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「青年部会行動宣言」を採択2023.03.21

全警協 初の全国部会長等会議

全国警備業協会(中山泰男会長)は3月6日、「全国青年部会長等会議inTOKYO」を東京都千代田区内で初開催した。都道府県警協の青年部会39部会、オブザーバーとして女性部会4部会など100人余りが参加。“警備業界の輝かしい未来”に向けて青年部会が連携し活動を進めるための指針として「全国青年部会行動宣言」が採択された。

全国青年部会行動宣言は、3項目から成る。昨年3月開催の「全国青年部会長・女性部会長等会議」の中で「全国共通となる青年部会の行動宣言、活動の指針を採択してはどうか」との意見があった。

これを受けて全警協は7月に「地区警協連合会代表青年部会長会議」を開き、各地区連代表の青年部会長や地区連に属さない北海道、東京の青年部会長が協議して活動方針を明文化した叩き台を作成。今年2月には全国の青年部会長等に意見聴取を行った上で、同宣言・案を策定した。

今回、都内での会議開催に尽力した東京警協青年部会・安見竜太部会長(シンテイ警備)が代表として登壇。「私たち青年部会は互いに信頼し、常に研鑽し、警備業界の輝かしい未来に向けて取り組みを行うことを宣言します」と同宣言案を読み上げ、満場一致で採択された。

宣言採択に先立ち、中山会長があいさつし、青年・女性両部会の活動に期待を込めてエールを送った。

全警協・小澤祥一朗総務部次長は、全国の青年・女性両部会の設立状況を説明。過去6年間で、青年部会の設置は13府県から3倍となる39都道府県に広がったことを明らかにした。

茨城、千葉、山梨、長野、京都、山口、熊本の7府県警協青年部会長が、社会貢献活動や研修会、警備員の事故防止啓発動画の配信、交通誘導警備のAI活用実験など、それぞれの活動内容を発表した。

全日本トラック協会の初代青年部会長を務めた佐久間恒好氏(商運サービス代表取締役)は「青年経営者の役割と期待」をテーマに講演を行った。

「行動宣言」全文

○常に時代の最先端に立ち、柔軟な発想と情熱をもって、警備業界の発展に率先して尽力する。

○全国の青年部会の仲間と連携を強め、切磋琢磨し、自由闊達な意見交換を通じ、警備業の将来あるべき姿を追求する。

○警備業の魅力を内外に発信していく中心的役割を担う。

「業界活動のエンジンに」中山会長

青年部会の活動機運を全国的にさらに高めて“業界活動のエンジン”となることを期待して会議を開催しました。

青年部活動には3つのキーワード「ビジョン」「デジタル」「イベント」があります。

ビジョンは、自分たちのありたい姿、警備業界のビジョンを考えて、実現する戦略を練って実行することです。混迷する時代に、進路を示す“北極星”となるビジョンづくりは大切です。

デジタルについては、すでに青年部会員はツールを使いこなしデータを取り入れて行動しています。デジタル活用は、ビジョンに基づき戦略を実行していく際に切り離せない大事な要素です。

イベントは、警備業の役割を世の中にアピールする上で必要なもので、警備員の社会的地位向上に関係します。警備業の魅力を内外に発信する広報活動は重要であり、全警協はプロジェクトチームをつくることを検討しています。その中心的な役割を青年部が担うことが期待されます。併せて、ダイバーシティー・インクルージョン(多様性を受け入れて活力とする考え方)が社会に広がる中で、女性部会の活躍も期待しています。

12年ぶりの帰還 東日本大震災 その後2023.03.11

故郷・富岡に「新社屋」建設

今春、福島県富岡町東部地区に設けられた「特定復興再生拠点区域」の避難指示が解除される。近くを走る国道6号線からは「私たちの使命、安全・安心・信頼」と記された、桜の花をあしらった大きな看板がひときわ目を引く。交通誘導警備業務を主体とするコスモさくら警備保障(鹿島栄子代表取締役)の本社新社屋の建設現場だ。5月に移転予定で、1階は事務所、2階には新任・現任教育の場ともなる会議室などが置かれるという。

同地に本社が建てられたのは約25年前。警備員が増えるたびにプレハブの事務所を継ぎ足していった。しかし、2011年3月11日に発生した東日本大震災とこれに伴う東京電力福島第1原子力発電所事故が同社の運命を大きく変えた。

「帰還困難区域」となった同地を追われ、事故直後から県内各所への避難を余儀なくされた。事故を起こした原発から20キロメートル余の広野町にプレハブの仮本社を置いたのは同年6月のこと。被災地での除染作業に伴う交通誘導警備などを行い、同地に新社屋も建設した。しかし、鹿島社長の「富岡町への帰還」という思いは強くなるばかりだった。

――そして、あの日から12年経った。

「あっという間でした」、鹿島社長の言葉に、これまでの苦労が凝縮している。

震災直後は数人にまで減った警備員も現在は120人と、震災前の約80人より多くなった。念願の夢だった特別講習講師も近く社員の中から誕生しそうだ。

富岡町内では20年3月、復興再生拠点区域のうちJR常磐線夜ノ森駅周辺道路の避難指示が先行解除された。これを機に町は新たな街づくりに取り組んでいる。同社周辺にも住宅地が広がるが、住民の帰還の様子はない。同社の帰還が、被災地再生のきっかけとなることを期待したい。

殉職者 もう出さない2023.03.01

全警協 初の「全国警備業慰霊祭」

全国警備業協会(中山泰男会長)は2月22日、都内で初の「全国警備業殉職者慰霊祭」を執り行った。業務中などに労働災害で亡くなった(殉職した)警備員の遺族13人をはじめ、警察庁の露木康浩長官や都道府県警備業協会の会長など約80人が出席。2019年度から21年度の殉職者21はしら御霊みたまの冥福を祈った。

慰霊祭は、全警協が昨年創立50周年を迎えたのを契機に企画された。業界として殉職した警備員の御霊を慰めるとともに、功績をたたえて全国の警備員の誇りや一体感を高め、内外に「これからは殉職者を出さない」という警備業の強い決意を示すのが目的。

慰霊祭では冒頭、全警協・黒木慶英専務理事が、2019年度から21年度の間に労災認定を受け合祀に遺族が同意した21人(柱)の名前を記した「警備業殉職者名簿」を会場に設けられた祭壇に奉納した。

中山会長は「本日お祀りした21の御霊は、人々の安全で安心な生活を守るために交通誘導警備や施設警備などで昼夜を分かたず精励する中、内勤中や通勤中、不慮の事故や病に倒れ、志半ばで職に殉ぜられた。いずれも警備員としての使命感を身をもって示された」と殉職者をたたえ、警備業一丸となって国民の期待に応えていくことを霊前に誓った。

「追悼の辞」を警察庁・露木長官、全警協労務委員会・佐々木誠委員長、殉職警備員の関係者代表として近畿警備保障・松尾浩三代表取締役(岡山警協会長)と信和警備保障・松岡仁美代表取締役社長(愛媛警協副会長)の4氏が述べた。

露木長官は「警備員の皆さまは昼夜を問わず、現場において警備業務に従事され、人々の安全の確保に貢献されています。祀られた21柱の御霊は、身を挺してその職責を全うされた」と敬意を表した。

佐々木労務委員長は「私たちは御霊の誇り高き精神をいつまでも胸に刻み、人々の安全・安心な生活に貢献するため最善の努力をしてまいります」と新たな決意を述べた。

松尾氏は2019年に49歳で、松岡氏は20年に、それぞれ殉職した自社警備員について、顧客からも高く評価されていた生前の誠実な仕事ぶりや、仕事以外での思い出話などを紹介。志半ばで亡くなった警備員を悼むとともに、両氏とも「悲しみを乗り越えて警備業務に取り組んでいく」と述べた。

「追悼の辞」に続き、中山会長や露木長官など参列者全員が献花、殉職者の冥福を祈った。