害が発生した。能登半島の警備業の現状を現地で取材した。
10月29日、石川県七尾市にあるアクロス警備保障(北原泉代表取締役、石川警協副会長)を訪ねた。
同市では地震により災害関連死を含め29人が死亡した。住宅被害は全壊511棟、半壊5772棟など計1万7229棟に及ぶ。今も多くの住宅の屋根が「ブルーシート」で覆われている。
新築して3年目を迎えた同社社屋玄関には「事務所は裏のプレハブです」の貼り紙があった。地域一帯は地盤が沈下し、社屋の柱は今も地上から浮いた状態だ。敷地を取り囲んでいたコンクリート塀は全て倒壊したという。
建物内部は、壁の至る所に大きなひび割れがあり、床も大きく傾いている。事務所だった場所は、地震直後にはキャスター付きの椅子が全て一方向に移動していた。
北原氏は「(地震発生から)10か月経ってようやく行政による“公費解体”も決まり、来秋には新しい事務所が完成する予定です…」と話すが、建設業者をはじめ復興に欠かせない人手が不足しており先行きは不透明のようだ。
同社の主要業務である交通誘導警備業務については、「(新たな仕事の依頼を)断っています」とのこと。同社警備員のほとんどが、地元建設会社や自治体からの依頼を受け、地震で傷んだ道路復旧工事現場、災害ごみ集積所などでの交通誘導警備業務に日夜従事している。
県内各所や県外からも多くの警備業者や警備員が能登入りしているが、増え続ける復興工事の要請には応じられないのが実情だ。
そのような中、9月に同社は「復興の手助けとなれば」「被災者を雇用面で支援したい」との思いから、地震被害が最も大きかった輪島市内に営業所を開設した。警備員指導教育責任者1人を現地担当とし、事務員1人も常時配置した。その矢先に能登豪雨災害は発生した。
同社営業所の浸水などの被害は免れたが、既に現地で復興支援など警備業務を行っていた東洋警備保障(上田紘詩代表取締役、石川警協会長)の営業所などが被害を受けた。このため同社は被害を受けた同業者が営業所のファクシミリなどの事務機器を使用できるよう便宜を図っている。
石川警協幹部をはじめとする地元警備業の被災地復興への取り組みはまだまだ続く見込みだ。
◇ ◇
七尾市内で地震により大きな被害を受けて「公費解体」を申請しているのは約2700件。うち住宅の解体を建設業者に発注済みの棟数は約7割弱。実際に解体が完了したのは約13%(10月23日現在、同市発表)。被災者の再出発ともなる被害家屋の解体さえも緒についたばかりだ。
アクロス警備保障 北原泉代表取締役
地震発生後は七尾地区の建設業協会事務局に“オブザーバー”会員として詰めました。建設業協会と自治体が結ぶ災害支援協定に基づき、建設会社が自治体からの要請で行う復旧工事に、弊社や同業者の警備員の派遣に努めました。県単位での災害支援協定も必要ですが、日ごろからの地域レベルでの警備業と建設業との連携は不可欠です。
能登半島での人材不足は深刻です。被災した家屋の解体工事や災害ごみの車両での搬出には多くの外国人労働者が従事しています。警備業でも多くの外国人を活用できれば復興も早いのではないでしょうか。(談)
初の研修「エデュセキュア」2024.11.01
静岡警協青年部会が企画、開催
静岡県警備業協会(立川勝彦会長)は10月24日、「警備員指導教育責任者研修会」を静岡市内で開催した。青年部会が企画した初の試み「エデュセキュア! 現任内容シェア会」を行い、57社80人の参加者は教育について話し合った。
静岡警協青年部会(佐藤和博部会長=ビオ企画、19人)は「研修」「広報」「教育」の3テーマで活動している。今回の研修会は、各社の教育担当者が自社の現任教育について“毎年どんな内容で行うか。受講する警備員の意欲をどう高めるか”といった悩みも含め互いに話し合い、刺激を受けるとともに会員の横のつながりも深める協会活動の一環として行った。
佐藤部会長は「タイトルの『エデュセキュア』は、エデュケーション(教育)とセキュリティーを合わせた造語で、堅苦しくならずに話し合っていただきたいとの思いを込めています。自社の“教育の引き出し”が増える一助となればと企画しました」と述べた。
参加者は8つの班に分かれ、自社の現任教育の内容、方法などを話し、青年部会員が班ごとにまとめて発表。次のような取り組みがあった。
▽社会問題となっている「カスタマーハラスメント」から警備員を守ることは重要と考え、理不尽なクレームなどへの対応を実践形式で行っている。
▽交通誘導などの警備員が行う実技を撮影した動画を見て、的確な動作について話し合っている。
▽自火報(自動火災報知設備)の受信機を購入し、取り扱いを確認する。
▽警備業協会の現任講習を受講している。
▽応急手当普及員の資格を取り、人形を使ってAED講習を行う。
▽毎年同じ内容を繰り返し行って再確認することは大事だと考えている。
▽「闇バイト」による強盗や詐欺などを解説し防犯意識をより高める。社会情勢を踏まえて教育のアップデートは大切――など。
青年部会は、事前に部会員がまとめた自社の教育メニューや、教育に活用できるユーチューブ動画「火災再現実験」「大型車両誘導時のヒヤリハット」などのQRコードを掲載した資料を参加者に配布した。
「エデュセキュア」に先立ち、静岡県警察生活安全部生活保安課許可事務指導管理室・濱本充管理官は「最近の警備業務上の諸問題について」と題して講演を行った。適正な業務の推進に向けて県内警備業の概況などを説明した。
安全衛生大会
指導教育責任者研修会の前に「静岡県警備業安全衛生大会」が開催された。
立川会長は、労災事故防止の取り組み推進を強調するとともに、粘り強い価格交渉を行って適正料金を確保し、処遇改善と職場環境整備を進める“好循環”を呼び掛けた。