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五輪警備 成功誓う2020.11.21

全警協が「警備の日」全国大会

全国警備業協会(中山泰男会長)は11月12日、5回目となる「警備の日」全国大会を都内で開催した。2021年の東京五輪・パラリンピック競技大会に向けて、中山会長は大会警備を成功させることが業界発展につながると強調した。大会組織委員会・岩下剛警備局長が講演し、より多くの警備会社の協力を改めて求めた。今回、新型コロナウイルス感染防止対策として出席者は1警協から1人に制限、大会の様子は都道府県警協と加盟会社にインターネットでライブ配信された。

中山会長は、コロナ禍による警備業務の受注減少や、慢性的な人手不足など業界を取り巻く現状の厳しさを指摘した。人材確保など喫緊の課題克服に向けて全警協が「基本問題諮問委員会」を開き議論を重ねていることや、警備業の対外的なアピールとして「警備の日」広報活動が活性化してきた歩みを説明した。

東京五輪警備について「『オールジャパン』体制で責任を果たし、それをレガシーとして業界の信頼向上を図る時である。人手不足の克服には、より多くの若い人たちがやりがいを求めて警備業の門を叩くことが必要であり、そのためのキーワードは信頼向上だ」と呼び掛けた。

来賓の組織委・米村敏朗チーフ・セキュリティ・オフィサー(CSO)は、体操の金メダリスト・内村航平選手が10月8日に国際競技会の閉会式で五輪開催について「“できない”ではなく“どうやったらできるか”に考えを変えてほしい」と訴えたことに触れ、前向きな思考こそ大切になると述べた。組織委が新型コロナ対策を講じ“これなら開催できる”との観点で着実に準備を進めていることを明らかにした。

警察庁・小田部耕治生活安全局長は、警備業界が自主行動計画を推進して経営基盤の強化を図り、コロナ禍の社会生活で安全安心の確保に貢献していることを讃えた。

会場に設置された大型スクリーンには、インターネットで全国に配信中の映像が映し出され、「警備の日」広報活動の新しいスタイルを示す大会となった。

企業、警備員を表彰

「警備の日」全国大会では表彰も行った。2019年7月から20年6月までの1年間に開かれた特別講習講師研修会などに、社員を技術研究専門部員として積極的に参加させるなど教育事業に貢献した企業や個人を表彰する「教育活動特別功労表彰」と、人命救助や容疑者確保など顕著な功労があった加盟会社の模範警備員に対する表彰があった。

功労警備員表彰は、警察や消防、自治体から表彰を受けた人が対象。全国の警備業協会から75人が推薦され、13人を表彰した。

五輪に向け再始動2020.11.11

組織委・警備JV、警備会社を追加募集へ

新型コロナの影響で来年に延期された東京オリンピック・パラリンピックの警備に向けて再始動――。競技大会組織委員会と競技大会警備共同企業体(警備JV)は10月29日、大会警備について精査した結果、当初予定よりも多くの警備員が必要となったため、警備会社の追加募集を始めた。同日、組織委員会の岩下剛警備局長と警備JVの杉本陽一事務局長らが全国警備業協会(中山泰男会長)を訪れ、全国の協会会員へ参加を呼び掛けるように依頼した。岩下局長は「交通費を実費で支給するなど条件を見直した。多くの会員に応募してほしい」と述べた。

全警協は福島克臣専務理事と楯悦男常務理事らが応対し、岩下局長と会談した。

大会警備JVは2018年から、組織委の警備計画に基づき1都3県で1日に最大1万4000人超が必要となる警備員の確保に取り組んでいた。今年3月24日に大会延期が決まってからも、組織委は警備成功のために警備計画の精査を継続。当初の想定以上に警備員が必要となり、組織委とJVはすでに参加が決まっている警備会社だけでは足りないことがわかった。

岩下局長は会談で、全国から警備会社が参加しやすいように延期前の募集では上限額が設けられていた交通費は、1都3県以外からの参加社に対しては東京までの実費を支給することを明らかにした。宿泊施設の確保が難しくなると予想して、警備員の宿泊施設は警備JVで手配する。

警備業務の期間は東京都で聖火リレーが始まる2021年7月9日からパラリンピックが閉会する9月5日まで。1日当たり1社10人以上の警備員を参加させることが必要となる。JV事務局は「会場警備は施設警備のように思われがちだが、交通誘導警備も多くあるため2号警備専業の警備会社にもできるだけ多数の参加をお願いしたい」と呼び掛けている。

岩下局長からの依頼に、福島専務理事は、全国の警備業協会ならびに協会会員にJVの募集案内を通知するなど全面的に協力していきたいと述べ、大会成功に向け支援を約束した。

中部地区連が会長会議2020.11.01

各県会長、苦しい現状報告

中部地区警備業協会連合会(会長=小塚喜城・愛知警協会長)は10月19日、岐阜市内のホテルで6県の警協会長と専務理事による「会長会議」を開いた。今年は各地の連合会議がコロナ禍で延期を余儀なくされる中、「対人距離間」に十分の配慮をして、全国で初めて一堂に会しての開催だった。会議は「コロナ感染拡大に対する取り組み」に多くの時間が割かれた。各県会長からは苦しい現状と各種の対応策が報告された。警備業界が社会的使命を果たすため、諸課題に対して連携して取り組んでいく意識を共有する会議となった。

全国警備業協会から福島克臣専務理事と小澤祥一朗総務部次長が出席した。

小塚会長は「警備業はコロナが収束しない厳しい状況のもと、コロナと立ち向かいながら業務を続け頑張っている。警備業は日常生活に欠かせない職種、エッセンシャルワーカーとしての務めであることを認識して発展しなければならない」と呼び掛けた。

同会長は、慢性的な人手不足にも言及、「根本的な要因は、警備員の処遇の悪さ、賃金の低さにあると思われる。愛知警協は、昨春から取り組んでいる《3アップ運動》の1つ、警備員の処遇を改善する“賃金アップ”の活動を更に強化したい。人材確保を推進する国の委託事業である《就職氷河期支援事業研修会》の最初の開催県となり全面協力する意向だ」と述べた。

福島専務理事は「小規模な一部の警備会社は警備員の雇用維持が困難となり、廃業に追い込まれる動きも出てきている」と前置きして、「持続化給付金(事業継続の支援)、雇用調整助成金(休業手当などの助成)は、申請が手軽なので加盟会社に周知徹底して幅広く活用してもらいたい」と要望した。

岐阜警協の幾田弘文会長は「感染症対応従事者の慰労金交付事業」について報告した。同事業は、都道府県から感染患者の受け入れなど、診療を要請された医療機関の従事者に、1人当たり20万円(診療以外に10万円、5万円もあり)の一時慰労金が支給されるもの。給付の申請は医療機関がまとめて自治体に行うことになっている。

幾田会長は「病院の施設警備は、家族も感染を心配している。警備員も交付対象になるのではないかと会員に声をかけ、数社が病院と話し合って申請した。今は県の判断を待っている状態。慰労金は警備員に直接支給されるので会社も助かるのではないか」と語った。

現状認識では、出席者から「特別講習の延期と中止は、警備員の資格者を増やすことにブレーキがかかっている。県警本部と協議したい」「3、4月ごろに比べ、コロナに対する危機意識が薄れている。もう一度、緊張感を高めたい」「協会事務局員の賞与の減額を考慮する状況だ」――などの発言があった。